〈 この記事は、こんな方に向けて書いています 〉
「工場で働いてくれる外国人を探しているが、クリーニング業でも特定技能は使えるのか」
「ホテルのシーツやタオルを請け負っているが、リネンサプライという新しい分野があると聞いた」
「一般のクリーニング店でも技能実習生を雇えると聞いたが、本当だろうか」
南魚沼市や湯沢町周辺でクリーニング関連の事業を営む方から、こうした相談が増えています。
背景にあるのは、2026年に入ってから立て続けに動いている制度改正です。
特定技能に「リネンサプライ分野」が新たな対象分野として位置づけられ、技能実習には「クリーニング職種」が新設され、さらに2027年4月には技能実習に代わる育成就労制度が始まります。
ただし、ここで一つ注意が必要です。
「クリーニング業だから外国人を雇える」という単純な話ではなく、何を洗濯するか、どこで作業するかによって使える制度がまったく変わってきます。
この記事では、2026年8月10日時点で確認できる公的資料をもとに、南魚沼市・湯沢町・魚沼市・十日町市など周辺地域のクリーニング事業者が押さえておきたいポイントを整理します。
※ リネンサプライ分野の評価試験や運用の詳細は今後公表される予定のため、実際の採用・申請の際は必ず最新の公的情報をご確認ください。
➡ 参考:出入国在留管理庁「リネンサプライ分野」
1. まず押さえたい大前提:「クリーニング業」でもタイプによって制度が違う
ひとくちにクリーニング業といっても、実務上は次のように区分が分かれます。
【 一般クリーニング 】
個人客から預かったワイシャツ、スーツ、コートなどを洗濯・仕上げする業務
【 リネンサプライ 】
ホテル・旅館・病院などで使用されたシーツ、タオル、寝具類を請け負って洗濯・仕上げする業務
【 ビルクリーニング 】
オフィスビルや商業施設など建物内部の清掃業務(衣類やリネン類の洗濯とはまったく別の分野です)
このうち、外国人材の受け入れ制度が直接関わってくるのは前の二つです。
ビルクリーニング分野はすでに特定技能の対象分野として存在していますが、これは建物清掃であり、洗濯業とは別物なので混同しないよう注意してください。
➡ 参考:出入国在留管理庁「ビルクリーニング分野」
2026年1月23日、政府は特定技能・育成就労の分野別運用方針を閣議決定し、リネンサプライを含む3分野を特定技能の対象に追加しました。
出入国在留管理庁のリネンサプライ分野のページも同年6月1日時点の内容として公開されています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「リネンサプライ分野」
ただし、ここが重要なところです。
同じページには「リネンサプライ分野は準備中です」との記載があり、技能評価試験の実施要領も準備中とされています。
つまり2026年8月現在、制度の枠組みはできていても、実際に技能試験を受けて特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請をする、という流れがすぐに動き出せる段階ではないということです。
受入れ見込数は令和11年3月末までで4,300人と示されていますが、本格的な受け入れ開始は2027年度からになる見通しです。
一方、一般クリーニングについては、2025年3月7日付けで技能実習の移行対象職種に「クリーニング職種(一般家庭用クリーニング作業)」が新設されました(2号まで実習可能)。
しかし、2027年4月に始まる育成就労制度では、一般家庭用クリーニング作業は対象分野に含まれていません。
出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aでも、この作業区分は令和8年1月23日閣議決定の分野別運用方針において育成就労の対象としていないと明記されています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q30)
この2つの動き、つまり「リネンサプライは特定技能・育成就労どちらの対象にもなったが、まだ準備段階」「一般家庭用クリーニングは技能実習では受け入れ可能だが、育成就労には引き継がれない」という非対称な状況こそが、2026年のクリーニング業における外国人雇用を分かりにくくしている核心部分です。
2. 南魚沼・湯沢周辺で想定される相談パターン
当事務所が所在する新潟県南魚沼市や湯沢町などの近隣地域では、次のような相談が想定されます。
※ 以下はいずれも特定の個人・法人の事例ではなく、よくある相談内容を参考にした想定例です。
♦ 想定例 ① 「ホテル・旅館のリネンを請け負う洗濯工場」
湯沢町周辺で宿泊施設向けのシーツやタオルをまとめて洗濯している事業者が、「工場スタッフとして外国人を採用したい」と考えるケースです。
業務内容がホテル・旅館で使用されたリネン類の入荷・仕分け・洗濯・乾燥・仕上げであれば、特定技能のリネンサプライ分野の対象業務に近いといえます。
ただし前述のとおり評価試験は準備中のため、今すぐ特定技能1号として申請できるわけではありません。施設が衛生基準の認定を受けているか、知事登録を受けた営業所での直接雇用になっているかなど、会社側の準備を先に進めておく段階だと考えたほうが実情に合っています。
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♦ 想定例 ② 「スキーシーズンの繁忙期だけ人手を増やしたい」
「冬場だけ宿泊施設からの依頼が急増するので、その時期だけ外国人を雇いたい」という相談です。
特定技能は季節限定のアルバイト制度ではなく、雇用契約や支援体制など制度上の要件を満たす必要があり、繁忙期の人手不足という事情だけで短期雇用の枠組みとして扱うことはできません。
♦ 想定例 ③ 「一般家庭向けクリーニング店の工場作業」
南魚沼市内で個人客の衣類を扱うクリーニング店が、「洗濯・アイロン・仕上げを担当する外国人を採用したい」と考えるケースです。
この業務はリネンサプライ分野の対象外ですので、特定技能をそのまま使うことはできません。
技能実習であれば「クリーニング職種(一般家庭用クリーニング作業)」として受け入れ可能ですが、2027年4月以降に技能実習からの新規受け入れがどう続くのか、育成就労には引き継がれない業務区分である以上、慎重な見極めが必要になります。
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♦ 想定例 ④ 「受付とクリーニング工場作業を兼任させたい」
店頭での接客・レジ対応と、工場での洗濯・仕上げ作業を一人に任せたい、という相談です。
この場合も業務を一つずつ書き出すことが出発点になります。
なお、大学等で専攻した知識を活かす「技術・人文知識・国際業務」は、通訳や企画といった専門的業務を前提とする在留資格であり、店頭対応や現場作業が中心の場合はそもそも該当しにくいとされています。
「クリーニング店の従業員だから」とひとまとめにせず、実際の業務比率を確認する必要があります。
➡ 参考:出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」
➡ 技術・人文知識・国際業務については「こちらの記事もおすすめ」
♦ 想定例 ⑤ 「すでに日本にいる外国人を採用したい」
「近隣の飲食店で働いている留学生を、うちのクリーニング工場で雇いたい」というような相談です。
まず確認すべきは本人の在留カードに記載された在留資格と、資格外活動許可の有無です。
「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などは就労制限がありませんが、それ以外の在留資格では、現在の資格でクリーニング業務が行えるかどうかを個別に確認しなければなりません。
➡ 参考:出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
♦ 想定例 ⑥ 「技能実習を修了した外国人を再び雇用したい」
「以前、別の会社でクリーニング分野の技能実習をしていた外国人を、うちで雇いたい」という相談も考えられます。
リネンサプライ分野の特定技能1号では、一定の要件を満たした技能実習2号修了者について技能試験・日本語試験の免除が認められる場合がありますが、これは修了した職種・作業と、これから従事する業務の関連性が個別に判断されるためです。
「クリーニングの技能実習を修了したから、どのクリーニング業務にも免除が使える」という単純な話ではない点に注意してください。
これらに共通するのは、「クリーニング業だから」という業種名だけで判断せず、洗濯対象・作業場所・担当業務の3点を具体的に整理することが最初のステップになる、という点です。
3. 外国人採用までの実務的な手続きの流れ
♦ STEP ① 「本人の在留状況を確認する」
在留カードで在留資格、在留期限、就労制限の有無を確認します。
すでに日本にいる方を採用する場合は、この確認を飛ばして先に進めることはできません。
♦ STEP ② 「担当してもらう業務を具体的に書き出す」
「工場作業」ではなく、仕分け・洗濯・乾燥・プレス・検品・結束・出荷・受付など、実際の作業を一つずつリストアップします。
♦ STEP ③ 「該当しうる在留資格・分野を照合する」
リネンサプライ分野(ホテル・病院向けのリネン類)に当てはまるのか、一般家庭用クリーニングに当てはまるのか、あるいはどちらにも当てはまらないのかを整理します。
♦ STEP ④ 「会社側の受け入れ条件を確認する」
リネンサプライ分野で特定技能・育成就労外国人を受け入れる場合、業界団体が定める衛生基準の認定を受けた施設であること、知事登録を受けた営業所で直接雇用すること、分野別協議会の構成員になることなどが必要です。
➡ 参考:厚生労働省「制度の概要(リネンサプライ分野)」
♦ STEP ⑤ 「技能・日本語要件を確認する」
リネンサプライ分野特定技能1号評価試験は、2026年8月時点で実施要領が準備中です。
技能実習2号を良好に修了した方については試験免除となる場合がありますが、対象となる職種・作業との関連性を個別に確認する必要があります。
日本語要件はJFT-BasicのA2相当以上またはJLPTのN4以上が目安です。
♦ STEP ⑥ 「支援計画・登録支援機関の検討」
特定技能1号では事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談対応など10項目の支援が義務づけられています。
自社で対応するか、登録支援機関に委託するかを決めておきます。
➡ 参考:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
➡ 登録支援機関と行政書士の違いについては「こちらの記事もおすすめ」
♦ STEP ⑦ 「入管への申請」
海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内で資格変更する場合は「在留資格変更許可申請」、更新の場合は「在留期間更新許可申請」と、状況によって申請の種類が変わります。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」
4. 必要書類について
特定技能の申請書類は、申請人に関する書類(第1表)、所属機関に関する書類(第2表)、分野に関する書類(第3表)に分かれています。
出入国在留管理庁のホームページでは、リネンサプライ分野についても専用の様式がすでに公開されており、様式自体は整備が進んでいます。
もっとも、必要書類は「新規で海外から呼び寄せる」「技能実習から移行する」「更新する」など申請区分によって細かく異なりますし、様式は改定されることも珍しくありません。
以前使った書類のコピーをそのまま流用するのではなく、申請の都度、出入国在留管理庁の最新一覧で確認することを徹底してください。
一般家庭用クリーニングで技能実習を利用する場合は、外国人技能実習機構が公表している職種・作業ごとの審査基準にあわせた書類が必要になります。
➡ 参考:出入国在留管理庁「リネンサプライ分野」
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5. クリーニング業でありがちな失敗パターン
♦ 失敗例 ① 「クリーニング業なら特定技能」と早合点する
リネンサプライ分野の追加が話題になったことで、業種名だけで判断してしまうケースが増えています。
対象となるのはホテルや病院などのリネン類に限られます。
♦ 失敗例 ② 制度がもう動いていると思い込む
「リネンサプライ分野ができた」という情報だけが先行し、すでに試験を受けて申請できる段階だと誤解してしまう例です。
2026年8月時点では評価試験の実施要領が準備中であり、本格的な受け入れは2027年度からと見込まれています。
♦ 失敗例 ③ 一般家庭用クリーニングをリネンサプライとして申請しようとする
個人客から預かった衣類の洗濯は、ホテル・病院向けのリネン類とは区別されます。
♦ 失敗例 ④ 技能実習の延長線上で育成就労も使えると考える
一般家庭用クリーニング作業は技能実習の移行対象職種ですが、育成就労の対象分野には含まれていません。
2027年4月以降にこの作業区分で新たに外国人を受け入れる道筋は、現時点でまだ明確になっていない点に注意が必要です。
♦ 失敗例 ⑤ 在留カードの確認だけで採用してしまう
在留資格には活動範囲が定められています。
「在留カードを持っているから大丈夫」と判断せず、現在の資格でその業務ができるかを個別に確認します。
♦ 失敗例 ⑥ 業務内容を曖昧にしたまま申請準備を進める
「工場作業員」という書き方だけでは審査側も判断できません。
担当業務を具体的に書き出す作業は省略できない工程です。
♦ 失敗例 ⑦ クリーニング業法上の届出を見落とす
クリーニング所を新たに開設したり、クリーニング師を新しく雇用・異動させたりする場合、在留資格とは別にクリーニング業法に基づく保健所への届出が必要です。
➡ 参考:厚生労働省「クリーニング業法の概要」
➡ 参考:新潟県「【南魚沼】 クリーニング店営業 各種手続をご説明します」
6. 行政書士としての役割と、対応できない領域
行政書士、なかでも申請取次の認定を受けた行政書士は、「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」といった入管手続の書類作成と申請取次を行うことができます。
➡ 申請取次行政書士については「こちらの記事もおすすめ」
クリーニング業の外国人採用であれば、現在の在留資格の確認、担当業務と在留資格の適合性の整理、リネンサプライ分野の要件チェック、申請書類一式の作成などが業務範囲に含まれます。
あわせて、クリーニング所の開設届のような保健所向けの許認可手続についても、行政手続として対応できる場合があります。
一方で、行政書士が在留資格の許可・不許可を決めることはできません。
また、社会保険や労働保険、給与計算にまつわる相談は社会保険労務士、税務は税理士といった、それぞれの専門家の領域になります。
特定技能1号に必要な支援計画についても、自社で全て実施するのか、登録支援機関へ委託するのかは会社の体制によって判断が分かれるところです。
➡ 登録支援機関と行政書士の違いについては「こちらの記事もおすすめ」
7. 今後の課題と、いま準備しておきたいこと
リネンサプライ分野は、試験実施要領や職務記述書の詳細が固まり次第、実際の受け入れが動き出す見込みです。
制度の枠組みができている今のうちに、衛生基準の認定取得や知事登録済み営業所の整備など、会社側の受け入れ体制を整えておくことは十分意味があります。
一方、一般家庭用クリーニングは育成就労への引き継ぎがない以上、2027年4月以降の中長期的な人材確保の方法を、技能実習以外の選択肢も含めて早めに検討しておく必要があるでしょう。
所管省庁の検討が続いている部分でもあり、続報を確認しながら方針を固めることになります。
8. よくある質問
Q1. リネンサプライ分野の特定技能は、今すぐ申請できますか。
A. 2026年8月時点では、技能評価試験の実施要領が準備中のため、すぐに申請できる段階ではありません。
受入れ機関側の要件整備を先に進めておくことをおすすめします。
Q2. 一般のクリーニング店でも外国人を雇う方法はありますか。
A. 技能実習であれば「クリーニング職種(一般家庭用クリーニング作業)」として2号まで受け入れ可能です。
ただし、育成就労には引き継がれない区分である点に注意してください。
Q3. ビルクリーニング分野とリネンサプライ分野は同じ制度ですか。
A. 別の分野です。
ビルクリーニングは建物内部の清掃、リネンサプライはホテル・病院などのリネン類の洗濯を対象としています。
Q4. 技能実習生をクリーニング職種で受け入れる場合、3号まで実習できますか。
A. 外国人技能実習機構の移行対象職種情報によると、クリーニング職種の「リネンサプライ仕上げ作業」「一般家庭用クリーニング作業」はいずれも2号までの移行対象とされており、3号への移行はできません。
➡ 参考:外国人技能実習機構「移行対象職種情報」
Q5. 特定技能のリネンサプライ分野は、特定技能2号での受け入れも可能ですか。
A. 出入国在留管理庁の資料では、リネンサプライ分野は特定技能2号の受け入れを行うことができないとされています。
長期的な雇用を考える場合は、この点もあわせて確認しておく必要があります。
9. まとめ:クリーニング業の外国人採用は「何を、どこで、誰に」から考える
2026年8月時点のクリーニング業における外国人雇用は、制度が大きく動いている最中だといえます。
リネンサプライ分野は特定技能・育成就労のどちらの枠組みにも位置づけられましたが、実際の受け入れはまだ準備段階です。
一般家庭用クリーニングは技能実習の対象ではあるものの、育成就労には引き継がれません。
事業者の皆さまがまず整理すべきなのは、
① 何を洗濯しているのか
② どこで作業するのか
③ 外国人にどの業務を任せたいのか
④ 採用予定者の現在の在留資格は何か
⑤ 会社側の受け入れ条件は整っているか
という5点です。
ここが固まって初めて、使える制度が見えてきます。
南魚沼市・湯沢町・魚沼市・十日町市など新潟県南魚沼地域周辺でクリーニング関連の外国人雇用を検討されている方は、採用を決める前の段階から行政書士にご相談いただくと、後々の手続きがスムーズに進みます。
当事務所のホームページから、お気軽にお問い合わせください。
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出典・参考
• 出入国在留管理庁「リネンサプライ分野」
• 出入国在留管理庁「ビルクリーニング分野」
• 出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」
• 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
• 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
• 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
• 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」
• 厚生労働省「制度の概要(リネンサプライ分野)」
• 厚生労働省「クリーニング業法の概要」
• 外国人技能実習機構「移行対象職種情報」
• 新潟県「【南魚沼】 クリーニング店営業 各種手続をご説明します」
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