「相続した山林があるけれど、管理もできないし固定資産税だけ払っている……」
「ソロキャンプやDIYのために、自分だけの山を手に入れたい」
今、こうした「山を売りたい人」と「山を買いたい人」を直接つなぐ「山林マッチングサイト」が注目を集めています。
特に新潟県南魚沼市のような豊かな自然を持つ地域では、山林の扱いに悩む所有者が増える一方で、新しい活用ニーズも生まれています。
本記事では、行政書士の視点から、山林マッチングサイトの仕組みや南魚沼市での事例、そして売買・相続時に知っておくべき法的な注意点を詳しく解説します。
1.山林マッチングサイトとは?個人間で山を売買できる新サービス
これまで、山林の売買は一般的な不動産業者では扱われにくい分野でした。
単価が安いうえに境界が曖昧なことが多く、仲介手数料が手間に見合わないからです。
そこで登場したのが山林マッチングサイトです。
〈仕組みと特徴〉
山林マッチングサイトは、不動産会社を通さず、所有者と購入希望者が直接交渉できるプラットフォームです。
• 売り手: サイトに写真や情報を掲載し、希望価格を提示する。
• 買い手: 地域や用途(キャンプ、林業、投資など)から検索し、所有者にコンタクトを取る。
〈代表的なサイト〉
現在、以下のようなサイトが広く利用されています。
• 「山いちば」: 山林専門の売買支援サービス。
• 「家いちば」: 空き家や山林など「どんな不動産でも」扱える掲示板。
• 森林バンク: 地域の森林組合が運営に関与しているケースもあります。
2.南魚沼市における山林の現状とよくある相談事例
当事務所がある南魚沼市は、日本有数の豪雪地帯であり、豊かな森林資源に恵まれています。
しかし、その一方で以下のような相談が増えています。
① 「負動産」化した放置山林の処分
「父が昔、原野商法で購入した山がある」「相続したが場所も正確にはわからない」といったケースです。
南魚沼市では特に、冬場の積雪による倒木や、土砂災害の懸念から、管理責任を恐れて手放したいというニーズが非常に高いのが特徴です。
② スノーリゾート・キャンプ地としての需要
一方で、南魚沼の山林は「雪景色」や「アクセスの良さ(関越道・新幹線)」から、関東圏の購入希望者に人気があります。
• 事例: 放置されていた雑木林を、ソロキャンプ用として数十万円で個人に売却。
• 事例: 景観の良い傾斜地を、写真撮影やアウトドア拠点として貸し出す。
不確かな情報(具体的な成約価格など)については、個別の土地の条件(道路接道、法規制)に大きく左右されるため、一概には言えませんが、「タダでもいいから引き取ってほしい」という物件から、趣味層に刺さる「高値物件」まで二極化しています。
3.山林の未来:2024年からの法改正で「放置」は許されない?
今後、山林の所有を取り巻く環境は大きく変わります。
〈相続登記の義務化(2024年4月〜)〉
これまで山林の相続登記は放置されがちでしたが、法改正により相続を知った日から3年以内に登記することが義務化されました。
正当な理由なく怠ると過料が科される可能性があります。
➡ 相続登記の義務化については「こちらの記事もおすすめ」
〈相続土地国庫帰属制度〉
「どうしても買い手が見つからない」という場合、一定の条件を満たせば土地を国に引き取ってもらえる制度です。
ただし、「境界がはっきりしている」「10年分の管理費相当額を納める」などの厳しい条件があります。
➡ 相続土地国庫帰属制度については「こちらの記事もおすすめ」
〈キャンプ・サウナ・オフグリッド需要の継続〉
「自分だけのプライベート空間」への価値観が高まっており、山林マッチングサイトを通じて個人が山を所有する流れは今後も加速すると予想されます。
4.行政書士にできること・できないこと
山林の売買や譲渡において、行政書士は「手続きの専門家」として重要な役割を担いますが、宅地建物取引業者(不動産屋)とは役割が異なります。
〈行政書士ができること(専門分野)〉
① 売買契約書・贈与契約書の作成: 後々のトラブルを防ぐため、個人間売買に必須な契約書を作成します。
② 森林法に基づく届出(重要!): 森林の土地を新たに取得した場合、市町村長への事後の届出(森林の土地の所有者届出書)が法律で義務付けられています。この書類の作成・提出代行は行政書士の専管業務です。
③ 農地転用・開発許可: 山を削って小屋を建てる場合などの行政手続き。
④ 相続手続き: 遺産分割協議書の作成や、戸籍収集による所有者の特定。
〈行政書士にできないこと〉
• 売買の仲介(斡旋): 「買い手を探して交渉をまとめる」といった不動産仲介業務は、宅地建物取引業の免許がない限りできません。
• 所有権移転登記: 契約書作成までは行いますが、最終的な法務局への登記申請は司法書士の業務となります。
5.まとめ:トラブルを防ぐために
山林マッチングサイトは非常に便利ですが、「境界が不明確」「法令で建物を建てられない」「土砂災害警戒区域に入っている」といったリスクも自己責任で確認しなければなりません。
特に個人間売買では、「買った後に市役所から通知が来て驚いた」というトラブルも少なくありません。
山林を譲渡・購入する際は、マッチングサイトで相手を見つけた段階で、一度契約内容や届出の要件を専門家に確認することをお勧めします。
南魚沼市の豊かな山々を次の世代へ繋ぐため、またはあなたの新しいライフスタイルのために、手続き面での不安があればお近くの専門家(行政書士、不動産業者など)へご相談ください。
出典・参考
• 「山いちば」: 山林専門の売買支援サービス。
• 「家いちば」: 空き家や山林など「どんな不動産でも」扱える掲示板。
• 林野庁:「森林の土地の所有者届出制度」
• 法務局:「相続土地国庫帰属制度について」
• 南魚沼市:「森林の土地所有者届出制度」
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※本記事は令和7年12月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。