官公署に何かを申請したり、許可・認可を受けたりするとき、あとから手続きが「無効になった」「取り消された」といった話を耳にしたことはありませんか?
この「取消し」と「撤回」は似ている言葉ですが、法律的には全く異なる制度として扱われています。
特に官公署(役所・行政機関)に提出する手続きに関しては、この違いの理解が非常に重要です。
本記事では、「取消し」と「撤回」の基本をそれぞれ解説します。
1.「取消し」と「撤回」はどう違うの?基本の考え方
① 「取消し」とは
最初から瑕疵(かし:間違いや違法)があった手続きを遡って無効にする制度です。
たとえば、申請要件を満たしていないのに許認可がされた場合、その行政行為は最初から無効だったものとして扱います。
これは遡及効(さかのぼって効力がなくなる)と呼ばれる効果です。
つまり「申請 → 許認可 → 瑕疵発覚 → 遡って元に戻す(無かったことにする)」となります。
② 「撤回」とは
当初は正しく成立していた手続きでも、後の事情の変更や問題発生で効力を将来に向かって失わせる制度です。
たとえば、許可を受けた後に条件違反があったなど、後発の事情により効力を断つ場合です。
撤回は遡及せず、将来効(今後効力を失う)となります。
つまり「申請 → 許認可 → 問題発生 → 今後効力なし(それ以前は有効)」となります。
2.取消し・撤回が起きる典型的なケース
① 取消しが問題になる例
• 申請時から要件を満たしていなかったと判明した場合
• 不正な書類や情報で許認可を受けていたと後に分かった場合
この場合、当初から要件不備や違法があるため、最初から効力が無かった扱いに戻されます。
② 撤回が問題になる例
• 許可後に条件違反が生じた場合(例:営業許可後に安全基準違反があった)
• 申請時は正当でも、後に社会状況や法令変更で継続が不適当になった場合
このようなケースでは、当初の手続きは適法に成立しているため、将来効を失う形で撤回されます。
※法令によっては「取消」と表記されていても、手続き上は撤回に該当する扱いになることもあります。
3.取消し・撤回で注意するべきポイント
❗ 公定力(こうていりょく)とその影響
行政行為には公定力といって、一度有効な行政行為は取消・撤回が行われるまで「有効である」と扱われる原則があります。
つまり、単に瑕疵があるだけではすぐ効力が消えるわけではありません。
適切な手続きが必要になります。
❗ 損害や補償の考え方
特に授益的な行政行為(利益を与える許認可等)については、取消しや撤回による損害が発生する可能性があります。
こうした場合、損害賠償や補償の要否を慎重に検討しなければならないこともあります。
4.行政書士がどこまでサポートできる?
✅ 行政書士にできること
• 官公署への申請書類の作成・提出代理
• 経緯やリスクに応じた書類整理・対策立案
• 行政庁との事前協議・ヒアリングサポート
• 許認可後の条件管理や対応方針の助言
つまり、取消しや撤回のリスクを事前に回避する目的でも役立ちます。
❌ 行政書士にできないこと
• 裁判所での代理(訴訟代理権は弁護士のみ)
• 行政処分の取消訴訟代理
5.取消しや撤回を受ける事例
● 建設業許可取得後の違反
建設業の許可取得後、工事履行能力について誤りが発覚し、行政庁から是正勧告が出たケース。
➡ もしその後も改善が見られなければ、撤回的な取消扱いになる可能性があります。
● 申請書類不備による許可取消
申請時に資格要件を満たしていなかったと後に判明し、行政が遡及的に取消しを行ったケース(瑕疵ある許可の取消し)。
6.よくある質問(FAQ)
Q1:取消しと撤回のどちらが厳しい?
➡ 取消しの方が手続きの影響が大きい場合が多いです。なぜなら遡及効により「最初から無効」になるからです。
Q2:自分の届出が撤回されそうで不安です。どうすれば?
➡ まずは専門家に状況を整理してもらい、事実関係を整理した文書作成や対応方針を整えることが重要です。
Q3:行政書士に相談するメリットは?
➡ 官公署対応の実務経験をもとに、誤解や不利益を防ぐ書類準備や交渉補助が受けられます。
7.おわりに
行政手続きで「取消し」や「撤回」が話題になると、不安や疑問が出てきます。
こうしたリスクを未然に防ぎ、正しく手続きを進めるために、まずは専門家に相談することをお勧めします。
行政書士は、官公署への手続き・許認可申請のサポートから、取消し・撤回リスクを回避するための相談まで丁寧に対応しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
出典・参考
• e-Gov法令検索:「行政手続法」
• e-Gov法令検索:「行政不服審査法」
• e-Gov法令検索:「行政事件訴訟法」
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※本記事は令和8年1月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。