≪仕入れで事業の安全性が決まる理由≫
中古品ビジネスは利益が出やすく参入障壁も低いため人気ですが、仕入れ時の手続きや記録管理を怠ると「古物営業法違反」や盗品流通の加担になり得る点に注意が必要です。
事業として継続的・営利目的に中古品を売買する場合、古物商許可や台帳記載など法律上の義務が生じます。
まずは「どこから仕入れるか」「仕入れの際に何を確認すべきか」を押さえましょう。
1.主な仕入れ先と、それぞれの特徴
仕入れ先ごとにリスクと確認ポイントが異なります。
代表的な仕入れ先は以下の通りです。
• 来店買取(個人持ち込み):対面で本人確認ができるので証憑保全がしやすい。
• リユースショップ/他の古物商(業者間仕入れ):大量かつ安定した仕入れが可能。業者の信頼性・許可有無を確認する。
• ネットオークション・フリマアプリ:手軽だが「出品者情報」「写真の真偽」「低価格の怪しさ」に注意。
• 競売・業者オークション:安価だが出所確認や付随書類(検収書等)の保管が重要。
仕入れ先ごとに「台帳にどう記載するか」「どの証憑を保管するか」を統一したルールにしておくと運用が楽になります。
2.法的に絶対に押さえるべきポイント(古物台帳・許可表示など)
① 古物台帳の記載義務
古物商は定められた様式に従い、受入れ(買受け)や払出しの記録を台帳へ記載する義務があります。
台帳には品目の詳細(メーカー・型番・特徴)、取引年月日、取引相手の氏名・住所などを記載する必要があり、捜査機関が使用履歴を追跡できるようにすることが目的です。
台帳の様式や記載要領は警察署の案内に基づいて運用してください。
② 古物商許可の取得と表示義務
反復・営利目的で古物を買い取る事業を行う場合は古物商許可が必要です。
インターネットで販売する場合は許可を受けた公安委員会名や許可番号、氏名などを表示する義務もあります。
許可申請や届出の必要書類、手数料等は管轄警察署が案内しています。
3.リユースショップ(対面仕入れ)の具体的注意点
店頭や他業者から仕入れるときは次を運用ルール化してください。
• 相手の身元確認:対面なら身分証の提示、業者間なら会社登記情報や担当者の名刺等を確認。
• 仕入れ伝票の発行・受領:日付・数量・金額・相手名を明記した証憑を受け取る。
• 商品識別情報の記録:家電はシリアル、ブランド品は刻印や付属品を写真で保存。
• 破損・改造の有無の確認:修理歴や改造の痕跡は再販価値や法的問題に影響する。
これらの証憑を台帳と紐づけ保存すると、後で問題が起きたときに迅速に対応できます。
※反復・営利目的で街のリユースショップなどから仕入れる場合は、レジで対応した店員個人の身分証明書の確認と控えが必要になります。
また、取引を帳簿へ記載することも必要です。
古物商許可を取得しているからといって、これら必要事項が不要にはなりません(取引の合計金額によっては不要の場合あり)。
実際、街のリユースショップなどで、レジ店員が身分証明書の提示と控えに応じる可能性は少ないと考えので、反復・営利目的で街のリユースショップなどを利用する場合は注意が必要です。
4.ネットオークション・フリマアプリで仕入れる際の実務ルール(非対面の落とし穴)
ネット仕入れは“証拠化”が難しいため、次の運用が重要です。
• 出品者の評価・出品履歴の確認:評価の急変や短期大量出品は警戒サイン。
• 写真と説明の突合:写真の細部(刻印・キズの位置)が一致するか確認し、必要なら追加写真を求める。
• 配送・決済の記録保存:決済情報や追跡番号は台帳と一緒に保管。
• 身分確認(非対面取引における本人確認):ネット上では本人確認が困難なため、「相手方から電子署名を行ったメールの送信を受ける」などといった古物営業法第15条、古物営業法施行規則第15条第3項記載の本人確認が必要です。
※プラットフォームの規約で「古物商であることを表示」する必要がある場合があります(表示を怠るとプラットフォーム規約違反や法的問題に発展する可能性)。
また、取引金額が少額(1万円未満)であっても相手方が未成年ではないことを確認しなければなりません。
実際、ネットオークション・フリマアプリに出品する個人が、これらの確認(特に身分確認の方法)に応じるのは極めて少ないと考えられるため、反復・営利目的でネットオークション・フリマアプリを利用する場合は、古物商許可を取得していても注意が必要です。
5.「せどり・個人転売」は違法か?(結論と注意点)
結論から言うと「せどりそれ自体は違法ではない」が、次の条件を満たさない場合は違法になります。
• 古物(中古品)を継続的に営利目的で売買する場合は、古物商許可が必要。
無許可で反復継続して中古品を販売すると古物営業法違反となり、懲役や罰金の対象になり得ます。
• 偽ブランドの販売、不正入手物の販売、酒類・医薬品等別の許認可が必要な物の無許可販売、チケットの高額転売などは別の法令違反に当たる可能性があります。
実務上は「反復性・営利性」が争点になります。
個人がたまに不要品を売るのと、事業として大量に転売するのでは扱いが異なります。
事業として行うなら古物商許可を取得し、台帳・本人確認を含む適正な体制を整えることが必須です。
6.万が一「盗品疑い」が出た場合の対応フロー
疑わしい取引は記録を残すことが最善の防御です。
後で警察や消費者から問い合わせが来た際、迅速に情報を提供できることが重要です。
以下のフローを事前にマニュアル化しておくと、従業員がいてもスムーズに動けます。
① 直ちに販売停止・在庫隔離。
② 台帳・取引記録・証憑を整理。
③ 警察へ速やかに連絡し、指示に従う。自己判断で処分・返還を行うと責任問題になる恐れがあります。
7.行政書士が提供できる支援例
• 古物商許可の申請書類作成と提出サポート(営業所の届出含む)
• 古物台帳の様式作成、電子台帳運用ルールの策定(改ざん防止策)
• 仕入れフロー・社内マニュアル作成(本人確認・盗品発覚時の対応フロー)
• 偽ブランド対応や発見時の警察連絡サポート、関係資料の整理・提出代行
• ネット販売特有の非対面取引ルールの策定(証憑保管、取引ログの取扱い)
これらは行政書士が実務で対応している典型的な業務です。正しい手続きや運用があることで、事業の信用・継続性が高まります。
8.まとめ
① まず自社の販売スタイルが「営利かつ継続的」かを整理する(必要なら古物商許可を申請)。
② 仕入れごとの明確なチェックリスト(対面/非対面)を作る。台帳様式と証憑管理ルールを決める。
③ 偽ブランド対策やシリアル番号確認など、品目別の仕入れ手順を整備する。
④ 万が一盗品疑いが出た時の警察対応フローを社内で共有する。
これらを準備することで、法令遵守しつつ安全に中古流通ビジネスを行えます。
重要出典(本文の主要根拠)
• e-Gov法令検索:「古物営業法 」
• e-Gov法令検索:「古物営業法施行規則 」
• 警視庁:「古物商許可申請」
• 警視庁:「帳簿の様式」
• 警視庁:「古物商許可申請をされる方へ」
• 警察庁PDF:「古物営業法等の解釈運用基準について」・台帳運用に関する指針
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※本記事は令和7年11月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。