「障がいがあっても自分らしく働きたい」
「家族の介護が必要になったけれど、どんな支援が受けられるのか分からない」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。
障がい者の就労支援や高齢者の生活支援には、さまざまな制度やサービスが用意されています。
しかし、制度の種類が多く、手続きも複雑なため、どこから手をつければよいか迷ってしまう方も多いのが現状です。
本記事では、障がい者の就労支援制度と高齢者の生活支援サービスについて、制度の基本から具体的な申請方法、南魚沼地域での活用例、そして行政書士がお手伝いできることまで、分かりやすく解説します。
1.障がい者の就労支援制度とは? 必ず知っておきたい5つのサービス
障がい者の就労を支援する制度は、障害者総合支援法に基づいて提供されており、一人ひとりの状況に合わせたサービスが用意されています。
厚生労働省によれば、就労系障害福祉サービスには5種類のサービスがあります。
➡ 出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」
① 就労選択支援(2025年10月開始)
就労選択支援は、2025年10月から開始される新しいサービスです。
障がいのある方が自分に合った就労先や働き方を選択できるよう、就労アセスメントの手法を活用して支援します。
【 対象者 】
就労系サービスを初めて利用する方、または他のサービスへの移行を検討している方
【 サービス内容 】
• 本人の希望や就労能力の評価
• 適性に合った就労先の選択支援
• ケース会議でのアセスメント結果共有
② 就労移行支援
一般企業への就職を目指す方を対象に、一定期間(原則2年間)就労に必要な知識や能力を向上させる訓練を提供します。
【 対象者 】
• 一般企業に雇用されることが可能と見込まれる方
• 65歳未満の方(特例あり)
【 サービス内容 】
• 職業訓練やビジネスマナーの習得
• 求職活動の支援
• 就職後6カ月までのフォローアップ
実際に、就労移行支援から一般就労への移行者数は年々増加しており、平成29年度には約1.5万人が一般企業へ就職しています。
これは平成20年度から11倍以上の伸びです。
③ 就労継続支援A型(雇用型)
一般企業への就職が困難な方を対象に、雇用契約を結んだ上で就労の機会を提供します。
【 対象者 】
• 就労移行支援を利用したが企業等の雇用に結びつかなかった方
• 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが雇用に結びつかなかった方
• 就労経験があるが、現在雇用関係にない方
【 特徴 】
• 最低賃金以上の賃金が保障される
• 雇用契約に基づく安定した労働環境
• 企業から受注した多様な業務に従事
➡ 出典:新潟県「【魚沼・南魚沼・十日町】障害者就労継続支援事業所をご紹介します」
④ 就労継続支援B型(非雇用型)
雇用契約は結ばないものの、就労の機会を提供し、生産活動を通じて知識や能力の向上を図ります。
【 対象者 】
• 就労経験があり、年齢や体力面で一般企業への雇用が困難となった方
• 50歳以上の方、または障害基礎年金1級受給者
• 就労移行支援事業者等によるアセスメントを受けた方
【 特徴 】
• 雇用契約がないため、自分のペースで働ける
• 工賃(作業報酬)が支払われる
• 比較的簡単な作業からスタート可能
厚生労働省の調査によれば、平成30年度の就労継続支援B型事業所の平均工賃は時給214円となっています。
工賃向上の取り組みも進められており、将来的にA型や一般就労への移行も可能です。
⑤ 就労定着支援
就労移行支援等を利用して一般企業に就職した障がい者を対象に、雇用に伴う日常生活や社会生活上の問題に関する相談・助言を行います。
【 対象期間 】
就職後6カ月経過から最長3年6カ月まで
【 サービス内容 】
• 職場での人間関係の相談
• 生活リズムの調整支援
• 企業や関係機関との連絡調整
2.障がい者手帳の申請手続きと必要書類
就労支援サービスを利用するには、多くの場合障がい者手帳の取得が必要です。
手帳には身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類があります。
① 身体障害者手帳の申請手続き
【 必要書類 】
⑴ 身体障害者手帳交付申請書
⑵ 指定医による診断書・意見書
⑶ 顔写真(縦4cm×横3cm、6カ月以内撮影)
⑷ マイナンバー確認書類
⑸ 本人確認書類
【 申請の流れ 】
⑴ 市区町村の障害福祉課で申請書を入手
⑵ 指定医(自治体が認めた医師)に診断書を作成依頼
⑶ 必要書類を揃えて窓口に提出
⑷ 審査(通常1~2カ月)
⑸ 交付通知後、窓口で受け取り
➡ 出典:厚生労働省「障害者手帳について」
② 精神障害者保健福祉手帳の申請手続き
【 必要書類(診断書による申請の場合) 】
⑴ 精神障害者保健福祉手帳交付申請書
⑵ 精神障害者保健福祉手帳用の診断書(初診日から6カ月以上経過後)
⑶ 顔写真(縦4cm×横3cm)
⑷ マイナンバー確認書類
【 注意点 】
• 有効期限は2年間で、2年ごとに更新が必要
• 障害年金を受給している場合は、診断書不要で申請可能
3.高齢者の生活支援サービス│介護保険制度を活用しよう
高齢者の生活を支えるサービスは、主に介護保険制度によって提供されています。
40歳以上の方が加入し、65歳以上(第1号被保険者)または40~64歳で特定疾病のある方(第2号被保険者)が利用できます。
〈 介護保険サービスの3つの種類 〉
介護保険サービスは、大きく分けて居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスの3つに分類されます。
① 居宅サービス(在宅で受けるサービス)
【 訪問サービス 】
• 訪問介護(生活援助・身体介護):ホームヘルパーが自宅を訪問
• 訪問看護:看護師による健康管理
• 訪問リハビリテーション:理学療法士等によるリハビリ
【 通所サービス 】
• デイサービス(通所介護):日中、施設で介護や機能訓練
• デイケア(通所リハビリテーション):リハビリ中心のサービス
【 短期入所サービス 】
• ショートステイ:一定期間、施設に宿泊
② 訪問介護の生活援助と身体介護の違い
訪問介護サービスは、生活援助と身体介護に分かれており、それぞれ対象となる内容が異なります。
【 生活援助でできること 】
• 掃除、洗濯、調理
• 買い物、薬の受け取り
• 衣類の整理、ベッドメイキング
【 生活援助でできないこと 】
• 本人以外のための家事(家族の食事作り等)
• ペットの世話
• 庭の手入れ、大掃除、窓ガラス拭き
• 来客の応対
【 身体介護の内容 】
• 食事介助、排泄介助、入浴介助
• 清拭(体を拭く)、更衣介助
• 体位変換、移動・移乗介助
• 服薬介助
③ 利用料金と自己負担額
介護保険サービスの利用料金は、所得に応じて1割~3割の自己負担となります。
【 自己負担割合 】
• 1割負担:一般的な所得の方
• 2割負担:一定以上の所得がある方
• 3割負担:特に所得の高い方
さらに、月額の負担上限額も設定されており、上限を超えた分は高額介護サービス費として払い戻しが受けられます。
〈 介護保険外の生活支援サービス 〉
介護保険だけではカバーできないサービスについては、市区町村独自のサービスや民間サービスを利用することができます。
【 市区町村のサービス例 】
• 配食サービス(1食500円前後)
• 移送サービス(福祉車両での送迎)
• 除雪援助
• おむつ支給
【 民間サービス例 】
• ダスキン、ベアーズ等の家事代行
• ヤマト運輸の見守りサービス
• シルバー人材センター
4.南魚沼市における支援サービスの実例
南魚沼市および周辺地域には、障がい者・高齢者の支援施設が複数あります。
➡ 出典:南魚沼市「障がい児者福祉施設」
① 障がい者福祉施設(南魚沼市内)
【 就労移行支援・就労継続支援B型事業所 】
• 就労支援センターあおぞら(南魚沼市塩沢1379番地4)
• はまなす園(南魚沼市浦佐603番地5)
• その他複数の事業所
【 相談支援センター 】
• 相談支援センターみなみうおぬま(南魚沼市坂戸399番地1 ふれ愛支援センター内)
【 グループホーム 】
• よかわホーム、さかどホーム、こぐりやまホーム等
② 高齢者支援サービス
南魚沼市では、以下のような高齢者向けの独自支援も行われています。
【 住宅除雪援助 】
• 高齢者世帯等の除雪費用を一部助成
【 在宅要介護高齢者家族手当 】
• 要介護4以上の高齢者を在宅介護している家族に手当支給
【 紙おむつ支給 】
• 市民税・県民税非課税世帯等を対象に紙おむつを支給
【 地域包括支援センター 】
南魚沼市内には3カ所の地域包括支援センターがあり、介護・医療・保健・福祉に関する相談を無料で受け付けています。
5.行政書士ができること・できないこと
障がい者支援や高齢者支援に関して、行政書士が専門的にサポートできる業務と、他の専門家に依頼すべき業務があります。
〈 ✔ 行政書士ができること 〉
① 障がい福祉サービス事業所の指定申請
就労継続支援事業所やグループホーム等を開設する際の指定申請手続きは、行政書士の専門分野です。
【 具体的な業務 】
• 指定申請書類の作成・提出
• 行政との事前協議・調整
• 消防署や建築担当課との協議
• 人員配置基準の確認
• 物件の適合性チェック
② 障がい者手帳の代理申請
障がい者手帳の交付申請について、本人やご家族に代わって代理申請を行うことができます。
【 サポート内容 】
• 申請書類の作成支援
• 必要書類の収集サポート
• 窓口への代理提出
• 申請後のフォロー
③ 契約書・協議書の作成
遺産分割協議書、各種契約書、成年後見関連書類など、権利義務に関する書類の作成が可能です。
④ 許認可申請全般
官公署に提出する書類の作成・提出代理は、行政書士の独占業務です。
〈 ✖ 行政書士ができないこと 〉
① 登記手続き
法人設立登記や不動産登記は、司法書士の業務です。
障がい福祉サービス事業所を開設する際、法人設立が必要な場合は司法書士に依頼します。
② 税務申請・相談
確定申告や税務相談は税理士の業務です。
③ 社会保険・労務関係
障害年金の申請、雇用保険、労災保険の手続きは社会保険労務士の業務となります。
④ 法律相談・訴訟代理
紛争が生じた場合の法律相談や訴訟代理は弁護士の業務です。
6.よくある質問(FAQ)
Q1. 障がい者手帳がなくても就労支援サービスは利用できますか?
A. サービスによって異なります。
就労継続支援B型などは、障がいがあることが確認できれば手帳がなくても利用できる場合がありますが、一般的には手帳の取得が推奨されます。
詳しくは市区町村の障害福祉課にご相談ください。
Q2. 就労移行支援と就労継続支援の違いは何ですか?
A. 就労移行支援は一般企業への就職を目指す訓練を行うサービス(利用期間は原則2年)で、就労継続支援はすぐに一般就労が難しい方に働く場を提供するサービスです。
継続支援にはA型(雇用契約あり)とB型(雇用契約なし)があります。
Q3. 介護保険の申請はどこで行えばよいですか?
A. お住まいの市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターで申請できます。
申請後、認定調査と主治医意見書に基づいて要介護認定が行われます。
Q4. 行政書士に依頼するとどのくらいの費用がかかりますか?
A. 業務内容によって異なります。
障がい福祉サービス事業所の指定申請で10万円~50万円程度、手帳の代理申請で4万円~7万円程度が一般的な相場ですが、事務所によって異なるため、事前に見積もりを取ることをお勧めします。
Q5. 南魚沼市で利用できる高齢者向けサービスにはどんなものがありますか?
A. 介護保険サービスのほか、住宅除雪援助、在宅要介護高齢者家族手当、紙おむつ支給などの市独自のサービスがあります。
詳しくは南魚沼市役所または地域包括支援センターにお問い合わせください。
7.まとめ|一人で悩まず、専門家に相談を
障がい者の就労支援や高齢者の生活支援には、多様な制度とサービスが用意されています。
しかし、制度の複雑さや手続きの煩雑さから、適切な支援を受けられていない方も少なくありません。
【 重要なポイント 】
• 就労系障害福祉サービスには、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援の5種類がある
• 高齢者向けサービスは介護保険制度を中心に、訪問・通所・短期入所などが利用できる
• 障がい者手帳や介護保険の申請には、決められた手続きと書類が必要
• 南魚沼市には複数の支援施設と独自の支援サービスがある
• 行政書士は申請書類の作成や代理申請など、行政手続きの専門家としてサポート可能
何から始めればよいか分からない、手続きが複雑で困っているという方は、まずは市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。
そして、事業所の開設や各種申請手続きでお困りの際は、行政書士にご相談ください。
豊富な知識と経験を持つ専門家が、皆様の状況に合わせた最適なサポートを提供いたします。
出典・参考
• 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」
• 厚生労働省「障害者手帳」
• 新潟県「【魚沼・南魚沼・十日町】障害者就労継続支援事業所をご紹介します」
• 南魚沼市「障がい児者福祉施設」
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