毎年、冬が明けると南魚沼市・湯沢町・十日町市といった豪雪地帯のお店や会社から、こんなご相談が増えます。
「雪の重みで看板が曲がってしまった。同じものを同じ場所に建て直したいんだけど、何か手続きが必要?」
実は、この「同じ場所に同じものを建て直す」という行為が、法律上は新規設置と同じ扱いになるケースが多く、許可申請が必要なのです。
「昔は許可なしで建てた」「小さいから大丈夫だろう」という認識は、今では通用しないかもしれません。
- 1. そもそも「屋外広告物」って何? 条例が必要な理由
- 2. 雪害による看板の「再設置」は“新規申請”扱い 見落としがちな落とし穴
- 3. どこに建てる?「禁止地域」「許可地域」「適用除外」の3区分
- 4. 高さ・突出幅など知らないと困る「構造・規格」の基準
- 5. 南魚沼・湯沢・十日町エリアでの注意点と具体的なケース
- 6. 無許可で設置したらどうなる? 罰則と事故リスク
- 7. スムーズに再設置するための手続きの流れ
- 8. 行政書士だからできること、できないこと
- 9. よくある質問(Q&A)
- 10. 今後に向けて:雪害に強い看板の選択とデジタル活用
- 11.まとめ:雪害で壊れた看板の再設置は「正しい手順」でリスク回避を
- ≪ 南魚沼で行政書士をお探しの方へ ≫
1. そもそも「屋外広告物」って何? 条例が必要な理由
① 屋外広告物の定義
屋外広告物とは、常時または一定期間継続して屋外で公衆に表示されるもののことです。
お店の看板はもちろん、広告塔・広告板・ネオンサイン・立て看板なども含まれます(屋外広告物法第2条)。
建物に固定されたり道路沿いに設置されたりするものはほぼすべて該当すると考えてよいでしょう。
➡ 参考:新潟県「【南魚沼】屋外広告物について」
② なぜ条例が必要なのか
屋外広告物は街のにぎわいを演出してくれる一方、無秩序に設置されると街並みや自然の美しさを損ない、管理がおろそかになると落下事故など命に関わる危険を生みます。
特に新潟県の豪雪地帯では、雪の重みや落雪で老朽化した看板が崩落する危険性が格段に高くなります。
そこで新潟県は新潟県屋外広告物条例(平成7年新潟県条例第65号)を制定し、良好な景観の形成・風致の維持・公衆への危害防止を目的として、設置できる場所・サイズ・構造などを細かく定めています。
➡ 参考:新潟県「新潟県の屋外広告物について」
2. 雪害による看板の「再設置」は“新規申請”扱い 見落としがちな落とし穴
雪で壊れた看板を直す場合、修理の範囲内なのか、それとも新規設置に相当するのかで、必要な手続きがまったく変わります。
| 作業内容 | 法的な扱いの目安 |
| 表示シートの貼り替え・塗装のみ | 軽微な修繕(要確認) |
| 表示面(パネル)の作り直し | 変更許可が必要な場合あり |
| 支柱ごと新しく建て直し | ★新規許可申請が必要 |
支柱ごと倒壊・撤去して新たに建て直す場合は、ほぼ確実に新規の許可申請が求められます。
「以前は許可なしで建てた」という場合でも、現在の基準で審査を受けることになります。
また、許可を受けた広告物を変更・改造しようとするときは変更許可が必要とされています。
3. どこに建てる?「禁止地域」「許可地域」「適用除外」の3区分
新潟県屋外広告物条例では、設置場所を大きく3つに分類しています。
① 禁止地域(原則として設置不可)
次の区域は、広告物の設置が原則として禁止されています(条例第7条)。
・ 高速道路・上越新幹線の境界から両側300m以内の区域(用途地域等を除く)
・ 旧弥彦山有料道路・旧奥只見有料道路・旧越後七浦有料道路の境界から両側100m以内の区域(用途地域等を除く)
湯沢町は関越自動車道・上越新幹線が通るエリアであるため、自分の店が禁止地域に当たらないかどうか、まず確認が必要です。
② 許可地域(原則として許可が必要)
次の区域では、広告物を表示・設置するためには原則として新潟県知事の許可が必要です(条例第8条)。
・ 市町村の用途地域
・ 一般国道および県道のうち主要地方道・鉄道または軌道の境界線から両側100m以内の区域
・ 高速道路・上越新幹線の境界線から両側300mを超え500m以内の区域
・ 風致地区・文化財指定建物およびその敷地
・ 国立公園・国定公園・県立自然公園の区域
国道17号線沿いや、南魚沼市・十日町市の市街地(用途地域内)はこの「許可地域」に該当することが多く、市街地のお店はほぼ許可申請が必要と考えてよいでしょう。
③ 自家用広告物の適用除外(許可なしで設置できる場合)
禁止地域・許可地域であっても、自分の店・事務所に設置する「自家用広告物」で、以下の基準をすべて満たすものは、許可なしで設置できます(条例第9条・第10条)。
| 地域 | 主な要件① | 主な要件② |
| 禁止地域内 | 営業所等につき3個以内 | 表示面積の合計が10㎡以内 |
| 許可地域内 | 営業所等につき5個以内 | 表示面積の合計が10㎡以内 |
【 注意 】
複数の看板がある場合は「合計面積」で判定されます。
個々の看板が小さくても、合計が10㎡を超えれば許可申請の対象になる可能性があります。
4. 高さ・突出幅など知らないと困る「構造・規格」の基準
① 高さ4メートルを超えると「建築確認申請」が必要
看板の高さについては特に注意が必要です。
屋外広告物の高さが4メートルを超える場合、建築基準法に基づく工作物の確認申請が別途必要になる場合があります。
これは屋外広告物の許可申請とは別の手続きです。
南魚沼市の場合、市を経由し新潟県南魚沼地域振興局地域整備部建築課に確認が必要とされています。
➡ 参考:南魚沼市「建築確認申請」
➡ 参考:新潟県「南魚沼地域整備部 建築課」
② 雪国特有の「強度・落雪対策」
南魚沼・湯沢・十日町は全国でも有数の豪雪地帯です。
屋根付き看板の場合、落雪が道路や隣接地に落ちない構造になっているかが許可審査でも重視されます。
積雪荷重を考慮した設計が求められるケースもあるため、施工業者と十分に相談することが重要です。
5. 南魚沼・湯沢・十日町エリアでの注意点と具体的なケース
〈 申請窓口:南魚沼地域振興局 〉
南魚沼市・湯沢町・魚沼市などの屋外広告物に関する許可手続きは、新潟県南魚沼地域振興局地域整備部庶務課行政係が窓口となります。
➡ 参考:新潟県「【南魚沼】地域整備部 行政係からのお知らせ」
【 想定例①:南魚沼市内・国道17号線沿いの店舗 】
国道17号線沿いは「主要地方道・国道の境界から100m以内」として許可地域に指定されているエリアが多いため、看板の再設置には許可申請が必要なケースが一般的です。
また景観への配慮から、色彩の基準(蛍光色などへの制限)が設けられている場合があります。(※想定例のため、実際の区分・基準は振興局にご確認ください)
【 想定例②:湯沢町のリゾートエリア 】
湯沢町は観光地であることから、景観に関する独自のルールが設けられる場合があります。
看板の高さや照明の明るさについて、通常の許可基準に加えた指導が行われるケースもあると考えられます。
また関越道・新幹線に近いエリアでは禁止地域や特別な規制区域に該当する可能性もあるため、事前確認が不可欠です。(※想定例のため、実際の区分・基準は振興局にご確認ください)
【 想定例③:十日町市内の雁木通り沿いの店舗 】
雁木(がんぎ)のある通りでは、看板が歩行者の通行を妨げないか、また雪下ろし作業の障害にならないかといった観点も、設置の可否に影響することが考えられます。
突き出し幅や高さについては特に慎重な確認が必要です。(※想定例のため、実際の区分・基準は振興局にご確認ください)
6. 無許可で設置したらどうなる? 罰則と事故リスク
条例違反の罰則
| 罰則の種類 | 内容 |
| 是正命令・撤去命令 | 無許可設置が判明した場合、自治体から撤去・改修の命令が出されます |
| 罰金(50万円以下) | 命令に違反した場合に科せられる可能性があります(条例第34条等) |
| 過料(5万円以下) | 継続許可の申請を怠った場合なども対象になります |
〈 事故が起きたときの「工作物責任」 〉
万が一、無許可または管理不十分な看板が倒壊・落下して通行人がケガをした場合、看板の所有者・管理者は民法上の工作物責任(民法第717条)を問われます。
これは設置・保存に瑕疵があった場合に損害賠償責任を負うという規定で、相手方への賠償額が高額になるケースも珍しくありません。
また新潟県屋外広告物条例では、「著しく破損し、または老朽したもの」「倒壊または落下のおそれがあるもの」は禁止広告物として定められており(条例第5条)、そのような状態のまま放置することは条例違反にもなります。
➡ 参考:新潟県「新潟県屋外広告物関係例規集」
7. スムーズに再設置するための手続きの流れ
【 Step 1 】: 危険な看板の安全な撤去(管理義務の観点からも最優先)
【 Step 2 】: 新しい看板の仕様決定(設置場所・サイズ・高さ・デザイン等)
【 Step 3 】: 所管の地域振興局・市町村への事前相談(条例への適合確認)
【 Step 4 】: 許可申請書の作成・提出(付近見取り図・設計図・色彩デザイン等)
【 Step 5 】: 審査・許可証の交付(概ね2週間程度)
【 Step 6 】: 許可取得後に施工・設置工事(必ず許可後に着工)
【 ポイント 】
令和6年9月以降は、新潟県電子申請システムによるオンライン申請も可能になっています。
また令和6年8月末をもって新潟県収入証紙が廃止されており、現在はキャッシュレス決済または金融機関窓口での現金納付となっています。
8. 行政書士だからできること、できないこと
〈 ✔ 行政書士ができること(得意なこと) 〉
・ 条例・法令の調査:設置地が禁止・許可地域のどちらかを最新条例で確認します
・ 許可申請書の作成・代理提出:複雑な申請書類を作成し、振興局へ代理で提出します
・ 他の許可との調整:道路占用許可・建築確認申請など関連手続きの整理を支援します
・ 継続許可(更新)の管理:更新時期の管理や申請書類の作成も対応可能です
〈 ✖ 行政書士ができないこと(他の専門家が担当) 〉
・ 看板の製作・施工工事:実際の製作・取り付け工事は屋外広告業者(看板業者)が担当します
・ 高度な構造計算書の作成:高さ4m超の大規模な看板等の構造計算書作成は建築士の業務範囲です
9. よくある質問(Q&A)
Q1. 雪で壊れた看板をそのまま放置しておいてよいですか?
A. いいえ、放置は危険であり条例違反にもなります。
新潟県屋外広告物条例第5条は「著しく破損し、または老朽したもの」「倒壊または落下のおそれがあるもの」を禁止広告物として定めています。
事故が起きれば工作物責任を問われる可能性があるため、速やかに撤去または適切な修繕・再設置の手続きを取ることが必要です。
Q2. 以前は許可なしで設置できたのに、なぜ今は必要なのですか?
A. 条例の改正や区域指定の変更が原因のことがほとんどです。
新潟県屋外広告物条例は数度にわたって改正されています(直近では平成29年4月1日に点検規定を明記する改正あり)。
また用途地域の変更により「許可不要な区域」から「許可が必要な区域」に変わることもあります。
以前の感覚で判断せず、現在の条例を確認することが重要です。
Q3. 許可申請にはどのくらいの費用と時間がかかりますか?
A. 申請手数料は設置面積等により異なり、審査には概ね2週間程度かかります。
申請手数料は表示・設置する広告物の種類や面積に応じて決まります。
なお、令和6年8月末をもって新潟県収入証紙が廃止されており、現在はキャッシュレス決済または金融機関窓口での現金納付となっています。
Q4. 補助金はもらえますか?
A. 自治体によっては補助制度がある場合もありますが、現時点での詳細は不明です。
商店街の景観整備や老朽看板の撤去・更新に対して、自治体が補助金制度を設けているケースがあります。
制度の有無・内容は時期や自治体によって異なるため、各市町村の担当窓口へご確認ください。
10. 今後に向けて:雪害に強い看板の選択とデジタル活用
① 雪に強い看板のデザイン
雪が積もりにくい形状(三角屋根型・傾斜面を持つデザイン)や、冬期だけ取り外せる可動式の看板にすることで、雪害リスクを減らせます。
また、最初から自家用広告物の面積基準内(10㎡以内)に収まるように設計することで、毎回の申請コストを削減できる場合もあります。
② デジタルとの組み合わせ
物理的な大型看板を小型化・集約しつつ、店舗情報の詳細はウェブサイトやQRコードで案内する方法も増えています。
看板の表示面積を抑えることで、許可申請の対象外に収まるケースも生まれ、管理の手間が減るメリットもあります。
③ 定期的な点検義務
平成29年4月の条例改正により、屋外広告物の定期点検規定が明文化されています。
雪解け後・台風シーズン前などに定期的な点検を行い、異常があれば早めに対処することが、大きな事故を防ぐ最善策です。
11.まとめ:雪害で壊れた看板の再設置は「正しい手順」でリスク回避を
雪害で看板が壊れたとき、気持ちは「早く元通りにしたい」と焦りますが、手続きをすっ飛ばすと後で大きな問題になりかねません。
〈 まず行うべきことの3ステップ 〉
・ 壊れた看板を安全に撤去し、危険な状態を解消する
・ 新しい看板の仕様を固め、設置場所の区分(禁止・許可・除外)を確認する
・ 必要であれば許可申請の手続きを経て、適法な状態で再設置する
この流れを正しく踏むことで、罰則リスクや事故賠償リスクを回避しながら、安心して看板を復活させることができます。
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出典・参考
・ 新潟県「新潟県の屋外広告物について」
・ 新潟県「屋外広告物の表示・設置許可について」
・ 新潟県「【南魚沼】屋外広告物について」
・ 新潟県「【南魚沼】地域整備部 行政係からのお知らせ」
・ 新潟県「新潟県屋外広告物関係例規集」
・ 新潟県「南魚沼地域整備部 建築課」
・ 南魚沼市「建築確認申請」
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