南魚沼市では、冬になると「しおざわ雪譜まつり」をはじめ、雪国ならではの魅力的なイベントが開催されます。
しかし、自治会や実行委員会などの任意団体が主催者となる場合、
「どこに何を届け出ればよいのか」
「事故が起きた時の責任はどうなるのか」
といった法務面での不安を抱える方が少なくありません。
特に冬季の屋外イベントでは、除雪対策や防寒設備、火気使用の安全管理など、他の季節にはない特有の課題が存在します。
本記事では、南魚沼地域でイベントを企画・運営される自治会や任意団体の皆様に向けて、必要な届出手続き、法的責任、そして行政書士がどのようにサポートできるかを具体的に解説します。
1. 南魚沼の冬季イベントで必須となる3つの主要届出
イベントを成功させるためには、企画の魅力以上に「法令遵守(コンプライアンス)」が重要です。
無届けでの開催は行政指導の対象となるだけでなく、万が一事故が発生した場合、主催者が重大な責任を問われるリスクがあります。
① 道路使用許可(警察署への届出)
パレードや雪灯籠の設置、道路を一時的に封鎖してのイベント開催には、道路使用許可が必要です。
【 提出先 】
南魚沼警察署
【 根拠法令 】
道路交通法第77条
【 重要ポイント 】
• 申請から許可まで、通常1週間〜10日程度の審査期間が必要です
• 雪灯籠や雪像を道路脇に設置する場合も、通行の妨げになるため許可が必要になるケースがあります
• 申請には会場レイアウト図や交通規制図などの図面作成が必要です
• 大規模イベントでは、事前相談を十分な時間的余裕をもって行うことが推奨されています
➡ 参考:警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」
② 臨時飲食店営業許可・食品提供届(保健所への届出)
お祭りの醍醐味である「炊き出し」や「露店」を出す場合、食品衛生法に基づく手続きが必要です。
【 提出先 】
南魚沼地域振興局 健康福祉環境部 生活衛生課(南魚沼保健所)
【 提出期限の目安 】
イベント開催の14日前までに事前相談・届出を行うことが推奨されています。
余裕を持った準備が重要です。
【 南魚沼特有の注意点 】
• 冬季は食中毒(ノロウイルス等)のリスクに加え、気温低下による手洗いの不徹底が懸念されます
• 保健所の指導に基づき、適切な手洗い設備の設置が必要です
• 雪上での火気使用は、熱源によって雪が溶け、足場が不安定になることによる転倒事故や火災のリスクがあります
• コンパネ(木板)の敷設や、消火器の配置が必要です
【 食品衛生責任者の設置 】
令和3年6月以降、臨時飲食店営業許可を取得する場合、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。
調理師や栄養士などの資格がない場合、食品衛生責任者養成講習会の受講が必要です。
現在はeラーニングでの受講も可能です。
➡ 食品衛生責任者については「こちらの記事もおすすめ」
➡ 参考: 新潟県「イベントにおける食品提供について」
➡ 参考: 新潟県「【南魚沼】食品営業許可 各種手続をご説明します」
➡ 参考:新潟県食品衛生協会「eラーニング講習案内ページ」
③ 催し物開催届(消防署への届出)
火気(カセットコンロ、発電機、薪ストーブ等)を使用する場合、消防署への届出が義務付けられています。
【 提出先 】
南魚沼市消防本部
【 重要ルール 】
• 平成26年9月1日から、火気器具を使用する露店等を開設する場合、消防署への届出が義務化されています
• 平成26年8月1日から、火気器具を使用する場合、消火器の準備が義務化されています
• 対象となる火気器具には、ガソリンを使用する発電機、石油ストーブ、LPガスこんろ、カートリッジ式こんろ、電子レンジ、ホットプレート等が含まれます
• 大規模なイベント(指定催し)に該当する場合、防火担当者の選任や消防計画の作成が必要になります
【 届出に必要な書類 】
• 露店等の開設届出書
• 対象火気器具の使用場所、危険物の設置場所、消火器の設置場所が記入されたイベント会場の見取り図
➡ 参考: 南魚沼市消防本部「火災予防条例等関係様式」
2. 手続きの流れと南魚沼地域での具体例
イベント開催の3ヶ月前から準備を始めることをお勧めします。
以下は一般的なスケジュール例です。
〈 イベント準備スケジュール表 〉
| 時期 | 行うべきこと | 相談・提出先 |
| 3ヶ月前 | ・企画立案 ・会場の確保(公園使用許可等) | 南魚沼市役所 各管轄課 |
| 2ヶ月前 | ・補助金申請の検討 ・予算の確定 | 南魚沼市 商工観光課 |
| 1ヶ月前 | ・各種届出の書類作成(図面作成含む) ・事前相談の実施 | ・南魚沼警察署 ・南魚沼保健所 ・南魚沼市消防本部 ( 行政書士への依頼も可 ) |
| 14日前まで | ・保健所への届出提出 ・警察署への申請提出 ・消防署への届出提出 | 各関係機関 |
| 当日 | ・許可証の携帯・掲示 ・現場の安全管理 | 主催者・運営スタッフ |
| 事業終了後 | ・実績報告書の提出(補助金を受けた場合) | 南魚沼市 商工観光課 |
※ 個別の事情によっては時期の変動が考えられるため、早めの準備が必要です。
〈 南魚沼での具体例:雪上での露店出店 〉
南魚沼の冬イベントでは、「雪上での火気使用」が大きなポイントになります。
【 具体的な対策 】
① 足場の安定化:コンパネ(木板)を敷設し、雪が溶けて不安定にならないようにする
② 消火器の配置:火気器具ごとに消火器を準備(条件によっては複数の火気器具に1本で可)
③ 図面への反映:コンパネの敷設位置や消火器の配置を、警察や消防に提出する会場レイアウト図に明記する
④ 手洗い設備:冬季でも適切に手洗いができる温水設備の設置を保健所から求められることがあります
3. 主催者が負う法的責任と契約書の重要性
「地域のみんなでやる行事だから」という認識だけでは、法的トラブルの前では通用しません。
主催者が個人ではなく「自治会」や「実行委員会」であっても、管理者としての責任を問われます。
① 主催者の「安全配慮義務」
イベント中に以下のような事故が発生した場合、主催者は安全配慮義務違反として損害賠償責任を負う可能性があります。
【 事故の具体例 】
• 雪像が崩れて来場者が怪我をした
• 路面の凍結で来場者が転倒し骨折した
• 火気使用中に火災が発生し、来場者や出店者が被害を受けた
• 提供した食品で食中毒が発生した
② 外部業者との「契約書」の重要性
テント設営や音響設備、除雪作業を外部業者に委託する場合、口約束は厳禁です。
以下の項目を明確にした「業務委託契約書」を作成しておくことが、団体の資金と役員の身を守ることに繋がります。
【 契約書に明記すべき事項 】
⑴ 業務内容の詳細:作業範囲、納期、仕様
⑵ 対価(報酬):金額、支払条件、支払時期
⑶ 損害賠償の範囲:業者の過失で事故が起きた際、どちらが責任を負うか
⑷ キャンセル規定:豪雪や悪天候による中止の際、費用をどこまで支払うか
⑸ 保険加入の有無:業者が損害賠償保険に加入しているか
③ 実行委員会規約の整備
任意団体として活動する場合でも、実行委員会規約を作成しておくことで、以下のメリットがあります。
• 意思決定プロセスの明確化
• 代表者の権限と責任の明確化
• 会計処理のルール化
• 万が一のトラブル時の紛争解決手続き
4. 行政書士ができること・できないこと
主催者の事務負担を軽減するために、行政書士を賢く活用しましょう。
〈 ✔ 行政書士に「できること」(独占業務) 〉
① 官公署への提出書類の作成・代理提出
• 道路使用許可申請書の作成と警察署への提出代行
• 臨時飲食店営業許可申請書の作成と保健所への提出代行
• 露店等の開設届出書の作成と消防署への提出代行
• 公園使用許可申請など、各種行政手続きの代行
② 権利義務に関する書類の作成
• 実行委員会規約の作成
• 外部業者との業務委託契約書の作成
• 協賛金に関する契約書・領収書の法的整備
• ボランティア協力に関する覚書の作成
③ 実地調査と図面作成
• イベント会場の実地調査
• 会場レイアウト図の作成(露店配置、消火器設置場所、手洗い設備等)
• 道路使用箇所図の作成(交通規制図、誘導員配置図等)
• 保健所・警察署・消防署が求める各種図面の作成
④ 事前相談への同行
• 警察署、保健所、消防署への事前相談に同行
• 行政機関との協議内容の整理とアドバイス
〈 ✖ 行政書士に「できないこと」 〉
① 紛争の解決・交渉(弁護士業務)
• 事故が起きた後の相手方との示談交渉
• 裁判所での訴訟対応
• 法的紛争の代理
② 事実に反する書類の作成
• 虚偽の報告書の作成
• 実体のない団体の設立届の作成
〈 アドバイス 〉
行政書士は「予防法務」の専門家です。
トラブルが起きてからではなく、「トラブルを起こさないための仕組み作り(書類整備)」のために活用するのが最もコストパフォーマンスが良い方法です。
特に、以下のような状況では行政書士の活用をお勧めします。
• 初めてイベントを主催する
• 役員が高齢化し、複雑な書類作成が負担になっている
• 過去に行政指導を受けたことがある
• 規模を拡大したいが、手続きが分からない
• 補助金を申請したいが、書類作成に不安がある
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 参加者から参加費をとらない「無料の炊き出し」でも届出は必要?
A. はい、原則として必要です。
不特定多数に食品を大量(同一メニュー概ね300食以上)に提供する場合は「イベントに伴う食品提供届」の提出が必要です。
食中毒のリスクは有料・無料に関わらず存在するため、保健所への事前相談は必須です。
➡ 参考: 新潟県「イベントにおける食品提供について」
Q2. 雪によるイベント中止の際、補助金はどうなる?
A. 南魚沼市の補助金(例:観光事業補助金、チャレンジ支援事業補助金など)の場合、実績に基づき交付されるため、中止になった場合は原則として補助対象外となることが多いです。
ただし、中止に伴うキャンセル料などが対象になるかは、事前に「交付決定通知書」や担当課への確認が必要です。
➡ 参考:南魚沼市「補助・サポート制度」(観光事業補助金などについて)
➡ 参考:南魚沼市「商業・工業」(南魚沼市チャレンジ支援事業補助金などについて)
Q3. 図面作成が難しいのですが、どうすればよいですか?
A. 行政書士に依頼することで、専門的な図面作成が可能です。
会場レイアウト図、道路使用箇所図、交通規制図など、警察・保健所・消防が求める図面を正確に作成できます。
特に初めての主催者の方や、役員の高齢化で作業が負担になっている場合にお勧めです。
➡ 図面作成については「こちらの記事もおすすめ」
Q4. 食品衛生責任者の資格を持っていません。イベントまで時間がないのですが?
A. 令和4年4月からeラーニングでの食品衛生責任者養成講習会の受講が可能になりました。
オンラインで受講できるため、スケジュールに合わせやすくなっています。
ただし、受講から修了証発行までに一定期間が必要なため、早めの受講をお勧めします。
➡ 参考:新潟県食品衛生協会「eラーニング講習案内ページ」
➡ 食品衛生責任者については「こちらの記事もおすすめ」
Q5. 道路使用許可は必ず必要ですか?
A. イベントの内容や規模によります。
道路を単なる通行の場としてではなく、祭礼行事や特別な目的で使用する場合、道路交通法により警察署長の許可を受ける必要があります。
判断が難しい場合は、事前に管轄の南魚沼警察署に相談することをお勧めします。
➡ 参考:警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」
6. 今後の課題と解決策
〈 課題1:担い手不足と役員の高齢化 〉
現在、多くの自治会で役員の高齢化が進み、煩雑な行政手続きがイベント存続の壁となっています。
特に以下のような声が聞かれます。
• 「書類作成に時間を取られて、企画を考える余裕がない」
• 「自分たちの代で何かあったら責任が取れない」
• 「若い世代が役員を引き受けてくれない」
【 解決策 】
① 行政書士による事務局代行:書類作成から行政機関との調整まで、専門家に委託
② オンライン申請の活用:新潟県では食品衛生等申請システムによるオンライン申請が可能
③ 複数年計画の策定:毎年同じ手続きを繰り返すのではなく、ノウハウの蓄積と継承
〈 課題2:情報の不足と変更への対応 〉
法令や手続きは頻繁に改正されます。特に以下のような変更がありました。
• 令和3年6月:食品衛生法改正により営業届出制度が開始
• 令和4年4月:食品衛生責任者養成講習会のeラーニング受講が可能に
• 平成26年8月~9月:火気器具使用時の消火器準備と露店開設届出が義務化
【 解決策 】
① 定期的な情報収集:市役所、保健所、警察署、消防署のウェブサイトを定期的に確認
② 専門家との連携:行政書士に最新情報の提供を依頼
③ 他団体との情報交換:成功事例や失敗事例を共有
〈 課題3:補助金の活用不足 〉
南魚沼市には、イベント開催を支援する補助金制度がありますが、十分に活用されていないケースがあります。
【 主な補助金制度 】
• 南魚沼市チャレンジ支援事業補助金(商工観光課)
• 南魚沼市観光事業補助金(商工観光課)
• その他、地域活性化に関する各種補助金
【 解決策 】
① 早期の情報収集:年度初めに商工観光課に相談
② 申請書類の作成支援:行政書士に補助金申請書類の作成を依頼
③ 実績報告の確実な実施:補助金受領後の実績報告を忘れずに
7. まとめ:冬の南魚沼を盛り上げるために
冬のイベントは、地域の一体感を高め、経済を活性化させる素晴らしい機会です。
しかし、その裏側にある「届出」や「法的責任」を疎かにすると、一瞬にして団体の存続が危ぶまれる事態になりかねません。
【 ☑ イベント成功のチェックリスト 】
3ヶ月前:企画立案、会場確保
2ヶ月前:補助金申請の検討
1ヶ月前:各種届出書類の作成開始、事前相談
14日前まで:保健所、警察署、消防署への届出提出
当日前:許可証の確認、消火器・手洗い設備の準備
当日:許可証の携帯・掲示、安全管理の徹底
事業終了後:実績報告書の提出(補助金を受けた場合)
※ 上記は一般的なスケジュール例です。個別の事情によっては期間の変動が考えられるため、早めの準備が必要です。
〈 安全で安心なイベント開催のために 〉
「書類作成に時間を取られて、企画を考える余裕がない」
「自分たちの代で何かあったら責任が取れない」
そんな不安を感じている自治会・イベント主催者の皆様、まずは行政書士などの専門家へご相談ください。
法令を守ることは、来場者の笑顔を守ること。
複雑な図面作成から警察・保健所・消防署への代行まで、行政書士がサポートいたします。
出典・参考
• 警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」
• 新潟県「イベントにおける食品提供について」
• 新潟県「【南魚沼】食品営業許可 各種手続をご説明します」
• 新潟県「食品営業届出」
• 新潟県食品衛生協会「eラーニング講習案内ページ」
• 南魚沼市消防本部「火災予防条例等関係様式」
• 南魚沼市「補助・サポート制度」(観光事業補助金などについて)
• 南魚沼市「商業・工業」(南魚沼市チャレンジ支援事業補助金などについて)
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