技能実習生を今から受け入れる企業に向けて、転籍のルール、受入企業の義務、特定技能への変更、2027年4月施行の育成就労制度への影響を整理しました。
南魚沼市・湯沢町・魚沼市・十日町市エリアの行政書士が2026年9月時点の最新情報をもとに解説します。
1. この記事は、こんな方に向けて書いています
「これから技能実習生を受け入れたい」
「求人を出しても人が集まらず、外国人材の採用を検討し始めた」
こういった事業者の方を想定して、この記事を書いています。
あわせて、他社で実習していた技能実習生を受け入れたい、いわゆる転籍者の採用を考えている企業も読者として想定しました。
現行の技能実習制度は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年法律第89号)に基づいて運用されています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「外国人技能実習制度」
この技能実習制度は、2027年4月1日に「育成就労制度」へ切り替わる予定です。
切り替え目前のこの時期に受け入れを始めてよいものか、転籍はどこまで認められるのか、特定技能への変更はいつ考えればよいのか。
疑問は尽きないはずです。
➡ 育成就労制度については「こちらの記事もおすすめ」
本稿では、2026年9月現在の公的資料に基づき、今から受け入れる企業が押さえておくべき点を整理します。
2. 結論 : 今から技能実習生を受け入れても問題ないか
先に結論からお伝えすると、今から技能実習生の受け入れを始めることは可能です。
ただし、いくつか押さえておくべき時期があります。
出入国在留管理庁によれば、育成就労制度の運用開始と特定技能制度の適正化等の施行日は令和9年(2027年)4月1日です。
同庁は、施行日時点ですでに来日している技能実習生、および令和9年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ、原則として施行日から3か月を経過するまで(令和9年6月30日まで)に技能実習を開始する技能実習生については、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられるとしています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q31・Q47など)
さらに実務上の目安として、外国人技能実習機構(OTIT)は自らのウェブサイトで、1号技能実習計画の認定申請は令和9年2月までに行うよう呼びかけています。
審査には一定の期間を要するため、今から受け入れを計画する企業は、遅くとも来年のこの時期までに申請が完了するよう逆算してスケジュールを組む必要があるでしょう。
「今からでは遅いのでは」と考える方もいますが、むしろ余裕を持って準備できる最後の時期にあたるというのが実情に近いはずです。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画の認定申請」
3. 南魚沼市・湯沢町・魚沼地域で想定される相談例
新潟労働局が公表した令和7年10月末時点の届出状況によれば、新潟県内の外国人労働者数は16,626人で過去最多を更新し、在留資格別では「技能実習」が5,558人(全体の33.4%)と最も多くなっています。
同じ資料には、南魚沼公共職業安定所(ハローワーク南魚沼)管内の内訳も掲載されており、管内の外国人労働者1,327人のうち技能実習が586人(44.2%)を占め、県平均を上回っていることが読み取れます。
産業別では製造業が953人(71.8%)と極めて高い割合となっており、これも県平均(38.2%)を大きく上回ります。
宿泊業・飲食サービス業は113人(8.5%)、建設業は62人(4.7%)です
➡ 参考:新潟労働局「新潟県における外国人雇用状況の届出状況」(令和7年10月末時点)
この数字だけから南魚沼市・湯沢町固有の事情を断定することはできませんが、管内が食品製造・機械金属などの製造業に厚みのある地域であること、あわせて宿泊・飲食分野でも一定数の受け入れが進んでいることは読み取れます。
この地域で想定される相談例としては、次のようなものが挙げられます。
• 食品製造業や金属加工業の企業が、繁忙期に向けて技能実習生の受け入れを検討している場合
• 湯沢町のスキーリゾート周辺の宿泊施設・飲食店が、通年雇用を前提に技能実習生や特定技能外国人の受け入れを模索している場合
• 除雪や施設管理など冬季特有の業務を含む事業者が、通年での人員配置を検討している場合
• 農業法人が、季節による繁閑差をふまえて外国人材の活用を相談する場合
なお、新潟県も「本県農業は、基幹的農業従事者の減少と高齢化が進んでおり」と説明したうえで、育成就労制度への移行を見据えた外国人材受け入れの相談窓口を設けています
➡ 参考:新潟県「農業分野における外国人材の受入れについて」
4. 技能実習生の転籍・転職はどこまで可能か
「技能実習生は途中で転職できますか」という質問は、相談の中でも特に多い部類に入ります。
結論からいえば、現行の技能実習制度では、転籍(実習先の変更)は原則として認められていません。
① 転籍が認められる場合
出入国在留管理庁のQ&Aによれば、技能実習制度ではやむを得ない事情がある場合に限り転籍が認められます。
やむを得ない事情の典型例は次のとおりです。
• 実習実施者における暴行等の人権侵害行為
• 実習実施者の経営上・事業上の都合(倒産等)
• 実習認定の取消し
• 実習実施者における労使間の諸問題
外国人技能実習機構は、2024年11月1日付でこの運用を明確化・柔軟化しており、転籍を希望する技能実習生は「実習先変更希望の申出書」(参考様式第1-44号)を監理団体または実習実施者に提出する手続きになっています。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「やむを得ない事情がある場合の実習先変更」
専ら技能実習生自身の責めに帰すべき事情による場合や、単に「他の職場で働きたい」という本人の希望のみでは、やむを得ない事情には該当しません。
② 技能実習2号から3号への移行時の実習先変更
もう一つ押さえておきたいのが、技能実習2号から3号へ移行するタイミングです。
実習先の変更は、やむを得ない事情がある場合を除き、技能実習生が第2号技能実習の目標(技能検定等3級の実技試験合格)を達成して第3号技能実習を希望し、かつ優良な実習実施者・優良な監理団体が受け入れを希望する場合に限り可能とされています。
つまり、2号を良好に修了した実習生が新たな受け入れ先へ移る道自体は制度上存在しますが、無条件の転職とは性質が異なります。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「「技能実習制度運用要領」の一部改正について(令和7年12月8日)」(参考様式第1-19号(規則第8条第17号関係) 2 実習先変更(団体監理型の場合))
③ 育成就労制度で新設される「本人意向の転籍」との違い
ここが混同されやすい点です。
出入国在留管理庁は、育成就労制度では技能実習制度では認められなかった外国人本人の意向による転籍を、一定の条件のもとで新たに認めるとしています。
具体的には、分野ごとに定める技能・日本語能力の水準を満たしていること、1年から2年の範囲で分野ごとに定める転籍制限期間を経過していること、転籍先が優良な育成就労実施者であることなどが条件です。
つまり、「本人の意向だけで自由に転籍できる」制度は、現行の技能実習制度にはまだ存在しません。
この仕組みは2027年4月の育成就労制度施行後に始まるものであり、今受け入れている・これから受け入れる技能実習生にそのまま当てはまるわけではない点に注意してください。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(【転籍】Q48以降)
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④ 特定技能への変更にともなう「転職」というパターン
ここまでは技能実習の在留資格を保ったままの転籍を説明しましたが、もう一つ、特定技能への在留資格変更にともなって、技能実習先とは別の企業へ移るというパターンがあります。
出入国在留管理庁の特定技能制度Q&Aによれば、特定技能外国人の転職は、同一の業務区分内、または試験等で技能水準の共通性が確認されている業務区分間であれば認められます。
技能実習にはない仕組みであり、これが「技能実習を良好に修了して特定技能へ変更すれば転職できる」といわれる理由です。
ただし制約が2つあります。
第一に、技能実習計画を修了していない「実習中」の段階では特定技能への在留資格変更は認められません。
第二に、2号修了後、特定技能への変更許可が下りるまでの間は就労できず、空白期間が生じ得る点にも注意が必要です。
実習の休みの日に転職先を探すこと自体は差し支えないとされていますが、在留期間満了を理由に「就職活動のため」だけで在留資格を変更することはできません。
つまり、「実習の途中で特定技能に切り替えて別の会社に移る」ことはできず、良好修了後に初めて選べる道です。
良好修了と業務の関連性という条件さえ満たせば、試験免除の扱いは転籍先が実習先と同じ企業か別の企業かを問わず適用されます。
➡ 参考:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q47・49・50など)
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〈 転籍できるケース・できないケースの比較 〉
| 区分 | 転籍の可否 | 主な条件 |
| やむを得ない事情がある場合 (現行制度) | 可能 | 人権侵害、経営破綻、実習認定取消し等(本人の希望のみは不可) |
| 2号から3号への移行時 (現行制度) | 条件付きで可能 | 技能検定3級等合格、優良な実習実施者・監理団体の受け入れ希望 |
| 単なる待遇不満・本人都合 (現行制度) | 原則不可 | ― |
| 技能実習修了後、特定技能へ変更する場合 | 可能(転職に相当) | 技能実習2号等を良好に修了していること、実習「中」の変更は不可、業務区分の共通性 |
| 本人意向による転籍 (育成就労制度、2027年4月〜) | 一定要件下で可能 | 技能・日本語水準クリア、転籍制限期間(1〜2年)経過、優良な転籍先等 |
転籍者を受け入れる企業の側では、その転籍が本当に「やむを得ない事情」に該当するのか、監理団体を通じて確認することが欠かせません。
確認を怠って受け入れた場合、後になって認定が下りない事態にもなりかねません。
5. 受入企業に求められる義務
実習実施者(受入企業)には、技能実習法に基づくさまざまな義務が課されます。
外国人技能実習機構が公開する技能実習計画認定申請の必要書類一覧を見ると、企業が整えるべき実務のかたちが具体的に分かります。
• 雇用契約書及び雇用条件書(参考様式第1-14号)を取り交わし、賃金・労働時間などの労働条件を明示すること
• 技能実習生の報酬・宿泊施設・徴収費用についての説明書(参考様式第1-16号)により、給与水準や住居費・食費等の徴収内容を事前に説明すること
• 技能実習の期間中の待遇に関する重要事項説明書(参考様式第1-19号)を用いた説明
• 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任し、それぞれの履歴書・就任承諾書・誓約書を整えること
• 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法など関係法令を遵守すること
• 優良要件適合申告書(参考様式第1-24号)等を通じ、優良な実習実施者としての基準を満たしているかを申告すること(優良な実習実施者・監理団体の組み合わせは、受け入れ人数枠にも影響します)
• 監理団体(団体監理型の場合)から定期的な監査・訪問指導を受け、必要な協力を行うこと
• 実習実施困難時の届出、行方不明時の状況説明書の提出など、異常事態が生じた際の報告義務を履行すること
これらは技能実習計画の認定を受けるための必要書類であると同時に、受け入れ後も継続して守るべき義務でもあります。
書類を揃えて終わりではなく、実習期間を通じて実態が計画どおりであることが求められる点を押さえておいてください。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画の認定申請」
6. 育成就労制度への移行が受入れに与える影響
今から技能実習生を受け入れる企業にとって、育成就労制度への移行スケジュールは避けて通れないテーマです。
出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」に基づき、主要な日程を整理します。
• 令和8年(2026年)4月15日〜 : 監理支援機関の許可に関する施行日前申請の受付開始
• 令和8年(2026年)9月1日〜 : 育成就労計画の認定に関する施行日前申請の受付開始(すでに受付が始まっています)
• 令和9年(2027年)4月1日 : 育成就労制度の運用開始、外国人技能実習機構は外国人育成就労機構に改組
技能実習制度と育成就労制度の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 技能実習制度(現行) | 育成就労制度(2027年4月〜) |
| 目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材育成と人材確保 |
| 在留期間 | 1号〜3号で通算最長5年 | 原則3年 |
| 区分 | 1号〜3号の段階区分あり | 区分なし、当初から3年分を一括認定 |
| 転籍 | 原則不可(やむを得ない事情がある場合を除く) | 一定要件のもとで本人意向の転籍が可能 |
| 監理を行う団体 | 監理団体 | 監理支援機関(許可基準を厳格化) |
| 認定機関 | 外国人技能実習機構 | 外国人育成就労機構(改組後) |
すでに技能実習生を受け入れている企業、あるいはこれから受け入れる企業がまず考えるべきことは、今回受け入れる技能実習生が3年の技能実習期間を終えるタイミングと、育成就労制度への移行時期の前後関係です。
出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」では、施行日時点で技能実習2号を1年以上行っている者は施行後も3号への移行が可能とされており、経過措置は比較的丁寧に用意されています。
とはいえ、新規の1号技能実習計画の認定申請そのものは、令和9年2月までに行うことが実務上の目安とされている点は繰り返し強調しておきたいところです。
なお、育成就労制度の詳細な運用要領のうち、優良な育成就労実施者の具体的な基準など一部の項目については、本稿執筆時点(2026年9月)でなお「決まり次第示す」とされており、確定していません。
この部分は今後の公表を待つ必要があります。
7. 特定技能・他の在留資格への変更
前章で触れた「技能実習修了後の特定技能への変更」について、条件面をもう少し掘り下げます。
あわせて、それ以外の在留資格への変更についても整理します。
① 技能実習2号を良好に修了した場合
現行制度では、技能実習2号を良好に修了した者は、特定技能1号への移行に際して技能試験・日本語試験の合格が免除されます。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、育成就労制度の運用開始後であっても当分の間、技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合には、この試験免除ルートで特定技能1号に移行できるとされています。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q80)
一方で、育成就労を経由した外国人が特定技能1号へ移行する場合は取扱いが異なります。
育成就労制度では、技能検定3級相当等の技能試験と、日本語能力A2相当以上の試験の合格が特定技能1号移行の要件となり、技能実習からの移行のような一律の試験免除は設けられません。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q75)
同じ「就労系の外国人材」であっても、技能実習経由と育成就労経由とでは、特定技能への移行条件が異なるという点は、これから採用計画を立てる企業にとって見落としやすいポイントです。
② 育成就労の途中での特定技能移行
育成就労の途中で特定技能1号へ移行することについても言及があり、技能・日本語能力の試験合格に加えて、現に在籍している育成就労の受入れ機関における就労期間が一定期間を超えている場合に限り認める方針とされています。
具体的な期間の詳細は今後の運用要領で明らかにされる見込みです。
➡ 参考:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q76)
③ 他の在留資格への変更
技能実習以外の在留資格への変更(技術・人文知識・国際業務など)についても、法律上は制度の枠組みが存在します。
ただし、その活動内容が技能実習の趣旨や本人の技能・経歴と整合しているか、在留資格変更許可申請の審査基準(虚偽でないこと、在留資格該当性、変更を適当と認めるに足りる相当の理由があること)を満たすかは、個別の事情によって判断が分かれます
在留資格変更許可申請の標準処理期間は1か月から2か月とされており、在留期限が迫ってからの相談では、審査期間の確保が難しくなるため、早めの着手が望まれます。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
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8. 受入れの手続きの流れ
制度上の大まかな流れは、次のとおりです。
① 受入れの検討(対象職種・業務区分の確認)
② 受入条件の確認(人数枠、施設・体制の整備状況)
③ 監理団体との関係確認(団体監理型の場合)
④ 必要書類の準備
⑤ 技能実習計画の認定申請(外国人技能実習機構)
⑥ 在留資格認定証明書交付申請等、入管への申請手続
⑦ 入国・受入れ
⑧ 実習開始
⑨ 在留期間更新・次段階(2号、3号)への移行検討
このうち⑤の技能実習計画の認定は外国人技能実習機構が担い、⑥の入管手続は出入国在留管理庁が担うという担当機関の違いを意識しておくと、書類の宛先を取り違えずに済みます。
9. 必要書類
技能実習計画の認定申請にあたって整える主な書類は、外国人技能実習機構が公表する一覧によれば次のとおりです。
実際の必要書類は企業単独型・団体監理型、職種によって異なるため、詳細は最新の一覧表で確認してください。
• 技能実習計画認定申請書(省令様式第1号)――企業が作成し、実習の内容・期間などを記載する中心書類
• 申請者の概要書・誓約書(参考様式第1-1号、1-2号)――受入企業の概要と法令遵守の誓約
• 技能実習生の履歴書(参考様式第1-3号)
• 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の履歴書並びに就任承諾書及び誓約書(参考様式第1-5号)
• 雇用契約書及び雇用条件書(参考様式第1-14号)
• 技能実習生の報酬・宿泊施設・徴収費用についての説明書(参考様式第1-16号)
• 技能実習の期間中の待遇に関する重要事項説明書(参考様式第1-19号)
• 優良要件適合申告書(参考様式第1-24号)
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画の認定申請」
これらに加えて、「在留資格認定証明書交付申請」または「在留資格変更許可申請」の際には、入管側の様式に沿った書類一式が別途必要になります。
「どの書類を、誰が、どの機関に提出するのか」が制度によって異なるため、初めて受け入れる企業ほど、早い段階で全体の書類マップを整理しておくと混乱を避けられます。
10. 想定される失敗例
以下は想定される失敗例です。
いずれも実務上確認が必要になりやすいポイントとして整理したものです。
• 「技能実習生なら自由に転職できる」と誤解し、転籍希望者を安易に受け入れてしまう
• 「技能実習2号になれば無条件で転籍できる」と考え、監理団体への確認を怠る
• 特定技能への移行準備を、在留期限の直前になってから始めてしまう
• 育成就労制度への移行時期を意識せず、施行日前後で技能実習計画を組んでしまう
• 雇用契約書・重要事項説明書の記載内容と、実際の労働条件が一致していない
• 監理団体と受入企業の役割分担を理解しないまま、必要な届出を怠ってしまう
• 賃金・労働時間について、日本人労働者と同等の待遇を確保できていない
いずれも、受入れを決めた段階からできるだけ早く専門家に相談することで避けられる類のものです。
11. 行政書士に「できること」・「できないこと」
行政書士に依頼できる範囲は、行政書士法に基づく独占業務と、入管法上の申請取次制度の2つを理解しておくと分かりやすくなります。
〈 ✔ 行政書士にできること 〉
• 「在留資格認定証明書交付申請」、「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」などに関する申請書類の作成
• 「申請取次行政書士」として地方出入国在留管理局長に届出をしたうえで、依頼者に代わって申請書類を提出する「申請取次」業務
• 雇用契約書や各種説明書など、企業側で整える書類の確認・整理
• 申請スケジュールの整理、制度上の手続きに関する相談対応
〈 ✖ 行政書士ができないこと・他の専門家が担う範囲 〉
• 技能実習計画の認定申請そのものは、実習実施者または監理団体が外国人技能実習機構に対して行う手続であり、行政書士が名義人として申請する性質のものではありません。
書類作成の支援は可能ですが、監理団体の役割を代替するものではない点に注意してください。
• 労働・社会保険に関する具体的な手続(雇用保険・社会保険の加入手続、就業規則の作成等)は社会保険労務士の業務範囲です。
• 労使間の紛争解決や訴訟対応は弁護士の業務範囲です。
• 出入国管理及び難民認定法上、行政書士は「代理人」ではなく「取次者」として扱われるため、入管の判断そのものを行政書士が代わりに下すことはできません。
なお、2026年1月には行政書士法の改正があり、書類作成に関する独占業務の範囲が改めて明確化されました。
技能実習・育成就労・特定技能のいずれについても、書類作成の部分は行政書士(または弁護士)の独占業務である一方、取次や事実行為としての提出は監理団体・登録支援機関の職員なども担えるという役割分担を理解したうえで、どこを誰に依頼するかを整理することが、結果として手続き全体を円滑に進める近道になります。
12. よくある質問
Q1. 技能実習生は途中で転職できますか?
A. 現行制度では原則できません。
暴力等の人権侵害や経営破綻など「やむを得ない事情」がある場合に限り、転籍(実習先の変更)が認められます。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「やむを得ない事情がある場合の実習先変更」
Q2. 技能実習2号なら転籍できますか?
A. 2号であること自体が転籍を可能にするわけではありません。
2号を良好に修了し、優良な実習実施者・監理団体が3号としての受け入れを希望する場合に、実習先の変更が認められる仕組みです。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「「技能実習制度運用要領」の一部改正について(令和7年12月8日)」(参考様式第1-19号(規則第8条第17号関係) 2 実習先変更(団体監理型の場合))
Q3. 転籍先の会社は監理団体に加入する必要がありますか?
A. 団体監理型で受け入れる場合は、監理団体を通じた受け入れが前提になります。
企業単独型か団体監理型かによって扱いが異なるため、個別に確認が必要です。
Q4. 今から技能実習生を受け入れるメリットはありますか?
A. 人手不足への対応という側面はありますが、制度目的はあくまで人材育成を通じた国際貢献です。
受入企業には計画に基づく育成義務が伴う点を理解したうえで検討することが前提になります。
Q5. 育成就労制度が始まる前に技能実習を始めても問題ありませんか?
A. 問題ありません。
ただし、1号技能実習計画の認定申請は令和9年2月までに行うことが実務上の目安とされており、余裕を持ったスケジュールが必要です。
➡ 参考:外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画の認定申請」
Q6. 技能実習生を特定技能へ変更するにはいつから準備すればいいですか?
A. 技能実習2号の修了が見えてきた段階、目安として修了の半年〜1年前には試験や書類の準備を始めることが望まれます。
試験免除ルートを使う場合でも、書類準備には一定の時間がかかります。
Q7. 在留期限が近い場合はどうすればいいですか?
A. 「在留資格変更許可申請」の標準処理期間は1〜2か月とされています。
期限直前の相談は審査期間の確保が難しくなるため、早めに動き出してください。
➡ 参考:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
Q8. 受入企業だけで在留申請ができますか?
A. 可能です。
申請人本人のほか、承認を受けた受入機関の職員、または届出をした弁護士・行政書士が取次者として申請できます。
Q9. 行政書士に何を頼めますか?
A. 在留資格関係の申請書類作成と申請取次、雇用契約書等の確認、手続スケジュールの整理などが中心になります。
技能実習計画の認定申請そのものは監理団体・実習実施者が機構に対して行う手続である点にご留意ください。
Q10. 会社を変えた場合、在留資格はそのままでいいですか?
A. 転籍が認められた場合でも、技能実習計画の変更手続や、場合によっては在留資格に関する届出が必要になることがあります。
個別事情によって対応が異なるため、転籍が決まった時点で早めに確認することをおすすめします。
13. まとめ : 今から受け入れる企業が押さえておくべきポイント
今から技能実習生を受け入れることは、制度上何ら問題ありません。
ただし、2027年4月の育成就労制度施行を見据え、新規の技能実習計画は令和9年2月までの申請が実務上の目安であること、転籍は現行制度では「やむを得ない事情」がある場合に限られ、育成就労制度で新設される「本人意向の転籍」とは別物であること、特定技能への移行は技能実習経由と育成就労経由とで条件が異なることを押さえておく必要があります。
南魚沼市・湯沢町を含む魚沼地域では、製造業を中心に技能実習生の受け入れが一定の厚みを持って進んでいます。
冬季の宿泊・除雪関連業務や食品製造など、地域特有の事情を踏まえた受け入れ計画を考える企業も少なくないはずです。
自社だけで制度の全体像を把握し、転籍や在留資格変更のタイミングまで見極めるのは容易ではありません。
書類の整理や申請スケジュールの組み立てで判断に迷ったときは、専門家までお気軽にご相談ください。
当事務所では、外国人雇用に関するご相談から在留資格の確認、必要書類のご案内、出入国在留管理庁への各種申請取次まで、一つひとつ丁寧にサポートいたします。
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出典・参考
・ 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
・ 外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画の認定申請」
・ 新潟労働局「新潟県における外国人雇用状況の届出状況」(令和7年10月末時点)
・ 新潟県「農業分野における外国人材の受入れについて」
・ 外国人技能実習機構(OTIT)「やむを得ない事情がある場合の実習先変更」
・ 外国人技能実習機構(OTIT)「「技能実習制度運用要領」の一部改正について(令和7年12月8日)」
・ 出入国在留管理庁「外国人技能実習制度」
・ 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
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