「また今年も役員が決まらない…」
自治会の総会で毎年のように聞かれるため息。
高齢化が進む地域では、役員の担い手不足が深刻な問題となっています。
特に地方都市や郊外の住宅地では、この課題が地域コミュニティの存続そのものを脅かす事態にまで発展しています。
本記事では、自治会が直面する高齢化と担い手不足の現状を、南魚沼地域の具体例を交えながら詳しく解説し、実践的な解決策をご提案します。
1.自治会の高齢化はどこまで進んでいるのか
総務省「地域コミュニティに関する研究会報告書」(令和4年)によれば、市区町村が抱える自治会の課題として「役員の高齢化」が82.8%と最も多く、次いで「近所付き合いの希薄化」(59.2%)、「加入率の低下」(53.3%)が挙げられています。
さらに札幌市の調査(令和5年)では、役員構成を見ると「70代」が約55%を占め、前回調査から10ポイントも増加しています。
逆に「60代」は約23%と15ポイント減少しており、役員の高齢化が急速に進行している実態が明らかです。
自治会への加入率も年々低下しています。
平成22年から令和2年までの12年間で、平均して約8%前後の加入率低下が確認されており、地域コミュニティの弱体化が数字として表れています。
2.南魚沼地域における高齢化の現状
南魚沼市の高齢化率は、2015年時点で29.2%と全国平均(26.6%)を上回っており、今後2045年までに42.3%に達すると予測されています。
つまり、将来的には5人に2人が高齢者という状況になります。
南魚沼市では「南魚沼なじょもネット」という住民相互の助け合い活動ネットワークを運営し、一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯の増加に対応していますが、自治会活動そのものの担い手不足は依然として大きな課題です。
さらに豪雪地帯では、冬季の除雪作業、集会所の雪下ろし、高齢者宅の除雪支援など、他地域にはない重い負担が自治会にのしかかります。
高齢化により、これらの活動を担える人材がさらに限られてくるという悪循環が生じています。
3.なぜ役員のなり手がいないのか
【 高齢者が役員を辞退する理由 】
① 体力的・健康面での限界
「耳が遠くて会議が聞こえない」「病気がちで責任を果たせない」「足腰が弱く、訪問や会議への出席が困難」といった声が聞かれます。
② デジタル対応への不安
パソコンやスマートフォンの操作が難しい、メールやLINEでの連絡に対応できない、オンライン会議への参加が困難などの理由があります。
③ 複雑化する業務への不安
行政からの依頼事項が多岐にわたり、会計処理や報告書作成が負担となっています。
個人情報保護などの法令対応への不安も大きな要因です。
【 若い世代・現役世代が参加しない理由 】
① 時間的制約
平日昼間の会議や活動に参加できない、仕事と家庭で余裕がない、休日は家族との時間を優先したいという事情があります。
② 活動内容への関心の低さ
高齢者向けの行事ばかりで興味が持てない、子育て世代向けの活動が少ない、自分たちには関係ないと感じているケースが多くあります。
③ 負担感と閉鎖性への懸念
「一度引き受けたら辞められない」という不安、旧来の慣習や人間関係への抵抗感、透明性の欠如や意思決定プロセスの不明確さが参加を阻んでいます。
4.実効性のある解決策
① 役員負担の大胆なスリム化
まず必要なのは、「本当に必要な活動は何か」を見極めることです。
慣習で続けているだけの行事や、費用対効果の低い活動は思い切って見直しましょう。
参加者が少ないイベントの統廃合、形式的な会議の削減、行政への過度な協力依頼の見直し要請などが有効です。
また、従来の会長・副会長・会計という大まかな役割分担ではなく、「広報担当」「イベント担当」「防災担当」など、業務内容に応じた細かな役割分担を設定します。
これにより「できることだけ手伝う」という参加形態が可能になります。
② デジタル化の段階的導入
紙の回覧板を電子化するだけでも、役員の負担は大幅に軽減されます。
総務省の報告書でも、金沢市や豊川市など多くの自治体で電子回覧板アプリの導入事例が紹介されています。
段階的な導入例として、LINEグループでの連絡から始め、電子回覧板アプリの導入、オンライン会議の併用、会計ソフトの活用と進めていくことができます。
高齢者向けには、若い世代や大学生ボランティアによる「スマホ教室」を開催し、デジタル化への移行を支援します。
③ 世代間バランスの取れた活動内容への転換
町内会・自治会の活動内容を詳しく見てみると、高齢者向けの健康体操やカラオケ大会は頻繁に行われているのに、子育て世代や子ども向けの行事が少ないという傾向が見られます。
現在の活動内容を月ごとに整理し、高齢者向け・子育て世代向け・子ども向けがバランスよく配置されているかチェックしてください。
子ども向けには夏休みラジオ体操や工作教室、子育て世代向けには親子イベントや防災ワークショップ、多世代交流には餅つき大会や地域清掃などを追加することが効果的です。
④ 高齢者免除制度と柔軟な参加形態
75歳以上、または健康上の理由がある場合は役員を免除する制度を導入します。
ただし、免除された方も「できる範囲での協力」をお願いすることで、完全に切り離されたと感じさせない配慮が重要です。
また「役員」という重い役職ではなく、「この行事の受付だけ」「この日の清掃だけ」といった単発のタスクベースでの参加を促進します。
事前にできることアンケートを取り、「できる人が、できる時に、できることをする」仕組みを作ります。
⑤ 外部リソースの活用
すべてを自治会だけで抱え込む必要はありません。
地域包括支援センター、社会福祉協議会、NPO法人などと連携し、専門性が必要な活動は共同で実施します。
会計業務や広報誌作成など、専門性や手間のかかる業務は、少額でも外部委託を検討します。
5.南魚沼地域で活用できる支援制度
南魚沼市や近隣自治体では、自治会活動を支援する様々な制度があります。
集会施設建設費等補助金、コミュニティ活動助成事業補助金、高齢化対策共助事業補助金などが用意されています。
また南魚沼市社会福祉協議会では、地域福祉活動の支援やボランティア活動の調整を行っています。
6.行政書士ができること・できないこと
〈 ✔ 行政書士が支援できる業務〉
① 規約・会則の作成・見直し支援
自治会の規約は、組織運営の根幹となる重要な文書です。
行政書士は、法的な観点から適切な規約作成をサポートできます。
現行規約の法的チェックと問題点の指摘、時代に合わせた規約改正案の作成、役員免除制度など新制度の規約への反映、総会運営規定の整備、個人情報保護に関する規定の追加などが可能です。
② 認可地縁団体(法人化)の申請サポート
自治会が不動産(集会所など)を保有している場合や、今後保有を予定している場合、認可地縁団体として法人格を取得することで、団体名義での不動産登記が可能になります。
令和3年の地方自治法改正により、不動産の保有予定がなくても、地域的な共同活動を円滑に行うために法人格を取得できるようになりました。
行政書士は、認可要件の確認と助言、法人化のための規約作成、認可申請書類一式の作成、構成員名簿の整理支援、総会議事録の作成支援、市町村への申請代行、告示後の手続きサポートなどを提供できます。
法人化のメリットとしては、団体名義での不動産登記が可能、代表者個人の負担軽減、対外的な信用力向上、行政からの補助金申請がスムーズなどがあります。
③ 各種申請書類の作成支援
行政への補助金申請書類、イベント開催に必要な許認可申請、会計報告書の作成支援なども行政書士の業務範囲です。
④ 個人情報保護に関する助言
会員名簿の管理方法、個人情報保護方針の策定、同意書のひな形作成など、個人情報保護法に準拠した運営をサポートします。
〈 ✖ 行政書士ができないこと 〉
① 法律相談・法的判断
自治会と会員の間でトラブルが発生した場合の法律相談、訴訟に関する相談や代理行為、法的な権利義務の判断などは弁護士の業務です。
行政書士は一般的な法律知識の提供はできますが、個別具体的な法律相談や法的判断はできません。
② 会計・税務の専門的業務
決算書の作成、税務申告、会計監査などは税理士・公認会計士の業務です。
行政書士は書類作成の支援はできますが、税務的判断は専門家に委ねる必要があります。
③ 自治会運営そのものの実務
役員の代行、イベントの実施運営、会員との個別折衝、日常的な会計処理などは、あくまで自治会が主体的に行うべき業務です。行政書士はサポート役であり、運営の主体となることはできません。
7.よくある質問
Q1. 自治会の規約を変更するには、どのような手続きが必要ですか?
A. 一般的には、現行規約に定められた改正手続きに従います。
多くの自治会では、総会での出席者の3分の2以上の賛成などが必要とされています。
行政書士は、適切な改正案の作成と手続きのアドバイスを提供できます。
Q2. 役員の高齢化免除制度を導入したいのですが、何歳からが適切でしょうか?
A. 一般的には75歳以上とするケースが多いですが、地域の実情に応じて設定できます。
大切なのは、免除された方も完全に活動から離れるのではなく、できる範囲での協力をお願いする仕組みを作ることです。
Q3. 加入を強制することはできますか?
A. 自治会への加入は任意であり、法的に強制することはできません。
ただし、加入のメリットを明確にし、活動内容を魅力的にすることで、自主的な加入を促すことが重要です。
Q4. 認可地縁団体の法人化にはどのくらいの費用と期間がかかりますか?
A. 市町村への認可申請自体に手数料はかかりません(無料)。
ただし、行政書士に依頼する場合は報酬が発生します。
期間は、書類準備から認可まで通常3~6か月程度です。
当事務所では個別の状況に応じたお見積りを提供しています。
Q5. デジタル化を進めたいですが、高齢者が多く不安です。
A. 段階的な導入が重要です。
まずは希望者のみでLINEグループを作り、紙の回覧板と併用する形から始めるのがおすすめです。
また、スマホ教室の開催や、若い世代によるサポート体制を整えることで、無理なく移行できます。
Q6. 自治会を解散することはできますか?
A. 法的には可能です。
ただし、集会所などの財産がある場合は、その処分方法を明確にする必要があります。
また地域コミュニティの維持という観点から、解散ではなく、近隣の自治会との統合や、活動内容の大幅な見直しなど、別の選択肢も検討する価値があります。
8.まとめ:持続可能な自治会運営に向けて
自治会の高齢化と担い手不足は、一朝一夕には解決できない構造的な問題です。
しかし、役員負担の軽減、デジタル化の推進、世代間バランスの改善、柔軟な参加形態の導入という4つの柱を意識して改革を進めることで、持続可能な運営は十分に可能です。
重要なのは、「今までどおり」にこだわらず、地域の実情に合わせて大胆に変えていく勇気です。
南魚沼地域のような豪雪地帯では、冬季の負担をいかに分散させるかも重要な課題となります。
行政書士は、規約の見直しや法人化の支援など、法的な側面から自治会運営をサポートする専門家です。
• 規約・会則の作成・見直し
• 認可地縁団体(法人化)の申請サポート
• 役員負担軽減のための組織再編アドバイス
• 補助金申請書類の作成支援
• 個人情報保護に関する助言 など
「こんなことを相談していいのかな」と迷われることもあるかもしれませんが、まずはお気軽行政書士へご相談ください。
出典・参考資料
• 総務省「地域コミュニティに関する研究会」:自治会の課題、役員の高齢化、デジタル化事例など包括的な調査報告
• 厚生労働省「地域包括ケアシステム」:地域での支え合いの仕組みに関する資料
• 地方自治法 第260条の2(令和3年改正):認可地縁団体に関する法令
• 南魚沼市「南魚沼市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」:南魚沼市の高齢化率と将来予測
• 南魚沼市社会福祉協議会「南魚沼なじょもネット」:住民相互支援ネットワークの取り組み
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※本記事は令和8年1月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。