日々、地域の経済を支えるために尽力されている皆様にとって、「いつかは考えなければならない」と心に留めつつも、日々の忙しさからついつい後回しになってしまうのが「事業承継」ではないでしょうか。
しかし、2025年という大きな節目を迎え、事業承継を取り巻く環境は激変しています。
「まだ先のこと」と考えているうちに、長年築き上げてきた技術や信頼が途絶えてしまうのは、地域にとっても大きな損失です。
本記事では、2025年12月時点の事業承継事情と、南魚沼地域特有の課題、そして行政書士がどのようにお役に立てるのかを分かりやすく解説します。
1.事業承継とは?「単なる代替わり」ではない3つの承継
事業承継とは、会社の経営権や理念、資産を次世代に引き継ぐことを指します。
具体的には、以下の3つの要素をセットで引き継ぐことが重要です。
• 人(経営権): 代表者の地位、リーダーシップ、経営理念
• 資産(財産): 株式、設備、不動産、資金
• 知的資産(強み): 技術・ノウハウ、顧客との信頼関係、許認可
現在は、大きく分けて「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継(M&A)」の3つの手法が一般的です。
2.【2025年最新】日本が直面する事業承継の現状
現在、日本の中小企業は「2025年問題」のピークにあります。
これは、中小企業経営者の約245万人が70歳(平均引退年齢)を超え、その約半数が後継者未定であるという深刻な事態です。
2025年の最新調査(帝国データバンク等)によると、以下の傾向が見られます。
• 後継者不在率は改善傾向だが依然として高い
全国の後継者不在率は約50%前後で推移。
支援策の充実により改善は見られますが、依然として2社に1社は後継者が決まっていません。
•「親族内承継」の激減
かつては当たり前だった「子供が継ぐ」ケースが減り、信頼できる従業員や、外部の企業へのM&A(第三者承継)を選ぶケースが急増しています。
• 黒字廃業のリスク
経営状態が良いにもかかわらず、後継者がいないために廃業を選ばざるを得ない「黒字廃業」が社会問題となっています。
3.南魚沼エリアにおける事業承継のリアル
南魚沼市やその周辺地域では、特有の産業構造に基づいた事業承継の悩みが多く見られます。
① 建設業・運送業の「許認可」問題
南魚沼の基幹産業である建設業や運送業では、事業を続けるために「建設業許可」や「一般貨物自動車運送事業許可」などの厳しい許認可が必要です。
承継の手続きを誤ると、許可が失効し、翌日から営業できなくなるというリスクがあります。
② 観光・宿泊業の「リブランディング」
スキー場や温泉地を抱える当地域では、老舗旅館や民宿の承継も課題です。
若い世代への承継に伴い、インバウンド需要への対応やデジタル化といった「経営の刷新」をセットで行うケースが増えています。
③ 農業・食品加工業の集約化
コシヒカリの産地として、個人農家から法人への承継、あるいは複数の事業者を統合する形での承継が、地域の雇用を守る鍵となっています。
4.今後予想されること:2026年以降の展望
これからの事業承継は、単に「バトンを渡す」だけでは不十分になります。
• デジタル・トランスフォーメーション(DX)とのセット承継
後継者が、古いアナログな経営体制を嫌うケースが増えています。
承継を機にITを導入し、生産性を高める「第二の創業」がスタンダードになるでしょう。
• 「特例事業承継税制」の期限意識
贈与税・相続税の納税が猶予される特例措置の活用には期限があります。
2025年〜2026年にかけて、駆け込みでの準備が加速すると予想されます。
5.行政書士に「できること」と「できないこと」
事業承継は、税理士や弁護士、金融機関など、多くの専門家が関わります。
その中で行政書士が果たす役割は非常に具体的で重要です。
① 行政書士ができること(得意なこと)
• 許認可の承継手続き(最重要)
建設業、運送業、飲食店、産業廃棄物収集運搬など、事業に必要な許可を後継者へスムーズに引き継ぐための申請・届出を行います。
• 「事業承継計画書」の作成支援
現状を分析し、いつ、誰に、何を渡すかをロードマップ化します。
• 遺産分割協議書・遺言書の作成
親族内承継の場合、相続トラブルを防ぐための法的書類を作成します。
• 定款(ていかん)の変更
後継者がスムーズに経営判断できるよう、会社のルールブックである定款を最適化します。
• 補助金・助成金の申請代行
事業承継を機に活用できる補助金(事業承継・引継ぎ補助金など)の申請をサポートします。
② 行政書士ができないこと
• 具体的な税務申告・税務相談
税金の計算や節税の具体的なアドバイスは税理士の業務です。
• 紛争状態にある交渉
親族間で激しい争いがある場合の仲裁や訴訟は弁護士の業務です。
• 登記申請
代表取締役の変更などの法人登記や、不動産の移転登記は司法書士の業務です。
➡行政書士ができること・できないことについては「こちらの記事もおすすめ」
6.まとめ:後悔しないために今すぐ始めるべき準備
事業承継の準備には、最低でも3年〜5年はかかると言われています。
「まだ元気だから」「子供に話すのは照れくさいから」と先延ばしにせず、まずは現状を整理することから始めましょう。
南魚沼の素晴らしい技術やサービス、そして雇用を次世代へ繋ぐために。
行政書士は、法的な書類作成と許認可の専門家として、皆様をサポートいたします。
出典・参考資料
• 中小企業庁:「事業承継」
• 帝国データバンク:全国「後継者不在率」動向調査(2025年)
• 新潟県:「事業承継」
• 南魚沼市:事業承継マッチングプラットフォーム「relay the local 南魚沼市」
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※本記事は令和7年12月時点に入手可能な情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。