倉庫業の開業をお考えの皆様へ。
他人の物品をお預かりして保管料をいただくビジネスを始めるには、国土交通大臣の登録が必要です。
この記事では、倉庫業登録について制度の基本から申請の流れ、南魚沼地域での注意点まで詳しく解説します。
1.倉庫業とは? なぜ登録が必要なのか
倉庫業とは、寄託を受けた物品を倉庫において保管する事業のことです。
平成14年の法改正で許可制から登録制に変更されましたが、厳格な要件が定められています。
無登録で営業した場合、倉庫業法第28条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金という重い罰則が科されます。
また、登録を受けていない事業者が倉庫業を営むと誤認させる表示を行った場合も50万円以下の罰金が科されます。
【 倉庫業に該当しないケース 】
以下の場合は登録不要です。
• 運送業の配送センターや一時保管庫
• 銀行の貸金庫など有価証券の保護預かり
• 不動産業としての貸倉庫(賃貸借契約)
• コインロッカーや駐車場
• 自社商品のみを保管する自家用倉庫
2.営業倉庫の種類と施設基準
① 倉庫の種類
普通倉庫は保管物品により1類から3類、野積倉庫、貯蔵槽倉庫に分類されます。
• 1類倉庫は最も厳しい施設基準が適用され、一般的な工業製品、日用品、食品など幅広い物品に対応できます。
• 2類倉庫は麦、飼料、肥料、鉄製品など湿気に比較的強い物品を保管します。
• 3類倉庫はガラス製品、陶磁器など湿気・気温変化に強い物品のみ保管可能です。
• 冷蔵倉庫は常時10℃以下で保管する生鮮食品などを扱い、緊急通報用設備の設置が義務付けられています。
• その他、水面倉庫(原木保管)、危険品倉庫(消防法指定の危険物保管)があります。
② 施設設備基準(1類倉庫の例)
1類倉庫では以下の13項目すべてを満たす必要があります。
⑴ 使用権原 – 倉庫と敷地について所有権または賃借権を有すること
⑵ 関係法令適合性 – 建築基準法、消防法、都市計画法などに適合すること
⑶ 土地定着性 – 土地に定着し、屋根および周囲に壁を有する工作物であること
⑷ 外壁・床の強度 – 国土交通大臣が定める基準に適合した強度
⑸ 防水性能 – 水の浸透を防止する構造
⑹ 防湿性能 – 床の防湿措置
⑺ 遮熱性能 – 屋根の断熱措置
⑻ 耐火性能 – 耐火性能または防火性能を有すること
⑼ 災害防止措置 – 特定施設からの距離確保など
⑽ 防火区画 – 一定面積ごとの防火区画設置
⑾ 消火設備 – 消火器具の設置
⑿ 防犯措置 – 施錠設備など
⒀ 防鼠措置 – ねずみの侵入防止措置
これらは建築基準法より厳しい基準となっており、他人の貴重な物品を預かる営業倉庫としての高い安全性が求められます。
3.倉庫業登録の3つの要件
① 施設・設備要件
【 用途地域の制限 】
倉庫業を営むことができる地域は限定されています。
準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域では営業可能ですが、準住居地域を除く住居地域や開発許可のない市街化調整区域では原則として営業できません。
【 建築基準法への適合 】
特に重要なのが以下の2点です。
建築確認済証の用途欄が「08510(倉庫業を営む倉庫)」であることが必要です。
「08520(倉庫業を営まない倉庫)」では原則として申請できません。
また、完了検査済証も必須です。
完了検査を実施していない建物は建築基準法違反のため、倉庫業登録は受けられません。
② 倉庫管理主任者の選任
倉庫ごとに1人の倉庫管理主任者を選任する必要があります(条件により複数倉庫を1人で管理可能)。
倉庫管理主任者になるには、倉庫管理業務の2年以上の指導監督的実務経験、または3年以上の実務経験が必要です。
実務経験がない場合は、一般社団法人日本倉庫協会が実施する倉庫管理主任者講習会(1日講習)を修了することで要件を満たせます。
③ 欠格事由に該当しないこと
1年以上の懲役または禁錮の刑を受け執行終了から2年未満の者、倉庫業法による登録取消しから2年未満の者などは登録を受けられません(倉庫業法第6条)。
4.申請から登録までの流れ
① 事前準備が成功の鍵
倉庫の建築着工前、または賃貸借契約締結前に管轄の運輸局に相談することが極めて重要です。
建物完成後や契約後に「登録できない」と判明すると莫大な損失が発生します。
用途地域の確認、建築基準法上の要件確認、施設設備基準の確認を事前に行いましょう。
また、実務経験がない場合は倉庫管理主任者講習会の受講計画も立てておく必要があります。
② 必要書類
主な必要書類は、倉庫業登録申請書、倉庫明細書、建築確認申請書、建築確認済証、完了検査済証、土地・建物の登記簿謄本、構造計算書、平均熱貫流率計算書、各種図面(配置図、平面図、立面図、断面図など)、倉庫管理主任者関係書類、履歴事項全部証明書、宣誓書、倉庫寄託約款などです。
③ 申請手続きの流れ
主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局長を経由して国土交通大臣に提出します。
提出方法は持参、郵送、メールなど運輸局により異なります。
審査は書類審査が中心で、原則として現地調査は実施されません。
審査完了後に登録が行われ、登録日から1ヶ月以内に登録免許税9万円を納付します。
営業開始後は30日以内に料金設定届出を提出します。
④ 審査期間
標準処理期間は、所管面積10万㎡未満で2ヶ月、10万㎡以上で3ヶ月です。
ただし書類の補正が必要な場合はこの期間を超えることがあります。
5.南魚沼地域での倉庫業
① 地域の物流環境
南魚沼市は関越自動車道のインターチェンジがあり、首都圏と北陸・日本海側を結ぶ物流の要衝です。
南魚沼産コシヒカリなどの農産物保管、冬季スポーツ関連商品の季節保管、EC物流拠点としての需要が見込まれます。
② 南魚沼地域特有の注意点
南魚沼市は特別豪雪地帯に指定されており、建築基準法上の積雪荷重の規定が厳しくなります。
倉庫の構造設計ではこの点を十分考慮する必要があります。
また、市街化調整区域内では開発行為許可が必要で、農地の場合は農地転用許可も必要です。
これらの手続きには時間がかかるため、早めの計画が重要です。
用途地域は南魚沼市内でも地域により異なるため、必ず事前に南魚沼市役所の建築指導担当部署に確認してください(参考:南魚沼市「都市計画」)。
冬季の除雪体制、アクセス道路の確保、建物の雪下ろしなど、運営面での対策も必要です。
③ 費用について
法定費用として登録免許税9万円が必要です。
行政書士報酬は一般的に30万円~60万円程度ですが、倉庫の種類、規模、新築か既存建物か、必要な図面の有無などにより変動します。
6.行政書士にできること・できないこと
〈 ✔ 行政書士ができること 〉
• 事前調査(用途地域、建築基準法適合性、施設設備基準の確認)
• 申請書類の作成
• 運輸局との調整
• 申請代理
• 登録後のサポート(定期報告書作成、変更手続き)
• 関連手続きのサポート(開発許可、農地転用許可)
などを行います。
〈 ✖ 行政書士ができないこと 〉
• 建築確認申請(建築士の業務)
• 構造計算(建築士・構造設計士の業務)
• 測量(土地家屋調査士の業務)
• 登記(司法書士の業務)
• 税務相談(税理士の業務)
• 法律相談(弁護士の業務)
• 不動産仲介(宅地建物取引業者の業務)
以上は、それぞれの専門家の業務です。
行政書士は倉庫業登録に関する許認可申請の専門家として、他士業と連携しながらサポートします。
7.よくある質問
Q1. 倉庫の最低面積は決まっていますか?
A: 施設要件が整っていれば面積の下限はありませんが、事業として成り立つ規模かの判断は必要です。
Q2. 完了検査済証がない古い倉庫でも登録できますか?
A: 完了検査未実施の建物は建築基準法違反のため原則不可です。
ただし書類紛失の場合は代替書類で対応できる可能性があります。
Q3. 賃貸の倉庫でも登録できますか?
A: 可能です。賃貸借契約書により使用権原を証明できれば問題ありません。
Q4. 登録に有効期限はありますか?
A: 倉庫業登録に有効期限はなく、更新手続きは不要です。
Q5. トランクルームを営業したいのですが?
A: トランクルームも倉庫業の一種なので、通常の倉庫業登録が必要です。
一定の基準を満たせば認定トランクルームとして認定も受けられます。
8.まとめ:倉庫業登録は事前準備が成否を分ける
倉庫業登録は他人の物品を預かる事業として国土交通大臣の登録が必須であり、無登録営業には重い罰則があります。
登録には施設設備基準(13項目)、倉庫管理主任者の選任、欠格事由非該当という3つの要件を満たす必要があり、特に建築確認済証の用途欄が「08510」であることと完了検査済証の存在が重要です。
申請から登録までの標準処理期間は2~3ヶ月で、登録免許税は9万円です。
南魚沼地域では豪雪地帯特有の建築基準や用途地域の確認が必要となり、事前準備が成否を分けます。
倉庫の建築着工前や賃貸借契約締結前の専門家への相談が極めて重要です。
行政書士は事前調査から申請代理、登録後のサポートまで一貫して対応できます。
些細なことでも構いませんので、まずはお気軽にお近くの行政書士にご相談ください。
参考資料・出典
• 国土交通省:「倉庫業法」
• 国土交通省:「倉庫業法 手続き一覧」
• 国土交通省 北陸信越運輸局:「営業倉庫について」
• 一般社団法人日本倉庫協会「倉庫業について」
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※本記事は令和8年1月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。