1.全国で増える熊被害の現状
近年、日本全国、特に山間部・農村地域において、熊(例:ツキノワグマ・ヒグマ)による農作物被害・人身被害が増加傾向にあります。
秋から冬にかけては、住宅地や田畑への出没もあり、市や県では注意喚起を強化しています。
農作物の食害や住宅周辺での被害報告もあり、このような状況では、地域住民・自治会・行政が連携して「熊被害への対応・防止策・補償申請」を行う必要が高まっています。
しかし、「行政に何か要望を出したい」「補償を受けたい」と考えても、実際に行政へ提出する書類の作成や申請手続きは複雑で、どのように進めればよいか分からないという声も多く聞かれます。
そんなときに頼れるのが、行政手続きの専門家である行政書士です。
2.熊被害で行政書士ができること
以下、具体的な「できること」と、それぞれの根拠を整理しました。
① 被害報告書・要望書・陳情書の作成
地域住民・自治会が、熊出没や被害状況を行政に伝え、対策を求めるためには報告書・要望書・陳情書などの書類提出が必要です。
この際、行政書士は「官公署に提出する書類の作成」が業務として認められています。
法律上、行政書士法第1条の2において、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署へ提出する書類を作成することが業務であると定められています。
また、日本行政書士会連合会の説明でも「官公署(各省庁・都県庁・市区町村役場等)に提出する書類の作成・代理」が業務範囲であることが示されています。
したがって、熊被害に関して「自治会として要望書を提出したい」「地域として陳情書を出したい」といった場面で、行政書士は書類作成・提出支援を行えます。
② 被害補償・対策交付金支援
農作物・家畜などの被害に対して、国・自治体から補償・対策交付金制度が設けられているケースがあります。
たとえば、農林水産省が掲げる「鳥獣被害防止総合対策交付金」には、クマの農業被害対策としての支援が明記されています。
また、自治体でも、新潟市では「鳥獣緩衝帯整備事業補助金」「鳥獣被害防止防護柵設置補助金」などといった野生動物(=鳥獣)による被害に対する補助事業が紹介されています。
このような制度を活用するため、申請書類の作成・添付資料の整備・提出先確認などを行政書士が支援することが可能です。
③ 地域団体・NPO設立サポート
地域で熊被害対策を行うため、自治会・住民団体が法人格(例:一般社団法人・NPO法人)を設立するケースがあります。
そこでは定款・議事録・協議書などの書類作成が必要になります。
行政書士は、法人設立に関する書類作成補助を行える業務範囲であるため、地域団体設立の支援が可能です(行政書士法の「権利義務に関する書類」作成業務等)。
④ 協定書・覚書などの文書作成
自治体・猟友会・地域住民・事業者など複数の主体が協力して熊対策を行う場合、「連携協定書」「覚書」「同意書」などの書類を交わすことがあります。
これらは「権利義務に関する書類」に該当するため、行政書士法上、行政書士が作成可能な書類範囲です。
したがって、地域で熊対策の協定を整えたい場合にも、行政書士がサポートできます。
⑤ 鳥獣駆除関連の申請支援
熊を含む有害鳥獣の駆除・捕獲を行う場合、自治体の許可申請などの手続きが必要とされます。
農林水産省の交付金要領にも「シカ・クマ特別対策等事業」が明記されており、侵入防止柵の設置や捕獲技術の支援が示されています。
行政書士はこのような許可申請書類の作成・添付資料整理・提出支援を行うことが考えられます。
ただし、実際の駆除行為そのものや許可判断は行政・猟友会の業務であるため、行政書士は「手続支援・書類作成」に限定されます。
3.行政書士が対応できない範囲
行政書士の業務範囲は、「書類作成・行政手続きの代理・相談」に限定されており、次のような業務は行えません。
• 熊の捕獲・駆除・追い払いなどの実作業(これは自治体・猟友会などが担当)
• 防護柵設置や地域見回り活動などの物理的対策
• 損害賠償請求・交渉(これは法律上の弁護士の業務)
• 保険金請求代理(保険業務に該当し、行政書士業務範囲外)
この制限の根拠として、行政書士法第1条の2項には「…その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。」と明記されています。
4.行政書士に相談するメリット
• 書類の形式ミス・申請漏れを防止できる(申請書類の要件整理・添付資料確認)
• 行政とのやり取りをスムーズに進められる(専門家が窓口とのやり取りを補助)
• 住民・自治会側の声を「要望・陳情書」という正式書類として整えることで行政に目的を明確に伝えられる
• 地域団体の設立や協定書・補助金申請といった一連の手続きもワンストップで支援が可能
これらは、熊被害のように「被害+行政手続き+地域活動」が絡むケースでは特に有効です。
5.まとめ
全国で熊被害が増加する中、地域住民・自治会・行政が連携して対応を進めることが重要です。
行政書士は、熊被害そのものを直接駆除・捕獲する専門家ではありませんが、地域と行政をつなぐ手続きの専門家として、「報告書・要望書の作成」「補助金申請」「団体設立支援」「協定書等の作成」「駆除関連申請の書類作成支援」といった業務で役割を果たせます。
・「熊被害の要望書を出したいけれど書き方が分からない」
・「補償申請の書類を整えたい」
・「地域団体を設立して熊対策を進めたい」
そんなときは、行政書士にご相談ください。
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