〈 この記事は、こんな方に向けて書いています 〉
新潟県南魚沼市、魚沼市、湯沢町エリアで介護施設や訪問介護事業所を営んでいる方、あるいはこれから外国人材の採用を検討している採用担当者に向けて書いています。
新潟県の高齢化率は令和7年10月1日時点で34.6%となり、全国平均の29.4%を5.2ポイント上回っています。
➡ 参考:新潟県「令和7年 高齢者の現況」
積雪地帯特有の通勤事情や人口流出も重なり、南魚沼・魚沼・湯沢エリアの介護現場では、日本人だけでの人員確保がますます難しくなっているのが実情です。
そこで選択肢に挙がるのが外国人介護人材の採用ですが、「特定技能と在留資格『介護』はどう違うのか」「留学生を卒業後にそのまま雇えるのか」といった疑問を持つ事業者様は少なくありません。
在留資格の制度は複雑で、しかも改正が続いています。
2026年6月には介護福祉士の資格取得に関わる法改正も成立しており、この記事では2026年8月時点の最新情報をもとに、制度の基本、手続きの流れ、必要書類、よくある失敗、行政書士に依頼できる範囲までを整理してお伝えします。
なお、本記事は2026年8月時点の公表資料をもとに作成しています。
1. 南魚沼・魚沼・湯沢エリアで想定される相談例
当事務所が所在する新潟県南魚沼市や湯沢町などの近隣地域では、次のような相談が想定されます。
※ 以下はいずれも特定の個人・法人の事例ではなく、よくある相談内容を参考にした想定例です。
【 想定例 ① 】
南魚沼市内の特別養護老人ホームで、介護職員の求人を出しても応募がほとんど集まらず、特定技能での採用を検討していました。
担当者は「日本語能力試験に合格していればすぐ働けるはず」と考えていましたが、実際には介護技能評価試験や協議会加入の手続きが必要で、採用スケジュールを見直すことになりました。
【 想定例 ② 】
魚沼市の介護施設で、日本語学校を卒業予定の留学生を採用しようとしたところ、在留資格変更許可を受けるまでは正社員として勤務できないことが分かり、勤務開始日を調整しました。
【 想定例 ③ 】
湯沢町の施設で特定技能外国人を受け入れた後、銀行口座の開設や公共交通機関の使い方が分からず、本人が不安を抱えるケースがありました。
仕事の指導体制は整っていても、生活面の支援まで手が回っていなかったことが原因でした。
こうした相談に共通するのは、「介護福祉士の資格や日本語力さえあれば就労できる」という思い込みです。
在留資格ごとに要件も手続きも異なるため、採用前の確認を怠ると採用時期がずれ込みます。
積雪期は移動や書類のやり取りにも時間がかかりやすいため、南魚沼エリアでは特に早めの準備が求められます。
2. 介護分野で外国人を受け入れる4つの制度
厚生労働省は、外国人介護人材の受入れの仕組みとして、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4制度を案内しています。
➡ 参考:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
| 制度 | 対象となる人 | 主な特徴 |
| 在留資格 「介護」 | 介護福祉士の国家資格を取得した外国人 | 在留期間の更新に回数制限がなく、要件を満たせば家族帯同も可能 |
| 特定技能1号(介護) | 介護技能評価試験・介護日本語評価試験等に合格した外国人 | 受入れ機関に支援計画の実施や協議会加入などの義務がある |
| EPA介護福祉士候補者 | インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国出身者 | 唯一の受入れ調整機関である国際厚生事業団(JICWELS)を通じてのみあっせんが可能 |
| 技能実習 (介護職種) | 技能実習生 | 2027年4月1日に育成就労制度へ移行予定(2026年8月時点では技能実習制度が継続) |
〈 在留資格「介護」 〉
在留資格「介護」は平成29年(2017年)9月1日に創設された制度で、日本の介護福祉士養成施設を卒業した留学生などが対象でした。
その後、令和2年(2020年)4月1日の上陸基準省令改正により、実務経験ルートで介護福祉士の国家資格を取得した方も対象に加わっています。
➡ 参考:厚生労働省「介護福祉士資格を取得した外国人の方に対する在留資格『介護』の付与について」
在留期間の更新回数に制限がなく、実質的に長期就労が見込める点が大きな特徴です。
なお、出入国在留管理庁の案内によると、2026年4月15日以降の申請からは「所属機関の代表者に関する申告書」の提出が追加で必要になっています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格『介護』」
他の在留資格でも同時期に同様の書類追加が行われており、これから申請書類一式を用意する場合は最新の提出書類一覧を必ず確認してください。
さらに2026年8月時点の最新の動きとして押さえておきたいのが、介護福祉士資格の取得ルールの変更です。
養成施設卒業者が国家試験に不合格・未受験でも一定期間は介護福祉士として働ける経過措置は、令和8年度(2026年度)卒業者で終了する予定でした。
しかし2026年6月25日公布の「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により、令和13年度(2031年度)卒業者まで5年間延長されています。
➡ 参考:厚生労働省PDF「社会福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」
施行は原則2027年4月1日です。
留学生が養成施設卒業後に在留資格「介護」へ変更するルートは当面維持されますが、国会の附帯決議は「今回の延長を最後とする」方針も示しており、将来的に要件が厳格化する可能性があります。
養成施設ルートでの留学生採用を検討する事業者様は、この点も踏まえて計画を立てるとよいでしょう。
〈 特定技能1号(介護分野) 〉
特定技能1号は、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語能力要件などを満たした外国人が対象です。
一定の場合には試験が免除されるケースもあります。
受入れ機関には、介護分野における特定技能協議会への加入が義務づけられており、原則として在留諸申請の前までに入会証明書の発行を受ける必要があります。
入会申請から証明書発行までは通常2週間程度かかり、証明書の有効期間は初回発行時が1年間、更新後は4年間です。
➡ 参考:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
入会費・年会費は徴収されません。
➡ 参考:出入国在留管理庁「特定技能1号「介護分野」」
➡ 特定技能については「こちらの記事もおすすめ」
〈 EPA介護福祉士候補者 〉
EPAは経済連携協定に基づく制度で、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国から受け入れています。
候補者は介護施設で働きながら国家試験合格を目指し、滞在期間は最長4年間です。
あっせんは国内で唯一、国際厚生事業団(JICWELS)が担っており、一般の職業紹介事業者や労働者派遣事業者を通じたあっせんは認められていません。
資格取得後は在留期間の更新回数に制限なく就労を続けられます。
➡ 参考:厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
➡ 参考:公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)「EPA看護・介護受入事業」
〈 技能実習と育成就労制度 〉
2026年8月時点では、介護職種の技能実習制度は継続しています。
ただし、技能実習制度は廃止され、2027年4月1日に育成就労制度へ移行することが決まっています。
介護分野を含む分野別運用方針はすでに2026年1月23日に閣議決定されており、出入国在留管理庁のサイトでは介護分野の運用要領も順次公開が進んでいます。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針」
移行時期が近づくにつれ、提出書類や運用方法がさらに更新される可能性があるため、これから技能実習生の受入れを計画している場合は、切り替え時期を意識したスケジュール管理が欠かせません。
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3. 採用手続きの流れ
在留資格によって細部は異なりますが、おおまかな流れは共通しています。
♦ ステップ 1 : 担当してもらう業務内容を整理する
身体介護、生活援助、レクリエーション、記録作成など、どこまでの業務を任せるのかを先に決めておきます。
在留資格によって従事できる業務範囲が違うため、ここを曖昧にしたまま採用を進めると後で行き詰まります。
♦ ステップ 2 : 在留資格を確認する
既に日本にいる方を採用する場合は、在留カードで在留資格・在留期間・就労制限の有無を確認します。
「留学」や「家族滞在」の資格では、原則としてフルタイム勤務は認められません。
♦ ステップ 3 : 雇用契約を締結する
給与や勤務時間などの労働条件を明確にした上で契約を結びます。
特定技能の場合、日本人と同等以上の報酬を支払うことが必須要件です。
➡ 参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」
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♦ ステップ 4 : 入管への申請を行う
状況に応じて、「在留資格認定証明書交付申請」、「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」のいずれかを行います。
「申請取次行政書士」が代理で提出する場合、申請人本人が地方出入国在留管理官署へ出頭する必要は原則ありません。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
♦ ステップ 5 : 就労開始後の支援を行う
特定技能外国人を受け入れる場合、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、定期面談などの支援が義務づけられています。
支援業務は登録支援機関へ委託することもできますが、最終的な責任は受入れ機関にあります。
➡ 登録支援機関と行政書士の違いについては「こちらの記事もおすすめ」
積雪期に申請書類のやり取りが必要になると、郵送や来所に想定以上の時間がかかることもあります。
南魚沼エリアでは、余裕を持ったスケジュールを組むことを強くおすすめします。
4. 必要書類の例
必要書類は在留資格や申請の種類によって異なり、「前回と同じ書類で申請できる」とは限りません。
以下は一般的に求められることが多い書類の例です。
実際に必要な書類は、出入国在留管理庁が公表する最新の提出書類一覧で確認してください。
| 区分 | 主な書類例 |
| 外国人本人 | パスポート、在留カード、証明写真、申請書、介護福祉士登録証(在留資格「介護」の場合)、試験合格証明書(特定技能の場合) |
| 受入れ機関 | 雇用契約書、労働条件通知書、法人登記事項証明書、決算書類、事業所の概要が分かる資料 |
| 特定技能特有の書類 | 1号特定技能外国人支援計画書、支援責任者・支援担当者に関する資料、協議会加入に関する資料 |
在留資格「介護」については、前述のとおり2026年4月15日以降の申請から「所属機関の代表者に関する申告書」が追加で必要になっている点にも注意が必要です。
書類の不備は審査の長期化に直結するため、申請前のチェックが欠かせません。
5. よくある失敗例
♦ 失敗例 ① : 在留資格を確認せずに採用を決めてしまう
「日本語が上手だから大丈夫」「以前からアルバイトをしていたから」という理由だけで正社員採用を進め、後から就労制限に気づくケースです。
♦ 失敗例 ② : 許可前提で勤務開始日を決めてしまう
在留資格変更許可申請や在留資格認定証明書交付申請の審査期間は一定ではありません。
審査中に予定どおり働き始められないことは珍しくなく、許可が下りる前提で採用日を確定させるのは避けるべきです。
♦ 失敗例 ③ : 業務内容の整理が不十分なまま採用する
身体介護、清掃、配膳など介護現場の業務は幅広く、在留資格によって従事できる範囲が異なります。
担当業務を事前にすり合わせていないと、就労開始後に「その業務はこの在留資格では認められない」という事態になりかねません。
♦ 失敗例 ④ : 特定技能の義務を軽く見てしまう
支援計画の作成、定期面談、各種届出など、特定技能には採用後も継続する義務があります。
「採用したら終わり」という認識のままでは、行政機関への報告漏れにつながります。
♦ 失敗例 ⑤ : 生活支援を後回しにする
南魚沼・魚沼・湯沢エリアのように公共交通機関が限られ、冬季の移動負担が大きい地域では、住居探しや通勤手段の確保など、職場外の生活支援も採用前から検討しておく必要があります。
前述の想定例③で紹介したとおり、仕事の指導体制だけを整えても、生活面の不安が離職につながることがあります。
6. 行政書士としての注意点 「できること」・「できないこと」
介護分野の外国人採用では、行政書士が次のような場面でサポートできます。
• 在留資格の確認と、採用予定者に適した制度の整理
• 「在留資格認定証明書交付申請」、「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」の書類作成
• 「申請取次行政書士」による出入国在留管理庁への取次申請
• 必要書類の整理と、受入れスケジュールの確認
• 制度改正(2027年4月の育成就労制度移行など)に関する情報提供
一方で、行政書士には法律上できない業務もあります。
職業紹介や労働者派遣、人材あっせんは行政書士の業務範囲ではなく、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士、税務申告は税理士の専権事項です。
また、在留資格の許可・不許可を決定する権限は出入国在留管理庁にあり、行政書士が許可を保証することはできません。
この点を理解した上で依頼先を選ぶことが、事業者様にとっても安心につながります。
7. よくある質問
Q1. 特定技能外国人の支援は必ず登録支援機関に委託しなければなりませんか。
A. 必ずしも委託が義務ではありません。
受入れ機関が支援体制の基準を満たしていれば、自社で支援を実施することも認められています。
自社での体制構築が難しい場合に、全部または一部を登録支援機関へ委託する形が一般的です。
Q2. 留学生は卒業後すぐに介護職として正社員採用できますか。
A. 卒業しただけで自動的に就労できるわけではありません。
介護福祉士国家試験に合格し、在留資格「介護」への変更許可を受けるなど、状況に応じた手続きが必要です。
Q3. 特定技能外国人の受入れ人数に上限はありますか。
A. 事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を超えて受け入れることはできません。
なお、この「日本人等」には技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生は含まれない点に注意が必要です。
➡ 参考:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
(参考1:介護分野関係法令・通知等一覧内、特定の分野に係る要領別冊(介護分野)p9 第3 特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準、告示第2条第3号参照)
Q4. 行政書士に相談するタイミングはいつがよいですか。
A. 採用予定者が決まってから相談することも可能ですが、求人募集を始める前の段階での相談をおすすめします。
受入れ可能な在留資格や必要な準備をあらかじめ確認しておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。
8. 今後の制度動向と対応のポイント
2026年8月時点で押さえておきたい制度動向は、大きく2つあります。
1つ目は、技能実習制度から育成就労制度への移行です。
2027年4月1日の施行に向けて、介護分野を含む分野別運用方針はすでに閣議決定を経ており、監理支援機関の許可や育成就労計画の認定は施行日前から順次申請受付が始まる予定です。
現行の技能実習の監理団体許可申請・技能実習計画認定申請にも締切が設けられています。
技能実習生の受入れを検討している事業者様は、移行時期をまたぐ採用計画にならないか、早めに確認しておくことをおすすめします。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度」
➡ 育成就労制度については「こちらの記事もおすすめ」
2つ目は、前述した介護福祉士資格の経過措置の5年延長です。
人手不足の介護現場にとっては歓迎できる内容ですが、国会の附帯決議は「今回の延長を最後とする」方針も示しており、5年後にはルールが再び変わる可能性があります。
留学生の採用計画を立てる際は、資格取得までの見通しを長い目で確認しておく必要があります。
➡ 参考:厚生労働省PDF「社会福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」
在留資格「介護」で見られたように、提出書類の追加や資格制度そのものの見直しは、今後も他の在留資格・資格制度で起こり得ます。
制度改正のたびに一から調べ直すのは事業者様にとって大きな負担であり、この点こそ専門家に継続的に相談する価値があるところだと感じています。
9. まとめ : まずは求人を出す前にご相談ください
介護分野の外国人採用は、在留資格ごとに要件も必要書類も異なり、しかも制度改正が続いています。
南魚沼・魚沼・湯沢エリアのような積雪地帯では、書類の準備や生活支援の検討にも時間の余裕を持たせる必要があります。
当事務所は、南魚沼市・魚沼市・湯沢町をはじめとした地域の介護事業者様からのご相談に対応し、在留資格の確認から必要書類の整理、申請取次行政書士としての出入国在留管理庁への取次まで、一つひとつ丁寧にサポートいたします。
「どの制度を使えばよいか分からない」「今進めている手続きに不安がある」という場合は、求人を出す前の段階でも構いませんので、当事務所のホームページからお気軽にお問い合わせください。
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出典・参考
• 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
• 厚生労働省「介護福祉士資格を取得した外国人の方に対する在留資格『介護』の付与について」
• 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
• 厚生労働省老健局PDF「社会福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」
• 厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
• 公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)「EPA看護・介護受入事業」
• 出入国在留管理庁「在留資格『介護』」
• 出入国在留管理庁「特定技能制度」
• 出入国在留管理庁「育成就労制度」
• 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針」
• 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
• 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
• 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
• 新潟県「令和7年 高齢者の現況」
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