〈 はじめに : その給付金、申請しなければ1円も受け取れません 〉
ご家族を亡くされた後は、葬儀の手配や役所への届出、相続手続きと、とにかくやるべきことが次々と押し寄せてきます。
そのような慌ただしさの中で、多くの方が見逃してしまうのが「葬祭費」や「埋葬料」と呼ばれる給付金です。
この制度は、故人が生前に加入していた健康保険から、葬儀費用の一部として支給されるものです。
金額は保険の種類や自治体によって異なりますが、5万円前後が一般的で、場合によってはそれ以上になることもあります。
大切なのは、これらの給付金が「申請主義」であるという点です。
役所や保険者側から「お金を振り込みます」と連絡が来ることはありません。
自分から動かなければ、どれだけ長年保険料を納めていても一切受け取れないのです。
本記事では、南魚沼市・湯沢町・十日町市・魚沼市といった地域を中心に、2026年3月現在の最新情報に基づき、葬祭費・埋葬料の制度の仕組み、申請手順、よくある落とし穴、そして行政書士にできることまでを、わかりやすくご説明します。
1. まず確認! 「葬祭費」と「埋葬料」、どちらが適用される?
葬儀後に申請できる給付金は、故人がどの健康保険に加入していたかによって名称と申請先が変わります。
大まかに分けると次の2種類です。
① 葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合)
自営業者・フリーランス・年金受給者(75歳未満)などが対象。申請先は故人が住んでいた市区町村の窓口です。
② 埋葬料・埋葬費(社会保険=協会けんぽ・健保組合・共済組合などの場合)
会社員・公務員などが対象。申請先は故人が加入していた健康保険の保険者(協会けんぽ、健保組合など)です。
どちらか一方のみが適用され、重複して受け取ることはできません。
故人が退職してから国保に切り替えた直後に亡くなった場合など、どちらに申請すべきか迷うケースもありますが、その点についても後ほど詳しく説明します。
2. 【国民健康保険・後期高齢者医療制度】 葬祭費の制度と金額
① 葬祭費とは何か
国民健康保険法第58条の規定に基づき、国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合に、葬儀を行った人(喪主)に対して支給される給付金です。
75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度でも、同様の「葬祭費」が支給されます。
② 南魚沼・魚沼・湯沢・十日町の支給額
地域ごとの支給額を公式情報で確認したところ、以下の通りです(2026年3月現在)。
【 南魚沼市 : 5万円 】
「被保険者が死亡したとき、葬祭を行った人に5万円が支給されます(支給は口座振込です)」と公式サイトに記載されています。
➡ 参考:南魚沼市「国民健康保険 出産したとき・死亡したとき」
【 魚沼市 : 5万円 】
魚沼市の公式サイトでは、直葬(火葬式)でも葬祭費の申請が可能と明記されています。
➡ 参考:魚沼市「葬祭費・移送費の支給(国民健康保険)」
【 湯沢町 : 5万円 】
湯沢町の公式サイトでは「被保険者が亡くなった場合、喪主の方に葬祭費50,000円が支給されます」と公式サイトに記載されています。
➡ 参考:湯沢町「国民健康保険で受けられる給付」
【 十日町市 : 5万円 】
十日町市の公式ページには「国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、葬祭を行う人に葬祭費として50,000円が支給されます」と明記されています。
➡ 参考:十日町市「葬祭費の支給」
なお全国的には、多くの自治体で5万円が採用されているものの、東京23区など一部では7万円のところもあります。
③ 申請に必要なもの
各自治体によって若干異なる場合がありますが、一般的に以下のものが必要です。
• 国民健康保険葬祭費支給申請書(窓口でもらえます)
• 故人の保険証(資格確認書)
• 葬儀を行ったことがわかるもの(葬儀費用の領収書、会葬礼状など)
• 喪主名義の振込先口座がわかるもの(通帳など)
• 喪主の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
• 印鑑(認め印可)
マイナンバー確認が求められる自治体もあります。事前に窓口に問い合わせておくとスムーズです。
④ 申請先と申請期限
申請先は、故人が住民票を置いていた市区町村の窓口(市民課・国保年金係など)です。
申請期限は、葬祭を行った日の翌日から2年以内です。
この期限を過ぎると時効となり、一切受け取ることができなくなります。
葬儀後のバタバタした時期に忘れてしまうケースが非常に多いので、できれば国保の資格喪失届と一緒に申請することをお勧めします。
3. 【社会保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)】 埋葬料・埋葬費の制度と金額
① 埋葬料・埋葬費とは
会社員や公務員として勤めていた方が加入していた社会保険(協会けんぽ、各社健康保険組合、共済組合など)から支給される給付金です。
以下の3種類があります。
【 埋葬料 】
故人(被保険者)によって生計を維持されていた人が受け取れる給付金。
金額は一律5万円です。
【 埋葬費 】
故人に生計を維持されていた人がいない場合に、実際に埋葬を行った人が申請できます。
金額は5万円の範囲内で実費相当額(霊柩車代、火葬代など)が支給されます。
飲食費や香典返しは対象外です。
➡ 参考:全国健康保険協会「ご本人・ご家族が亡くなったとき」
【 家族埋葬料 】
被保険者(本人)の扶養に入っていた家族が亡くなった場合に、その被保険者本人が受け取れる給付金。
金額は一律5万円です。
➡ 参考:全国健康保険協会「被扶養者に関する給付」
② 健保組合の「付加給付」に要注意
協会けんぽでは法定の5万円のみの支給ですが、大企業の健康保険組合(組合健保)によっては、独自の「付加給付(埋葬料付加金)」が上乗せされることがあります。
例えば、関東ITソフトウェア健康保険組合では埋葬料5万円に加えて付加金が支給される事例が知られています。
故人が在籍していた会社が健康保険組合に加入していた場合は、勤務先の人事・総務担当者または健保組合に付加給付の有無を必ず確認しましょう。
意外な上乗せがある場合があります。
③ 申請先と申請期限
申請先は故人が加入していた健康保険の保険者です。
会社勤めの場合は、会社の人事・総務担当が手続きを代行してくれることもあります。
申請期限は、故人が亡くなった日の翌日から2年以内です(葬祭費の起算日「葬祭を行った日」とは異なります)。
申請に必要な書類は組合によって異なりますが、協会けんぽの場合、健康保険埋葬料(費)支給申請書のほか、事業主の証明が必要になります。
➡ 参考:全国健康保険協会「健康保険埋葬料(費)支給申請書」
4. 知らないと損をする! よくある落とし穴4選
① 退職直後の死亡 : どちらの保険から受け取るか?
会社を退職して国民健康保険に加入した後、3ヶ月以内に亡くなった場合、以前に加入していた社会保険(協会けんぽ等)から埋葬料を受け取れる可能性があります。
この場合、国民健康保険からの葬祭費は支給されません。
どちらが有利か(付加給付の有無など)を比較した上で対応しましょう。
➡ 参考:南魚沼市「国民健康保険 出産したとき・死亡したとき」
【 想定例 】
南魚沼市在住のAさん(64歳)が、定年退職して2ヶ月後に急逝した場合。
加入していた会社の健保組合に付加給付があれば、南魚沼市の国保葬祭費(5万円)より多くを受け取れる可能性があります。
② 申請を忘れたまま相続手続きが完了してしまう
葬祭費は「喪主」への給付金であり、厳密には相続財産には含まれません。
しかし、遺産整理に忙しい中で申請を忘れてしまい、2年の時効が過ぎてから気づくケースが後を絶ちません。
相続の戸籍謄本取得や遺産分割協議書の作成など、行政書士に相続手続きをご依頼いただく際に、「葬祭費の申請はお済みですか?」と確認させていただくことで、こうした取りこぼしを防ぐことができます。
③ 交通事故(第三者行為)による死亡の場合
交通事故など第三者の行為が原因で亡くなった場合、加害者からの損害賠償に葬儀費用が含まれることがあります。
その場合、健康保険からの給付金と損害賠償の二重取りを防ぐため、葬祭費・埋葬料の全部または一部が支給されないことがあります。
事前に市区町村や保険者に確認が必要です。
④ 生活保護受給者の場合
生活保護法に基づく「葬祭扶助」を受けて葬儀を行った場合、健康保険からの葬祭費を重ねて受け取ることはできません。
5. 申請の流れ : ステップごとに確認しよう
【 STEP 1 : 故人が加入していた保険の種類を確認する 】
保険証(または資格確認書)を確認します。
「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」なら葬祭費、「○○健康保険組合」「全国健康保険協会(協会けんぽ)」「共済組合」なら埋葬料の申請先です。
【 STEP 2 : 申請先に連絡し、必要書類を確認する 】
市区町村の場合は市役所の市民課・国保年金係へ、社会保険の場合は故人の勤務先や保険者に問い合わせます。
【 STEP 3 : 申請書類を準備する 】
葬儀費用の領収書や会葬礼状は、葬儀後すぐに保管しておきましょう。
後になってから探すと見当たらないケースがあります。
【 STEP 4 : 窓口または郵送で申請する 】
代理人による申請の場合は、委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
この代理申請は、行政書士が適法に行うことができます。
【 STEP 5 : 口座に振り込まれる 】
葬祭費の場合は申請後1〜2ヶ月程度、埋葬料(協会けんぽ)の場合は申請後2〜3週間程度が目安とされています。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 家族葬や火葬式(直葬)でも葬祭費は受け取れますか?
A1. 基本的には受け取れます。
魚沼市のように「直葬(火葬式)でも葬祭費の申請が可能」と公式に明記している自治体もあります。
ただし、自治体によっては葬儀の実施有無を確認するため、火葬の領収書の提出が求められる場合があります。
一部の自治体では火葬のみでは支給対象外となる場合もあるため、事前に居住地の市区町村に確認することをお勧めします。
Q2. 葬祭費・埋葬料に税金はかかりますか?
A2. かかりません。
葬祭費や埋葬料は所得税の対象外(非課税)であり、確定申告も不要です。
また、故人の相続財産には含まれないため、相続税の対象にもなりません。
Q3. 相続放棄をした場合でも受け取れますか?
A. 埋葬料・葬祭費は健康保険からの給付金であり、遺産の相続とは別の権利です。
そのため、相続放棄をしていても申請・受給することができます。
Q4. 故人の保険証(資格確認書)がない場合はどうすればいいですか?
A4. 亡くなった方の被保険者番号さえわかれば対応できる場合が多いです。
不明の場合は、市区町村の窓口や健保組合に相談してみてください。
Q5. 申請書の代わりにオンライン申請はできますか?
A5. 自治体によってはマイナポータルを経由したオンライン申請が可能な場合があります。
ただし対応状況は各市区町村で異なります。
南魚沼市・十日町市・湯沢町・魚沼市については、各市町の窓口に直接ご確認ください。
7. 行政書士に 「できること」 ・ 「できないこと」
行政書士への依頼をご検討の方のために、業務範囲を正直にお伝えします。
〈 ✔ 行政書士ができること 〉
① 書類作成・申請代行
葬祭費の支給申請書や相続に関する各種書類の作成・提出を代行できます。
役所に行く時間がない方や、書類の書き方がわからない方でも安心してお任せください。
② 戸籍謄本・住民票の収集
行政書士は職権で全国の市区町村から戸籍謄本や住民票を取り寄せることができます。
葬祭費の申請に加え、相続手続きに必要な戸籍一式をまとめて取得することが可能です。
③ 遺産分割協議書の作成
預金・不動産・車などの遺産整理に必要な遺産分割協議書を作成できます。
葬祭費の申請とあわせてトータルでご依頼いただけます。
④ 死後事務委任契約のサポート
生前に契約を締結しておくことで、死後の葬儀・葬祭費申請・遺品整理などを行政書士に一任することができます(詳細は後述)。
〈 ✖ 行政書士にできないこと 〉
① 争いのある相続の交渉
相続人同士で遺産の分配について対立が生じている場合、代理人として交渉・調停を行えるのは弁護士のみです。
② 相続登記の申請
法務局への登記申請は司法書士の独占業務です。
③ 相続税の計算・申告
相続税申告書の作成は税理士の独占業務です。
8. 今後の課題と「死後事務委任契約」という解決策
〈 申請主義の限界 〉
現在の給付金制度は「申請主義」です。
役所が自ら動いて「あなたはこの給付金を受け取れます」と教えてくれることはありません。
人口減少が進む南魚沼・湯沢・十日町・魚沼地域においても、ひとり暮らしの高齢者の増加や、親族が遠方に住んでいて葬儀後の手続きを担う人がいないケースが増えています。
その結果、本来受け取れるはずの給付金が、2年の時効で消滅してしまうという問題が生じています。
〈 「死後事務委任契約」という選択肢 〉
「身近に手続きを任せられる親族がいない」「子どもや親族に負担をかけたくない」という方には、死後事務委任契約の活用をお勧めします。
これは、自分が亡くなった後に必要となるさまざまな手続き(葬儀業者への連絡、葬祭費の申請、公共料金の解約、遺品整理など)を、生前に信頼できる人や専門家に委託しておく契約です。
行政書士がその受任者となることも可能で、確実に各種制度を活用しながらスムーズな手続きを行うことができます。
「まだ先のこと」と思わずに、元気なうちに準備しておくことが、残されたご家族や周囲の方への最大の思いやりになります。
9. まとめ : 葬儀後の手続き、まず一歩を踏み出すために
葬祭費・埋葬料は、故人が長年かけてきた保険料に対して支給される、あなたやご家族の正当な権利です。
しかし「申請主義」のため、動かなければ受け取れません。
葬儀を終えた後は心身ともに疲弊した状態が続き、役所の窓口に出向いたり書類を揃えたりすることが難しいと感じる方も多いでしょう。
そのようなときこそ、地域の事情に詳しい行政書士などの専門家に相談してみてください。
行政書士は、葬祭費の申請代行から、戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更まで、相続手続きをトータルでサポート可能です。
「何から始めればいいかわからない」という方のご相談も歓迎しております。
まずはお気軽に、お近くの行政書士までお問い合わせください。
出典・参考
• 南魚沼市「国民健康保険 出産したとき・死亡したとき」
• 魚沼市「葬祭費・移送費の支給(国民健康保険)」
• 湯沢町「国民健康保険で受けられる給付」
• 十日町市「葬祭費の支給」
• 全国健康保険協会(協会けんぽ)「ご本人・ご家族が亡くなったとき」
• 全国健康保険協会(協会けんぽ)「被扶養者に関する給付」
• 全国健康保険協会(協会けんぽ)「健康保険埋葬料(費)支給申請書」
• 全国健康保険協会(協会けんぽ)「埋葬料」制度説明ページ
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