はじめに — なぜ「許可が取れない」を事前に知るべきか
古物商の許可申請は、主に都道府県警察(生活安全担当)が審査します。法令上に明確に規定された欠格事由に該当する場合や、申請内容に不備・虚偽がある場合、許可は下りません。申請後に不許可となると時間と費用が無駄になるため、事前確認と準備が非常に重要です。
本記事では、古物商許可が取得できない代表的な「欠格事由」や届出・書類不備で不許可になる理由を、判例・運用通達に基づき分かりやすく解説。申請前に確認すべきポイントと、行政書士に依頼するメリット・具体的な対応策を紹介します。
1.許可が取得できない「欠格事由」——代表的な11ケース
以下は一般的に運用されている欠格事由の代表例です。個別の適用は事情により異なるため、必ず管轄の警察署や通達を確認してください。
① 破産手続開始の決定を受け復権していない者
→ 破産手続で復権(免責など)が確定していないと許可不可。
② 禁錮以上の刑に処せられ、または一定の犯罪で罰金刑を受け、その執行終了から5年経過していない者
→ 刑の種類や執行終了日の起算に注意。窃盗等の罪は特に要注意。
③ 暴力団関係者や反社会的勢力との関係がある者
→ 暴力団排除の観点から厳格に運用されます。
④ 住所不定(住居の定まらない者)
→ 申請者・管理者に住居の定まりが必要。
⑤ 過去に古物商許可を取り消され、一定期間(概ね5年)が経過していない者
→ 取り消し履歴は厳しくチェックされます。
⑥ 旧法や現行法に基づく行政処分(違反での命令等)を受けて一定期間経過していない者
→ 営業停止命令等の履歴があると許可不可となる場合があります。
⑦ 心身の故障により業務遂行が困難と判断される者(国家公安委員会規則で定める基準)
→ 実務上は医師の診断書等を求められるケースもあります。
⑧ 一定の未成年者
→ 法定代理人の同意などで対応できないため許可不可。
⑨ 管理者を適切に選任できないと認められる場合
→ 管理者が欠格事由に該当する、または実務に耐えられないと判断されれば不許可。
⑩ 名義貸しや代理による不正取得の疑いがある場合
→ 実態のない名義使用が疑われると厳しく審査されます。
⑪ 国家公安委員会規則で追加されたその他の欠格事由(近年の改正含む)
→ 非対面取引に関する本人確認など、新たな基準も順次運用されています。
※上記はいずれも形式的な列挙です。具体的に「自分が該当するか」は個別事情(刑の執行終了日、復権の有無、役員の立場など)で判断が分かれます。必ず専門家に相談しましょう。
2.書類不備・虚偽申告で不許可になる典型ケース
欠格事由に該当しない場合でも、次のような手続き上の不備や虚偽で許可が下りないことがあります。
• 提出書類の不備(印鑑、住所、本人確認書類の不一致など)
• 営業所(店舗)の実態が確認できない、あるいは管理体制が不明確
• 帳簿や標識の設置・運用方法が不十分
• 法人の場合、登記事項と申請書類の情報が合致しない
• 申請書に虚偽の記載や意図的な隠匿がある(最悪の場合、刑事処分や許可拒否の根拠になります)
これらは事前にチェックすれば防げるものが多く、行政書士による書類チェックや現地確認で大幅にリスクを減らせます。
3.法人での申請時に特に注意すべきポイント
法人申請では「法人の代表者・役員」と「古物の管理者」が審査対象になります。例えば次の点が重要です。
• 役員に欠格事由がないか(過去の刑罰、破産等)
• 管理者が実務的に適任か(常勤性・責任体制)
• 会社の登記内容と申請書類の整合性
• 営業所ごとの届出(複数拠点がある場合の取り扱い)
新設法人や事業承継での申請は、書類作成ミスや手続き漏れが起きやすい分野です。専門家のチェックで許認可取得の確実性を上げられます。
4.不許可になった時の対応(行政書士ができること)
もし申請が不許可になった場合、次のような対応が考えられます。行政書士はここで力を発揮します。
① 不許可理由の確認と法的根拠の照合
→ 警察からの不許可通知には理由が記載されます。理由を整理して、事実関係と法令を突き合わせます。
② 補正書類の作成・追加説明の提出
→ 書類の不足や誤解が原因なら補正で解決できることがあります。行政書士が代理で補正書類を作成・提出します。
③ 人事や管理体制の見直し
→ 管理者や役員に欠格事由の疑いがある場合、管理者を替えるなど組織の再構築案を提示します。実務上は「管理者候補の選定→身辺資料の整備」等が有効です。
④ 不許可処分に対する不服申立て(行政手続)や再申請の準備
→ 判定が誤りと思われる場合は、法的な不服申立てや異議申立ての検討も可能です。再申請のタイミングや必要書類の整備も支援します。
⑤ 経営改善プランの提案
→ 単に許可だけを目的にするのではなく、帳簿管理や本人確認フロー、内部規程の整備など恒久的な対策を作成します。
5.申請前にすべき“実務的”チェックリスト(簡易版)
以下は申請前に自分で確認できるチェック項目です。これを満たしていれば不許可リスクが大きく減ります。
• 申請者・管理者の身分証明書・住民票は最新か
• 役員・管理者に欠格事由がないか(破産、刑罰履歴、過去の許可取り消し等)
• 営業所の賃貸契約書・使用承諾書があるか(賃貸の場合は家主の承諾)
• 帳簿や標識を設置する運用フローを用意しているか
• 書類に虚偽・矛盾がないか(登記簿や納税情報等と整合)
• ネット販売を行う場合、本人確認方法・URL届出などの要件を満たす準備があるか。
6.事例で見る“よくある不許可パターン”と現実的対処
• 事例A:旧代表者が過去に許可取消しを受けていた
→ 代表者変更や新法人での再出発を提案。取消し履歴から一定年数経過が必要なため、代替案(第三者を代表に据える等)で対応。
• 事例B:店舗が賃貸で家主承諾がない
→ 家主からの承諾書を取得、または別物件への転居を提案。
• 事例C:申請書に誤字・印鑑不備があり確認で時間を要した
→ 事前に行政書士が書類をチェックしていれば回避可能。書類チェックの重要性を解説。
※上記は実務で多いパターンの一部です。個別事案により対応方法は変わるため、早めに相談することで選択肢が広がります。
7.行政書士に頼むメリット(具体的かつ現実的)
• 欠格事由の事前スクリーニング:本人・役員の経歴照会やリスク判定を行い、申請可否の判断を支援します。
• 書類作成・整合性チェック:申請書類の法的要件・運用通達に沿った作成で不備を最小化します。
• 警察との窓口対応の代行:補正や問い合わせがあった場合、代理で対応して手続きを円滑に進めます。
• 不許可時のフォロー(再申請・不服申立て等):理由分析から再申請戦略までワンストップで支援します。
8.よくある質問(FAQ)
Q. 「過去に罰金刑を受けたが申請できますか?」
A. 刑種や執行終了日から5年経過の有無などで判断が分かれます。まずは判決の種類・執行終了日を確認してください。
Q. 「オンラインのみで販売したいが、特別な届出は必要?」
A. ネット取引の開始やURL変更は届出対象です。事前に本人確認フローの整備が必要となる場合があります。
Q. 「管理者って誰でもいいの?」
A. 管理者も欠格事由のチェック対象です。実務に明るく常勤で管理できる人物を選んでください。
9.まとめ:不許可を防ぐ最短ルートは「事前確認」と「専門家のチェック」
古物商許可で不許可になる理由は法律上の欠格事由と、手続き上の不備・虚偽の二系統に分かれます。
申請前の事前スクリーニングと書類・運用面の整備を行えば、多くの不許可リスクは回避できます。時間と費用を節約するためにも、早めに行政書士へ相談することをおすすめします。
古物商許可は法令の細かな運用や地方の運用実務が関わるため、「これで大丈夫だろう」では思わぬ不許可リスクが残ります。
行政書士は、申請前の欠格事由チェック・書類作成・警察対応までワンストップで対応可能です。
まずはお気軽にお近くの行政書士にご相談ください
参考・出典(主要な根拠)
• 警察庁「古物営業・質屋営業について」
• 警察庁PDF「古物営業法等の解釈運用基準について(通達)」最新の通達に基づく運用。
• 警察庁PDF「古物営業法の一部を改正する法律の施行について(通達)」欠格事由等の改正に関する資料。
• 新潟県警察の「古物商の許可等申請」実務上の申請様式・手続き。
≪南魚沼で行政書士をお探しの方へ≫
当事務所では、各種許認可申請、相続手続きなど、地域に寄り添ったサポートを行っております。
ご相談の内容により、他の専門家(司法書士・税理士など)との連携や、ご紹介をさせていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。
当事務所の詳細はホームページをご覧ください。
「にわの行政書士事務所」のホームページ
※本記事は令和7年12月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。