〈 はじめに : この記事を読んでほしい方 〉
「外国人スタッフを採用したいが、ビザさえあれば働いてもらえると思っていた」
「在留カードを持っているのに転職できないと言われたが、理由が分からない」
「国際結婚をして、これから配偶者を日本へ呼びたい」
こうしたお悩みが、南魚沼市や湯沢町、魚沼市といった地域の企業担当者や外国人ご本人の間でも多くなっています。
この記事は、外国人材を初めて採用する企業の総務・人事担当者、日本で働く・暮らす外国人本人とそのご家族、そして在留資格の制度を一から整理しておきたい方に向けて書きました。
在留資格と査証(ビザ)は、似たような言葉として扱われがちですが、法律上はまったく別の制度です。
この違いを取り違えたまま採用や生活の予定を進めてしまうと、不許可や採用計画の頓挫につながりかねません。
本記事では、制度の基本から手続きの流れ、必要書類、失敗しやすいポイント、そして行政書士に依頼するとどこまで対応できるのかまで、順を追って解説します。
在留資格の制度は、条文を読むだけでは実務のイメージがつかみにくい分野です。
特に企業側は、採用が決まった後になって「この在留資格では想定していた業務ができない」と気づくケースが少なくありません。
逆に外国人ご本人にとっては、在留期間の更新時期や転職時の届出など、日常生活の節目ごとに判断を求められる場面が続きます。
専門用語を覚えることよりも、自分がいまどの段階にいて、次に何を確認すればよいかを把握することが、遠回りを避ける近道になります。
なお、本記事は2026年7月1日時点で公表されている出入国在留管理庁および外務省の公式情報をもとに作成しています。
制度は改正されることがあるため、最新情報は必ず出入国在留管理庁公式サイトでご確認ください。
1. 南魚沼市・湯沢町周辺で想定される相談例
雪国として知られる南魚沼地域では、スキー場を中心とした宿泊業・観光業のほか、製造業、建設業、農業でも外国人材の受け入れが進んでいます。
南魚沼地域での相談は、業種ごとに以下の特徴が想定されます。
〈 企業からの相談で想定されるもの 〉
• シーズンスタッフとして冬季に外国人を雇いたいが、今の在留資格で働けるか分からない
• 技能実習を終えた人材を、特定技能や別の在留資格で引き続き雇用したい
• 留学生を新卒として採用したいが、内定から入社までに何を準備すればよいか
• 転職してきた外国人スタッフについて、届出が必要かどうか判断できない
〈 外国人ご本人・ご家族からの相談で想定されるもの 〉
• 在留期間の満了日が近づいているが、更新の準備をいつ始めればよいか
• 結婚を機に日本人の配偶者等へ変更したい
• 海外にいる家族を呼び寄せたい
• 転職後、現在の在留資格のままで問題ないか確認したい
湯沢町のように観光客の増減が季節ではっきりする地域では、雇用形態も年間を通じて一定でないケースが多く、「繁忙期だけ働いてもらう」という発想が、在留資格の活動範囲と食い違ってしまうことがあります。
個々の事情によって必要な手続きは異なるため、まずは現在の在留資格と実際の業務内容を照らし合わせるところから始める必要があります。
また、南魚沼市周辺の農業法人からは「季節労働者としてではなく、通年雇用の正社員として外国人を迎えたい」という相談も想定されます。
この場合、単純に人手が足りているかどうかではなく、その業務が在留資格上の「技能」や「特定技能」などの区分にどう当てはまるかを最初に整理する必要があります。
地域の産業構造そのものが多様なぶん、画一的な答えを提示できる相談は実はそれほど多くないというのが実情です。
2. 在留資格とビザ(査証)は別の制度
相談の出発点としてまずお伝えしているのが、在留資格とビザは同じものではないという点です。
出入国管理及び難民認定法にもとづく在留資格は、日本国内でどのような活動が認められるかを定める資格です。
一方、ビザ(査証)は海外にある日本大使館・総領事館が発給するもので、「日本へ入国するための要件を満たしていることを示す証明」という位置づけになります。
外務省も、査証は上陸のための要件の一つであり、入国を保証するものではないと説明しています。
➡ 参考:外務省「査証(ビザ)」
入国審査を経て上陸が許可されると、その人には在留資格と在留期間が決定されます。
つまり、ビザは入り口の切符、在留資格は日本での活動そのものを定めるルールというイメージです。
日本国内での在留資格の変更や更新は、新たにビザを取り直す手続きとは別物である点も、よく誤解される部分です。
在留資格の種類は活動内容や身分によって細かく区分されており、一覧は出入国在留管理庁が公表しています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格から探す」
3. 手続きの流れ(具体的に)
在留資格に関する主な申請は、大きく分けて次の7種類があります。
① 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)
② 在留資格変更許可申請(別の在留資格へ切り替える場合)
③ 在留期間更新許可申請(同じ在留資格のまま期間を延ばす場合)
④ 在留資格取得許可申請(出生や国籍離脱など、在留資格を持たない状態から新たに取得する場合)
⑤ 永住許可申請(要件を満たし長期定住する場合)
⑥ 資格外活動許可申請(現在の在留資格で認められた範囲を超えて就労等を行う場合)
⑦ 就労資格証明書交付申請(転職などの際に、現在の在留資格で働けることの証明を求める場合)
➡ 参考:出入国在留管理庁「手続の種類から探す」
このうち① 在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる外国人を日本へ招く際にあらかじめ行う手続きで、交付された証明書を大使館・総領事館でのビザ申請時に提示することで、査証発給や上陸審査がスムーズになります。
手続の根拠や提出先などの詳細は、出入国在留管理庁の該当ページに掲載されています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
➡ 在留資格認定証明書交付申請については「こちらの記事もおすすめ」
④ 在留資格取得許可申請は、日本で生まれた子どもや日本国籍を離脱した人など、上陸の手続きを経ずに日本に在留することとなった外国人が、在留資格の取得事由が生じた日から60日を超えて在留しようとする場合に必要となる手続きです。
原則として事由が生じた日から30日以内の申請が求められます。
⑥ 資格外活動許可申請は、たとえば留学生がアルバイトを行う場合など、現在の在留資格で認められている活動の範囲外の就労を行うために必要な許可です。
無許可のまま資格外の就労を行うと、在留資格の取消しにつながるおそれがあるため注意が必要です。
➡ ② 在留資格変更許可申請については「こちらの記事もおすすめ」
➡ ③ 在留期間更新許可申請については「こちらの記事もおすすめ」
➡ ⑦ 就労資格証明書交付申請については「こちらの記事もおすすめ」
〈 具体的な流れは、おおむね次のとおりです 〉
♦ ステップ 1 : 現在の状況を整理する
現在の在留資格、在留期限、これから行う活動内容を確認します。
ここが曖昧なまま次に進むと、後の工程で書類の内容がずれてしまいます。
♦ ステップ 2 : 該当する申請の種類を判断する
新規呼び寄せ・変更・更新・永住・就労資格証明のどれに当たるかを見極めます。
ここを取り違えると、審査される観点そのものが変わってしまいます。
♦ ステップ 3 : 必要書類を収集する
申請書だけでは審査は完結しません。
雇用契約書や会社案内など、複数の資料を組み合わせて提出します。
♦ ステップ 4 : 管轄の地方出入国在留管理官署へ提出する
申請先は、住所地や受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署です。
新潟県は東京出入国在留管理局の管轄で、県内の在留手続は新潟出張所(新潟市東区・新潟空港ターミナルビル内)が窓口となっています。
窓口の詳細や取扱業務は事前に確認しておくと安心です。
➡ 参考:出入国在留管理庁「地方出入国在留管理官署」
➡ 参考:出入国在留管理庁「東京出入国在留管理局」
♦ ステップ5 審査・結果通知
標準処理期間は申請の種類によって異なります。
たとえば在留資格認定証明書交付申請は1か月から3か月が目安とされています。
追加資料を求められる場合は、指定された期限内の提出が必要です。
なお、在留手続にかかる手数料は2025年4月1日から改定されており、オンライン申請の場合の手数料額も新たに定められています。
さらに、2026年6月5日に公布された改正法(令和8年法律第32号)では、電子渡航認証制度(JESTA)の創設や、在留資格変更許可等にかかる手数料の上限額引き上げが盛り込まれました。
これを受けて、出入国在留管理庁は2026年7月3日、実際の改定額を定める政令案を公表しています。
案では、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料は、許可される在留期間に応じて1万円から7万5,000円の範囲に、永住許可は従来1万円だったものが20万円に引き上げる内容となっており、2026年10月1日からの施行を目指す方針が示されています。
政令案は2026年7月3日から8月2日までパブリックコメント(意見公募)にかけられており、2026年7月時点では正式な施行日や金額は確定していません。
最新の内容は出入国在留管理庁の公式発表でご確認ください。
➡ 参考:出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」
➡ 参考:出入国在留管理庁「関する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について」
4. 必要書類の考え方
必要書類は在留資格ごとに大きく異なりますが、代表的なものとしては次のような書類が挙げられます。
• 各種申請書(在留資格・申請区分ごとに様式が異なる)
• パスポート・在留カード
• 雇用契約書、採用理由書、会社案内
• 登記事項証明書、決算書類
• 課税証明書・納税証明書
• 住民票、戸籍関係書類
• 身元保証に関する書類
「技術・人文知識・国際業務」と「日本人の配偶者等」では求められる資料の種類がまったく異なるように、すべての申請に共通の書類一式は存在しません。
最新の提出書類は在留資格ごとに公式サイトで確認できます。
➡ 参考:出入国在留管理庁「手続の種類から探す」
在留カードについても誤解が多い部分です。
在留カードは在留資格そのものではなく、在留資格・在留期間・就労制限の有無などが記載された証明書兼許可証という位置づけです。
2026年6月14日からは、マイナンバーカードの機能を付加した特定在留カードが導入され、券面の様式も変更されました。
あわせて同日以降、1歳以上の方について顔写真の提出が必要になっています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留カードとは?」
企業の採用担当者が確認しておきたいのは、在留カードの券面にある「就労制限の有無」の欄です。
ここに「就労不可」と記載されている場合や、就労できる範囲が指定されている場合には、資格外活動許可の有無もあわせて確認する必要があります。
書類をそろえる作業に入る前に、この一枚のカードから何が読み取れるかを押さえておくだけでも、後戻りの少ない準備につながります。
5. よくある失敗例
【 想定例 ① 】 南魚沼市の製造業A社のケース
※ 以下は制度を分かりやすく説明するための想定例であり、実在の企業・個人を示すものではありません。
南魚沼市内の製造業A社は、海外の大学を卒業した留学生を正社員として採用することを決めました。
担当者は「在留カードを持っているから大丈夫」と考えていましたが、確認すると当該留学生の在留資格は「留学」のままでした。
留学の在留資格は学業を目的とするものであり、卒業後に正社員として就労するには、業務内容や要件に応じて在留資格変更許可申請が必要になる場合があります。
在留カードを持っていることと、正社員として就労できることは同じではありません。
採用が内定した段階で確認していれば、防げたケースといえるでしょう。
このほか、実務でよく見られる失敗例には次のようなものがあります。
• ビザ(査証)を持っていることと、日本国内でどの仕事にも就けることを混同してしまう
• 在留期間の満了日を忘れ、更新の準備が後手に回る
• 転職後に必要な届出を「転職しただけだから不要」と自己判断してしまう
• 雇用契約書・理由書・求人票の間で、業務内容の説明に食い違いが生じてしまう
いずれも、書類の数がそろっているかどうかではなく、活動内容と提出資料の説明に一貫性があるかが問われる場面です。
追加資料の提出を求められると、その分だけ審査期間も延びてしまいます。
【 想定例 ② 】 湯沢町の宿泊業B社のケース
※ こちらも制度の理解を助けるための想定例です。
湯沢町のホテルB社では、冬季限定でスキー場スタッフとして外国人を受け入れていました。
翌年、同じスタッフを通年雇用の正社員として切り替えたいと考えましたが、契約書の作成を進める段階になって、業務内容が接客からフロント管理業務へと大きく変わることに気づきました。
在留資格上の活動範囲を超える業務変更だったため、雇用契約の締結前に在留資格変更許可申請の要否を確認する必要が生じたケースです。
契約書を先に作ってしまってから在留資格の適合性に気づくと、入社日の調整にも影響が出かねません。
6. 行政書士としての注意点「できること」・「できないこと」
行政書士は、行政書士法に基づき官公署へ提出する書類の作成やその手続き代理を業務としています。
一定の要件を満たした申請取次行政書士であれば、本人に代わって地方出入国在留管理官署へ申請を取り次ぐことができます。
➡ 申請取次行政書士については「こちらの記事もおすすめ」
実務で確認しているのは、単に書類をそろえることだけではありません。
• 現在の在留資格で認められている活動範囲
• 実際の業務内容(一日の仕事の流れ、配属部署、将来的な業務の変化)
• 受入企業の事業内容や継続性
• 提出書類全体の整合性
これらを事前にすり合わせておくことで、追加資料の要求や審査の長期化を防ぎやすくなります。
一方で、行政書士にできないこともあります。
• 審査結果を保証すること
• 法令に反する内容で申請すること
• 事実と異なる資料を作成・提出すること
これらはいずれもできません。
最終的に許可・不許可を判断するのは地方出入国在留管理官署であり、行政書士は制度に沿った適正な申請を支援する立場にとどまります。
この点は、依頼を検討する際にぜひ知っておいていただきたい注意点です。
7. よくある質問
Q1. 在留カードがあれば自由に働けますか。
A. 必ずしもそうとは限りません。
就労できるかどうかは、カードの所持ではなく、記載されている在留資格や就労制限の有無で判断します。
Q2. 転職したら必ず在留資格変更許可申請が必要ですか。
A. 必ず必要になるとは限りません。
現在の在留資格で認められている活動を継続する転職であれば、変更許可申請が不要な場合もあります。
ただし、所属機関に関する届出が必要になるケースもあるため、判断に迷う場合は事前確認をおすすめします。
Q3. 就労資格証明書とは何ですか。
A. 現在の在留資格で行っている、または行おうとしている活動が適法であることを、出入国在留管理庁が証明する書類です。
転職時に企業側から提示を求められることがあります。
➡ 就労資格証明書交付申請については「こちらの記事もおすすめ」
Q4. 外国人材の採用を検討する企業は、いつ相談すればよいですか。
A. 採用の内定を出す前が理想的なタイミングです。
内定後に在留資格との不適合が判明すると、入社日の調整や契約内容の見直しが必要になり、双方に負担がかかります。
Q5. 家族を海外から呼び寄せる場合、まず何から始めればよいですか。
A. 呼び寄せる家族の状況(配偶者・子どもなど)によって該当する在留資格が異なります。
まずは呼び寄せたい家族との続柄と、日本側の受入態勢(住居・収入等)を整理するところから始めます。
➡ 参考:出入国在留管理庁「手続の種類から探す」(就労資格証明書交付申請を含む一覧)
8. 今後の課題と対応の方向性
南魚沼・湯沢地域では、観光業の季節変動や人手不足を背景に、外国人材への依存度が年々高まっています。
一方で、2025年4月の手数料改定、2026年6月の特定在留カード導入、そして2026年7月に公表された在留手続手数料の大幅な引き上げ案(2026年10月1日施行方針)など、制度面の変更が短期間に相次いでいます。
手数料改定案では、在留資格の変更・更新は許可される在留期間に応じて1万円から7万5,000円、永住許可は20万円への引き上げが示されており、パブリックコメントを経て正式決定される見込みです。
今後、企業にとっては採用・雇用継続にかかるコストの見直しが、外国人本人にとっては更新・永住申請の資金計画の見直しが、それぞれ必要になる可能性があります。
こうした変化に対応するための現実的な方法は、制度改正のたびに自己判断で進めるのではなく、早い段階で専門家に確認する習慣を持つことです。
特に企業側は、採用計画を立てる前に在留資格の適合性を確認しておくことで、内定後のトラブルを避けやすくなります。
9. まとめ : 制度を正しく理解することが安心への第一歩
ここまで解説してきた内容を整理すると、次のとおりです。
• 在留資格は日本国内での活動や身分を定める制度、ビザは入国のための証明という別の制度
• 手続きは呼び寄せ・変更・更新・取得・永住・資格外活動・就労資格証明の7種類が中心
• 必要書類は在留資格ごとに異なり、一律の正解はない
• 書類の一貫性が審査のスピードを左右する
• 行政書士は申請支援の専門家であり、許可を保証する立場ではない
在留資格の制度は、外国人ご本人だけでなく、外国人を雇用する企業にとっても実務に直結するテーマです。
「自分の場合はどの手続きが必要なのか」「会社として何を準備すればよいのか」と迷われている段階こそ、専門家に相談する適切なタイミングです。
【 専門家へのご相談について 】
にわの行政書士事務所では、南魚沼市・湯沢町をはじめ新潟県内の在留資格(就労系)に関するご相談を承っています。
外国人材の採用を検討されている企業の皆さまからのご相談に対応しております。
制度の細かな確認から申請書類の作成支援まで、状況に応じてサポートいたしますので、まずは当事務所ウェブサイトのお問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
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参考・出典
• 外務省「査証(ビザ)」
• 出入国在留管理庁公式サイト(トップページ)
• 出入国在留管理庁「在留資格から探す」
• 出入国在留管理庁「手続の種類から探す」
• 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
• 出入国在留管理庁「在留カードとは?」
• 出入国在留管理庁「地方出入国在留管理官署」
• 出入国在留管理庁「東京出入国在留管理局」
• 出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」
• 出入国在留管理庁「関する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について」
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