行政手続きをスムーズに進めたいとき、行政書士に「委任する」ことがあります。
そのときにほぼ必ず登場するのが 「委任状」 です。
本記事は、行政書士が日常業務で取得する委任状について、初めての方にもわかりやすく、具体的に解説します。
1.そもそも「委任状」とは何か?
委任状とは、本人(または法人の代表者)が第三者(この場合は行政書士)に対して、特定の手続きや行為を代行する権限を与えるための書面です。
行政手続きの代理申請や書類の受領、訂正や追加書類のやり取りなど、依頼した範囲において行政書士が本人の代わりに行動できることを証明します。
行政手続きにおいては、代理権を証する書面(=委任状)の添付が求められる場面が多くあります。
2.委任と代理の違いとは?(簡単に解説)
行政書士の業務には「委任」と「代理」が登場しますが、この2つは似ているようで意味が異なります。
依頼者が誤解しやすいポイントなので、最初に整理しておくと安心です。
①「委任」とは
委任(民法第643条)とは、ある行為を「しても良い」という権限を付与する契約のことです。
たとえば、
• 「建設業許可の申請書類を作成してほしい」
• 「市役所の届出を代わりにだしてほしい」
と依頼者が行政書士に任せること自体が「委任」です。
この時点では、行政書士が実際に手続きを行う「権限」を生む契約が成立した状態です。
委任状は、この委任の事実を証明する書類です。
②「代理」とは
代理(民法第99条~102条)とは、本人の代わりに、本人と同じ法律効果を生じさせる行為を行うことです。
行政書士が行う代理行為の典型例は、
• 役所に申請書を提出する
• 行政庁からの書類を受け取る
• 補正書類を提出する
などの「行政手続きに関する法律行為の代理」です。
代理権があることで、行政書士が行った行為の効果は、そのまま依頼者本人に及びます。
以上のことから「委任」と「代理」の違いを簡単に言うと、
• 「委任」=任せる約束
• 「代理」=その約束に基づいて行政書士が実際に手続きを行うこと
という関係になります。
| 委 任 | 代 理 | |
| 意 味 | 行為を「任せる」という契約 | 本人の代わりに法律効果を発生させる行為 |
| 主 体 | 依頼者と行政書士 | 行政書士が行政機関に対して行う手続き |
| 必要書類 | 委任状(代理権授与の証明) | 委任契約があって初めて成立する |
| 関係性 | 委任が前提にあって初めて代理が可能になる | 委任なしでは代理は不可 |
3.行政書士が委任状を取得する主な状況(代表的な事例)
以下は行政書士が日常的に委任状を受け取る代表的な場面です。
実務でよくある具体例を挙げます。
• 車庫証明(自動車保管場所届出)や各種自動車手続き
警察署への申請に際して、申請者が委任状を付けて行政書士に代理申請を任せることが多いです(日本行政書士会連合会の様式が使われることがあります)。
• 各種許認可申請(飲食店営業、風営法関連、建設業許可、古物商営業許可など)
申請書類の作成・提出・受領を委任するための委任状を取ることがあります。
• 行政機関からの書類受領や補正対応
行政からの通知や補正要求を受領し、必要書類を提出する権限を委任する場合。
• 法人手続き(代表者が外出中・遠方の場合)
印鑑届出や法人関係書類の一部手続きで、代表者の委任を受けて行政書士が動くことがあります。
上記は代表例で、実際には手続きごとに委任状の要否や必要な記載項目が変わります。
4.委任状に書くべき基本項目(押さえておくべきポイント)
委任状の形式は必ずしも一律ではありませんが、以下の点は必ず明確にしておくべきです。
① 委任者(本人)の氏名・住所(法人の場合は商号・代表者名)
② 受任者(代理人=行政書士)の氏名・事務所名・登録番号(行政書士であれば登録番号)
③ 委任する具体的な「委任事項」(何の手続きを任せるのかを具体的に記載)
④ 委任の範囲と期間(いつからいつまで、または「本件に限る」など)
⑤ 作成年月日と委任者の署名または押印(法人の場合は代表者印)
⑥ 連絡先(電話番号等)
※ 実務上、「委任事項は具体的に」記載することが後のトラブル防止になります(どの申請・どの役所・どの権限まで、等)。
また日本行政書士会連合会が標準様式を周知しており、該当手続きで推奨される様式を使うケースもあります。
5.行政書士が扱える委任と扱えない場面(業務範囲の境界)
行政書士は広範な書類作成・申請代理を行えますが、他の士業に専属する業務や法律で制限された行為は対応できません。主な留意点は以下の通りです。
① 行政書士が対応できる代表的な範囲
• 行政機関に提出する許認可申請書・届出書の作成および代理提出・受領。
② 行政書士が原則として対応できない/注意が必要な事項
• 訴訟行為や弁護士業務に該当する交渉・代理(裁判手続き・当事者間の法的代理交渉など)
弁護士の専権分野です。
• 不動産登記の代理申請のうち司法書士の専権業務に関するもの(登記申請自体は代表者が行う場合があり、資格者代理人の制度もあるため手続きにより要確認)。
• 税務申告そのもの(税理士業務):委任状で依頼しても、税理士法上の業務は税理士が担当します。
結論:委任状を渡す=全て任せられるわけではありません。
委任状で付与するのは「委任者が渡した範囲の権限」のみ。
どこまで行政書士が代行できるかは、依頼内容と対象手続きの法的制約を照らし合わせて確認する必要があります。
6.委任状の様式はどれを使えばよい?(実務での扱い)
• 多くの自治体や官庁には任意様式(つまり「形式は任意だが必要項目が揃っていること」)とされているケースが多いです。
県や警察署(車庫証明)などで推奨フォーマットがある場合は、それに合わせた方が間違いがありません。
• 日本行政書士会連合会は委任状の標準様式や推奨書式を周知しており、行政書士が代理申請を行う際に使われることが多いです(特に車庫証明など定型の手続き)。
7.よくあるトラブルと予防策(実務的アドバイス)
• 委任事項が曖昧で後から範囲をめぐる争いになる
→ 委任状には「何を」「どこまで」「いつまで」を具体的に書く。
• 印鑑や署名が不備で受理されない
→ 法人代表者の委任なら代表者印(印鑑証明が必要な手続きがあるか要確認)。
• 第三者(管理会社等)の押印が必要な書類と混同する
→ 「使用承諾書」など別書式が必要なケースがあるので、行政書士に事前確認を。
8.まとめ(行政書士に依頼する際のチェックリスト)
① その手続きに委任状が必要かを確認する(行政書士へ相談)。
② 委任事項は具体的に書く(申請先・申請名・受領・訂正等の権限)。
③ 必要なら日本行政書士会連合会の標準様式や自治体の指定様式を使う。
④ 他の士業(弁護士・司法書士・税理士等)が対応すべき手続きでないか確認する。
委任状の書き方や「この手続きは委任できるのか?」といった疑問は、お近くの行政書士にご相談ください。初回相談で必要な書類や流れを分かりやすくご案内します。
参考(本文で参照した主な公的・業界資料)
• 法務省/委任状に関する(様式例) 等
• 日本行政書士会連合会(委任状の標準様式・手引き)/(参考:茨城県行政書士会ホームページ)
• 各地方自治体の委任状様式/新潟県/南魚沼市
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※本記事は令和7年11月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。