〈 はじめに : 建設業を営む事業者の方へ 〉
「求人を出しても人が来ない」
「除雪の時期だけでも人手が足りない」
「知人に紹介された外国人を雇いたいが、何を確認すればいいのか分からない」
こうした声を、南魚沼市・湯沢町・魚沼市・十日町市の建設事業者からここ数年でよく耳にするようになりました。
豪雪地帯特有の除雪業務、道路や河川の維持補修、住宅建築、リフォーム、スキー場関連施設の改修など、この地域の建設業は季節ごとに幅広い仕事を抱えています。
にもかかわらず、若手の担い手は減る一方で、外国人材の受け入れを検討する会社が増えているのが実情です。
ただし、外国人であれば誰でも建設現場で働けるわけではありません。
従事させる仕事の内容に合った在留資格(いわゆる就労ビザ)を持っていることが前提になります。
この対応を誤ると、雇う側が不法就労助長罪に問われる可能性もあり、採用担当者が最初に押さえておくべき論点です。
制度そのものも頻繁に更新されており、出入国在留管理庁の該当ページは常に最新版を確認する必要があります。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留手続」
「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」といった言葉は聞いたことがあっても、それぞれで従事できる業務がどう違うのか、正確に把握できている担当者はまだ多くありません。
名称が似ているために混同されやすく、採用担当者が一人で判断してしまうと、後になって業務内容と在留資格が食い違っていたという事態にもなりかねません。
この記事では、建設会社で実際に利用されている在留資格の種類、採用までの流れ、必要書類、よくある失敗、そして行政書士に依頼できる範囲とできない範囲について、実務の視点からまとめます。
読み終えたときに、自社の採用計画のどこを見直すべきか、具体的なイメージを持っていただければ幸いです。
1. 南魚沼市・湯沢町周辺で想定される相談例
この地域では、次のような相談が想定されます。
• 外国人を初めて雇いたいが、何から手をつければよいか分からない
• 技能実習生を受け入れているが、今後どうなるのか知りたい
• 特定技能への切り替えを検討している
• 留学生を卒業後にそのまま現場作業員として雇いたい
• 元請から外国人雇用の状況について確認を求められた
背景にあるのは、この地域特有の建設需要です。
豪雪地帯ゆえの除雪関連工事は冬期の主要業務ですし、道路維持工事や災害復旧工事、住宅の新築・リフォーム、スキー場や温泉施設の改修工事なども年間を通じて発生します。
一方で担い手不足は深刻で、外国人材を戦力として位置づける企業が増えているというわけです。
もっとも、建設業は在留資格ごとに従事できる業務の範囲がはっきり線引きされている分野です。
現場作業ができる資格、施工管理などの専門業務しかできない資格、身分に基づいて職種の制限がない資格——この違いを理解しないまま採用を進めると、後になって業務内容と在留資格が食い違っていたという事態に陥りかねません。
2. 建設会社で使われる在留資格の種類
〈 特定技能(建設分野) 〉
現在、建設現場の技能労働者として外国人を受け入れる中心的な制度が特定技能(建設分野)です。
土木、建築、ライフライン・設備という3つの業務区分があり、特定技能1号では指導者の監督のもとで作業に従事し、2号になると複数の技能者を指導しながら工程を管理する立場になります。
技能水準は建設分野特定技能評価試験や技能検定3級以上、日本語能力は国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上が目安です。
技能実習2号を良好に修了していれば、試験の一部または全部が免除される場合もあります。
➡ 参考:出入国在留管理庁「特定技能(建設分野)」
建設分野には他の分野にはない独自のルールがあります。
受入企業は建設業法第3条の許可を受けていること、建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者・技能者双方の登録、特定技能外国人受入事業実施法人(建設技能人材機構=JAC)への加入、そして国土交通省による「建設特定技能受入計画」の認定を受けることが求められます。
入管への在留資格申請だけを済ませれば済むという制度ではない点に注意が必要です。
➡ 参考:国土交通省「建設分野での外国人受入れ関係」
➡ 特定技能については「こちらの記事もおすすめ」
〈 技術・人文知識・国際業務 〉
いわゆる「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれる在留資格です。
建設会社に勤める外国人でもこの資格を持つ人は少なくありませんが、対象となるのは施工管理、設計、CAD業務といった専門的・技術的な業務に限られます。
資材の運搬や足場の組立てなど一般的な現場作業には使えません。
なお2026年4月15日以降の申請からは、対人業務や言語能力を主に用いる職種の場合、CEFR・B2相当の言語能力を証明する資料や所属機関代表者に関する申告書の追加提出が求められるようになっています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
➡ 技術・人文知識・国際業務については「こちらの記事もおすすめ」
〈 身分・地位に基づく在留資格 〉
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者といった資格を持つ人は、就労内容に原則として制限がありません。
建設現場での作業にも従事できますが、採用時には在留カードで在留資格と在留期限を必ず確認してください。
〈 技能実習と育成就労のいま 〉
技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から新たに育成就労制度へ移行することが法律上決まっています。
2026年7月現在は移行準備の段階にあり、監理支援機関の許可基準や転籍制限期間といった詳細な運用は今後順次公表される見通しです。
建設分野については、JACへの加入やCCUS登録、受入計画認定といった既存の枠組みが施行後も概ね維持される方向で検討が進んでいます。
現在技能実習生を受け入れている企業は、特定技能への移行も視野に入れつつ最新情報を継続的に確認する必要があります。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度」
➡ 育成就労制度については「こちらの記事もおすすめ」
3. 冬季の除雪業務と外国人材
南魚沼市周辺の建設会社にとって、冬季は除雪が主要業務になります。
ただし、外国人労働者に除雪業務を担わせられるかどうかは、独立した「除雪ビザ」があるわけではなく、除雪業務が法制度上どう位置づけられるかを踏まえて判断する必要があります。
まず建設業許可との関係ですが、新潟県土木部監理課「建設業許可申請等の手引き」では、剪定・除草・草刈り・伐採とならび「除雪」を「建設工事に該当しない業務」の例として明示しています。
同手引きの工事経歴書の記入要領にも、除雪・除草・清掃・点検等の業務は建設工事にあたらないため工事経歴書には記入しない旨が明記されています。
除雪の売上は建設業許可の完成工事高にも算入できません。
➡ 参考:新潟県土木部監理課「建設業許可について」(建設業許可申請等の手引き 令和8年3月版)
特定技能(建設分野)・技能実習は、いずれも「建設業に係る作業」を対象とする在留資格です(国土交通省は2022年8月30日、建設業に係る全ての作業を土木・建築・ライフライン設備の3区分に再編しました)。
除雪業務そのものが建設工事に当たらない以上、除雪単体への従事は、これらの在留資格が想定する業務の外側にあると整理するのが基本的な考え方です。
技能実習は認定計画の職種・作業以外に従事させられないため、除雪専従は原則想定されていません。
➡ 参考:国土交通省「特定技能制度(建設分野)お知らせ」
【 想定例 】 (※ 以下は南魚沼地域で外国人人材を活用する場合の想定例です)
南魚沼市で除雪委託業務も請け負うC社は、特定技能(土木区分)の外国人材には土木区分に明確に含まれる道路の維持修繕工事を中心的な業務として担当してもらい、除雪期間中の除雪機械操作は必要最小限の付随作業にとどめています。
技人国の外国人材には除雪機械の運転や現場作業をさせず、施工管理・記録作成など専門業務に限定しています。
【 冬季の注意点 】
積雪期は移動や資材搬入に制約が生じやすく、在留カード更新など入管とのやり取りが遅れがちな時期でもあるため、余裕を持ったスケジュール管理が欠かせません。
4. 採用までの手続きの流れ
♦ STEP 1 : 担当させる業務内容を整理する
最初に確認すべきは「誰を雇うか」ではなく「何をしてもらうか」です。
土木工事の現場作業、型枠、鉄筋、足場の組立て、配管工事、施工管理、CAD設計、積算業務——それぞれで適合する在留資格が異なります。
技人国は専門的業務が対象で、一般的な現場作業は原則対象外という点をあらためて意識してください。
♦ STEP 2 : 現在の在留資格を確認する
すでに日本にいる外国人を雇う場合は、在留カードで在留資格、在留期間、就労制限の有無、資格外活動許可の有無を確認します。
在留カードの情報だけでは実際に従事できる業務まで判断できないケースもあるため、不明な点は必ず制度を確認したうえで進めてください。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留カードとは?」
♦ STEP 3 : 雇用条件を整える
外国人だからといって日本人より低い待遇でよいわけではありません。
労働基準法や最低賃金法は外国人労働者にも同様に適用されます。
特定技能(建設分野)では、同等の技能を持つ日本人と同等以上の報酬を安定的に支払うことが受入れ企業の要件になっています。
♦ STEP 4 : 必要な申請を行う
外国人本人の状況に応じて、次のいずれかの手続きが必要です。
• 在留資格認定証明書交付申請 : 海外にいる外国人を新たに呼び寄せる場合
• 在留資格変更許可申請 : 留学から特定技能へ、留学から技人国へなど、在留中の資格を切り替える場合
• 在留期間更新許可申請 : 同じ在留資格のまま在留期間を延長する場合
建設分野特定技能では、これらに加えて国土交通省への「建設特定技能受入計画」認定申請も並行して進める必要があります。
審査には一定の期間がかかるため、工期からの逆算だけでスケジュールを組むのは禁物です。
➡ 参考:出入国在留管理庁「手続の種類から探す」
5. 準備すべき主な書類
会社側で用意する書類は次のようなものが中心になります(※以下は代表的なもののみ記載)。
【 会社関係 】
登記事項証明書、決算書、会社案内、雇用契約書、労働条件通知書、建設業許可証の写し(特定技能の場合は必須)
【 外国人本人関係 】
パスポート、在留カード(在留中の場合)、履歴書、卒業証明書、職歴証明書、技能や日本語能力を証明する資料
【 特定技能(建設分野)に特有の書類 】
建設特定技能受入計画に関する資料、CCUS登録を証する資料、JAC加入を証する資料、技能評価試験の合格証、支援計画(登録支援機関へ委託する場合を含む)
加えて、外国人本人が海外にいる場合と、すでに日本国内で他の在留資格を持って生活している場合とでは、そろえるべき書類の種類が微妙に異なります。
海外から呼び寄せる場合は査証(ビザ)発給のための追加資料が必要になりますし、留学から特定技能への変更であれば、在学中の出席状況や学業成績を示す資料を求められることもあります。
書類の抜け漏れは審査の長期化に直結するため、申請前にチェックリストを作り、担当者間で共有しておくとよいでしょう。
➡ 在留資格と査証(ビザ)の違いについては「こちらの記事もおすすめ」
制度改正により様式や添付書類が変更されることがあるため、申請直前に最新の公表資料を確認する習慣をつけておくと安心です。
6. よくある失敗例
【 想定例 ① 】
南魚沼市で土木工事を営むA社は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を、そのまま現場作業員として配置しようとしました。
実際には施工管理業務を主とする資格であり、現場作業とは適合しないことが判明し、業務内容を整理し直したうえで採用計画を作り直すことになりました。
在留資格の名称だけで判断せず、雇用契約書や配属予定部署まで含めて確認することが欠かせません。
【 想定例 ② 】
留学生を卒業後すぐにフルタイムの現場作業員として雇おうとしたB社のケースです。
留学の在留資格のままでは就労できず、業務内容に応じた在留資格への変更が必要になります。
施工管理なら技人国、技能労働なら特定技能というように、実際の職務内容に応じた判断が求められます。
【 想定例 ③ 】
「来月から現場が始まるのですぐ来てほしい」という要望から、審査期間を考慮せずに採用計画を立ててしまうケースも見られます。
書類収集、申請、審査という一連の流れには一定の期間がかかり、時期によっては長引くこともあります。
工期に合わせるためにこそ、余裕を持ったスケジュールが必要です。
【 想定例 ④ 】
特定技能(建設分野)を利用する際、入管への申請だけを済ませればよいと考え、CCUS登録やJAC加入といった国土交通省側の要件を後回しにしてしまうケースです。
これらは登録完了までに時間がかかるため、申請中の状態では受入計画の認定を受けられません。
特定技能制度の利用を決めた段階で、早めに並行して手続きを進めることが重要です。
7. 行政書士に「できること」・「できないこと」
外国人雇用の相談を受けていると、「行政書士なら何でも対応してもらえる」と誤解されていることがあります。
行政書士の業務範囲は法律で定められており、それを超えることはできません。
〈 ✔ 行政書士ができる主な業務 〉
申請取次の資格を持つ行政書士であれば、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請といった書類の作成と、地方出入国在留管理局への申請取次を本人に代わって行うことができます。
必要書類の確認、添付資料の整理、建設分野特有の受入計画認定申請に関する相談、採用スケジュールの作成支援なども対応範囲です。
➡ 申請取次行政書士については「こちらの記事もおすすめ」
〈 ✖ 行政書士ができない業務 〉
労働紛争の代理、社会保険・労働保険の手続(社会保険労務士の業務)、税務申告(税理士の業務)、登記申請の代理(司法書士の業務)は、それぞれの資格者の専管事項です。
案件によっては複数の専門家が連携して対応することもあります。
また、在留資格の取得や変更はゴールではありません。
採用後も在留期限の管理、配属変更時の業務内容の確認、更新申請の準備、法令改正への継続的な対応が必要です。
特に建設業は現場ごとに担当業務が変わりやすいため、業務内容が在留資格の範囲内に収まっているかを定期的に見直すことが、企業のコンプライアンス上も重要になります。
8. よくある質問
Q1. 外国人を採用すればすぐに現場で働いてもらえますか。
A. 必ずしもすぐには働けません。
現在の在留資格が予定業務に適合しているかを確認し、必要に応じて変更許可申請や認定証明書交付申請を行う必要があります。
審査期間も一律ではないため、工期に合わせるには余裕を持った計画が欠かせません。
Q2. 留学生を卒業後そのまま建設現場で雇えますか。
A. ケースによります。
留学の在留資格のままフルタイムで現場作業員として働くことはできず、卒業後の業務内容に応じた在留資格への変更が必要です。
施工管理などの専門業務なら技人国、技能労働なら特定技能が候補になります。
Q3. 建設分野で特に注意すべき点は何ですか。
A. 在留資格と実際の業務内容が一致していることが最も重要です。
加えて特定技能(建設分野)ではCCUS登録やJAC加入、建設特定技能受入計画の認定といった国土交通省側の要件があり、入管への申請だけでは完結しません。
Q4. 技能実習生を受け入れていますが今後どうすればよいですか。
A. 2027年4月に育成就労制度へ移行する予定で、2026年7月現在は準備段階です。
技能実習からの移行先として特定技能への切り替えも選択肢になりますが、最新の運用方針を継続的に確認しながら準備を進めることをおすすめします。
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Q5. 外国人を雇用すると補助金や助成金はありますか。
A. 「外国人を採用したこと」自体を理由とする補助金・助成金は限定的です。
ただし雇用関係の助成金の中には、要件を満たせば外国人労働者も対象になる制度があります。
年度ごとに要件が変わるため、利用を検討する場合は最新情報を確認し、必要に応じて社会保険労務士など他の専門家にも相談することをおすすめします。
Q6. 特定技能2号まで進むとどう変わりますか。
A. 特定技能1号は在留期間に上限のある就労資格ですが、2号に移行すると更新回数の上限がなくなり、家族の帯同も認められるようになります。
建設分野では、複数の技能者を指導しながら工程を管理する班長クラスの実務経験が要件になるため、採用時点から長期的な育成計画を意識しておくと、後々の移行がスムーズになります。
9. まとめ : 南魚沼で外国人採用をお考えの建設会社様へ
建設会社が外国人を採用する際は、人材確保という目的だけでなく、在留資格と実際の業務内容が適合しているかを確認し、法令に沿った手続きを進めることが欠かせません。
とりわけ建設分野は特定技能制度そのものに加え、国土交通省の受入基準やCCUS登録、JAC加入といった要件が絡むため、他業種以上に事前準備がものを言う分野です。
• 採用前に制度を確認する
• 必要書類を早めに準備する
• 最新の運用を把握する
• 不明な点は専門家へ相談する
この流れを踏むことが、結果的にスムーズな採用につながります。
南魚沼市・湯沢町・魚沼市・十日町市などで外国人採用をご検討中の建設会社様は、採用計画の初期段階からご相談いただくことで、その後の見通しを立てやすくなります。
【 専門家へのご相談について 】
当事務所は、地方出入国在留管理局への申請取次が認められた申請取次行政書士が、書類作成から申請取次まで一貫して対応いたします。
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出典・参考
• 出入国在留管理庁「特定技能制度」
• 出入国在留管理庁「特定技能(建設分野)」
• 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
• 出入国在留管理庁「育成就労制度」
• 出入国在留管理庁「在留カードとは?」
• 出入国在留管理庁「手続の種類から探す」
• 出入国在留管理庁「在留手続」
• 国土交通省「建設分野での外国人受入れ関係」
• 国土交通省「特定技能制度(建設分野)お知らせ」
• 新潟県土木部監理課「建設業許可について」(建設業許可申請等の手引き 令和8年3月版)
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