行政手続きや登記、相続や会社設立などで「行政書士? 司法書士? どちらに頼めばいいの?」と迷う方は多いです。
行政書士と司法書士はよく混同されがちですが、それぞれが得意とする分野や役割には明確な違いがあります。
特に、許認可申請/契約書作成と登記・裁判所提出書類という実務上の使い分けは重要です。
さらに、2026年1月には行政書士法が改正され、特定行政書士の業務が拡大されることから、制度の選び方がこれまで以上に多様になります。
本記事では、試験・管轄(どこで何を扱うか)・職務範囲の違いを丁寧に説明し、両者が重なる業務・それぞれに依頼するメリットとデメリットまで具体的にまとめます。
1.行政書士と司法書士の基本役割の違い
• 行政書士:官公署に提出する許認可申請書類の作成・提出代理、契約書・遺言書等の作成支援などを中心に扱います。また、一定の研修を終えた行政書士は不服申立て(後ほど解説)を行うことができます。
• 司法書士:不動産登記や会社(商業)登記、簡易裁判所での訴訟代理(一定範囲)、成年後見業務など、権利関係の法的確定に深く関与します。
2.試験制度の違い
• 行政書士試験:行政法、民法を中心に、憲法、商法、会社法、戸籍法、住民基本台帳法、個人情報保護法などの知識が問われます。
• 司法書士試験:登記法、民法、商法など幅広い法分野の高度な知識が必要。実務の責任も重いため、難易度は高めです。
3.管轄(どの官庁・どの場面で動くか)
• 行政書士:各省庁・都道府県庁・市区町村役場・警察署など「官公署」に提出する書類全般(許認可申請、届出、各種契約書や申請書類の作成)を扱います。
たとえば、飲食店営業許可、建設業許可、外国人在留手続き(在留資格関係書類作成)などが典型です。
• 司法書士:主に法務局(登記所)への登記申請(不動産の所有権移転、抵当権設定・抹消、会社の商業登記など)や、裁判所へ提出する書類・簡易裁判所での代理など、権利関係を法的に確定・変更する場面に関与します。
4.業務範囲の「具体例」で見る違い
① 行政書士が得意・独占的に行えること(例)
• 許認可申請書類の作成・提出代理(例:飲食店、風俗営業、建設業許可など)。
• 外国人在留関係の申請書類作成(在留資格関連)。
• 各種契約書、内容証明、遺産分割協議書、遺言書作成支援(※訴訟代理は不可)。
• 特定行政書士による不服申立て。
② 司法書士が得意・独占的に行えること(例)
• 不動産の所有権移転登記、相続登記、抵当権の設定・抹消。
• 会社設立登記、役員変更、商業登記全般。
• 簡易裁判所での訴訟代理(一定の金額以下)や供託手続、成年後見関係業務等。
5.「重なる業務」と境界線 — どこまでなら両方で対応可能か
一部の書類作成や相続関係では業務が重なることがあります。
たとえば相続に関する相談では、遺産分割協議書や遺言書の作成支援は行政書士でも行えるが、相続登記そのもの(法務局への登記申請)は司法書士の専門分野となります。
また、契約書作成や内容証明の作成は行政書士が対応可能ですが、紛争化して訴訟に発展した場合の代理権(特に高額訴訟や司法手続き)は原則として弁護士/司法書士(簡易裁判の範囲)などの別専門家対応が必要になることがあります。
6.2026年1月から変わる!特定行政書士による不服申立て制度
ここが最近の大きな注目ポイントです。
① 改正の背景・目的
2025年6月、「行政書士法の一部を改正する法律」が成立。2026年1月1日から施行されます。
この改正は、行政書士の制度強化と国民利便性の向上を狙ったものです。
② 特定行政書士の業務拡大
改正後、特定行政書士(一定の研修を終えた行政書士)は、不服申立て(審査請求・再調査請求・再審査請求など)について、より広い範囲で「代理」できるようになります。
具体的には、「行政書士が作成した書類」だけでなく、「行政書士が作成することができる(=作成の関与がなかった)書類」についても、不服申立ての代理が可能になります。
③ 国民の救済力強化
この制度拡大により、本来、申請者本人が作成した申請書類でも、特定行政書士が不服申立てを代行する道が開かれます。
これによって、行政不服審査制度の「国民の救済手段」としての利便性が高まると期待されています。
④ 注意点
ただし、すべての行政書士が自動的にこの代理業務を行えるわけではありません。
特定行政書士になるには所定研修が必要で、登録・資格要件があります。
⑤ 依頼者が期待できること
「行政手続き+不服申立て」をワンストップでサポートできる行政書士を選べる可能性が広がる。
特定行政書士に頼むことで、裁判所を介さない行政段階での「迅速な救済」が期待できる。
7.それぞれに依頼するメリット・デメリット
行政書士(特定行政書士含む)に依頼するメリット
• 不服申立てもカバーできる(2026年以降):特定行政書士により、許認可申請書に関連する不服申立ての代理が可能になります。
• 行政とのやりとりに強い:許認可や申請書類作成、提出代理の専門家。
• コスト面でもメリット:登記や裁判より費用を抑えやすいケースが多い。
行政書士(特定行政書士含む)のデメリット
• すべての行政書士が不服申立てを扱えるわけではない:特定行政書士資格保持者である必要がある。
• 登記はできない:不動産や会社登記については司法書士の担当。
• 紛争が拡大した場合には限界あり:訴訟になったら司法書士(または弁護士)への切り替えが必要になる可能性がある。
司法書士に依頼するメリット
• 登記・権利確定に強い:不動産登記、会社登記など、法務局への申請・代理が可能。
• 裁判書類作成・簡易裁判所代理が可能:金額や範囲によっては代理業務を担当。
• 成年後見・供託など、権利保全の実務経験:財産や権利に関する専門性が高い。
司法書士に依頼するデメリット
• 行政許認可申請など申請段階の柔軟な折衝には不向きな場合がある:行政書士が得意とする行政庁との“交渉・申請設計”面では、得意領域が異なる。
• 費用が高くなりがち:登記申請や代理手続きはコストが大きくなる場合がある。
8.どちらに頼めばよいか?事例で判断
• 飲食店を始めたい/許認可が必要な開業
まずは行政書士に相談(申請・営業許可・保健所対応)。登記(法人化)も同時に必要なら、会社設立登記は司法書士に依頼するか、行政書士と司法書士が連携して進めるとよい。
• 会社を設立し、建設業許可を取りたい
行政書士に許可申請を任せつつ、登記は司法書士。あるいは、許認可+不服申立てが予想されるなら、特定行政書士に相談。
• 不動産の相続で名義変更(登記)まで進めたい
遺産分割協議書の作成支援は行政書士でも可能だが、登記申請は司法書士へ。ワンストップでやってほしい場合は、相互に連携できる事務所を選ぶのがおすすめ。
• 会社の定款や契約書など“法的に整えたい”が訴訟になる恐れは低い
行政書士で予防法務(契約書作成等)を依頼。将来的に法的紛争の可能性が高いなら司法書士や弁護士も視野に。
• 許認可が却下され、不服申立てを検討している
2026年以降なら、特定行政書士に不服申立ての代理を依頼できる可能性がある。
9.実務上のポイント/依頼前に確認すべきこと
① 「最終的に何を実現したいか」を明確に伝える(例:許認可取得/登記完了/相続手続完了)。
それによって必要な専門家が変わります。
② 報酬体系と業務範囲を明確にする
どこまでを頼むのか(書類作成のみ/提出・代理まで/不服申立て含むか)を最初に確認。
③ 連携が必要な場合を相談する
登記が必要なケースなら司法書士との協力体制を持っている行政書士を選ぶのも有効。
④ 特定行政書士かどうかを確認する
「不服申立て」の代理をしてほしいなら、行政書士が特定行政書士資格を持っているか確かめましょう。
10.まとめ
• 行政書士と司法書士は、それぞれ 役割・強みが異なる専門家。
• 2026年1月からの行政書士法改正により、特定行政書士は行政不服申立ての代理範囲が拡大。
これによって行政手続き+救済を一括で相談できる可能性が増えています。
• あなたの目的(許可申請・登記・相続・不服申立てなど)に応じて、適切な専門家を選ぶことが重要です。
〈最もシンプルな選び方〉
• 「役所に出す申請や許認可が中心」→ 行政書士。
• 「登記(不動産・会社)や裁判所提出が中心」→ 司法書士。
相続などで書類作成と登記の両方が必要なケースは、行政書士と司法書士の連携でスムーズに進めるのが現実的です。
参考(もっと詳しく知りたい方向けの公的・業界情報)
• 日本行政書士会連合会:行政書士の業務概要(許認可、申請手続)。
• 行政書士法(e-Gov):法的な定義・業務範囲。
• 日本司法書士会連合会:司法書士の業務(登記、裁判所関係等)。
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※本記事は令和7年11月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。