はじめに — 「車庫証明」とは?誰がいつ必要?
自動車を所有して登録する際、「保管場所(車庫)がきちんと確保されているか」を警察に証明する――これが「車庫証明」、正式には「自動車保管場所証明書」の制度です。
車を持つのに駐車場がないと、公道への違法駐車や無秩序な駐車が増えてしまう可能性があります。
そこで、各都道府県の警察署が「あなたの車をどこに停めるか」を確認・証明するのが、この制度の目的です。
新車・中古車の購入、引っ越しによる住所/駐車場の変更、名義変更などの場合に申請が必要です。
また、地域や車の種類(普通車/軽自動車)によっては「届出」が必要になることもあります。
本記事では、初心者の方にもわかりやすく、「いつ必要か」「どう手続きするか」「何に注意すべきか」、そして「行政書士に依頼するメリット」まで、まとめて解説します。
1.車庫証明が必要な代表的なケース
• 新車・中古車を購入して登録(ナンバーを変更する場合)。
• 引越しで住所または保管場所が変更になった場合(住所変更後15日以内の手続きが必要なことが多い)。
• 名義変更(相続や売買等)を行う場合。
※管轄や軽自動車の扱いは地域で異なるため、窓口で要確認を。
2.車庫証明の申請の流れ(基本ステップ)
① 保管場所(駐車場所)を確定
自宅敷地内、月極駐車場など。権原(所有/賃貸/使用承諾)を確認。
② 必要書類を準備
申請書(2通)、所在図・配置図、権原を示す書類(所有なら自認書、借りているなら使用承諾書や賃貸契約書等)。
※詳細は次節に解説します。
③ 申請書の提出(警察署窓口)
保管場所を管轄する警察署へ提出します。受付時間や窓口の取り扱いは警察署ごとに差があります。
④ 審査(数日〜1週間程度が一般的)
書類や配置図の確認、現地確認が行われることがあります。発行までの日数は管轄で異なります。
⑤ 交付および手数料支払い
申請手数料・標章交付手数料など(地域により金額が異なる)。交付された証明書を使って自動車登録手続きを行います。
3.必要書類(チェックリスト)
※提出書類は都道府県・市区町村によって書式や必要添付が微妙に異なります。必ず管轄警察署HPで最終確認を。
共通
• 自動車保管場所証明申請書(所定様式)2通
• 保管場所の所在図・配置図(記入例に合わせて)1通
• 申請者の本人確認書類(運転免許証等)コピー(窓口で提示する場合あり)
保管場所の権原を示す書類(どれか)
• 所有:自認書(保管場所が自己所有であることの確認書)
• 借用:保管場所使用承諾書(所有者の署名捺印が必要)または賃貸借契約書の写し(原則として直近で作成されたもの/署名者の確認がされることあり)
4.申請でよくあるミス・注意点(トラブル回避術)
初めて自分で申請する方に多いミスや、申請・届出で引っかかりやすいポイントを挙げます。
• 手続きのタイミング・警察署の受付時間を確認していない
警察署の窓口は平日のみ、土日祝・年末年始は休みのことがほとんどです。
申請→交付→運輸支局での登録手続きがあるため、スケジュールに余裕を持つことが重要です。
• 配置図の寸法や道路幅の記入漏れ
特に道路の幅、出入口の向き、駐車位置の向きなどは省略されがち。
これがあると「配置が不適当」と判断され、申請が戻されることがあります。
• 権原書類の不備
賃貸駐車場を使う場合、使用承諾証明書に所有者の署名・捺印が必要な地域があります。
また賃貸契約書の写しだとしても、「直近で契約されたもの」であることを求められることがあります。
• 申請者の住所と保管場所の住所が異なる場合の証明不足
住民票と駐車場が離れている場合、公共料金の領収書や賃貸契約書などで「実態としてその駐車場を使っている」ことを疎明しなければならないことがあります。
• 申請前に保管場所を確保していない・「あとから駐車場探す」状態で申請する
警察署は「保管場所が確定していること」を前提に審査するため、先に車を買ってしまうと証明が下りず、登録できずに困ることがあります。
5.行政書士に代行を依頼するメリット
• 時間と手間の節約:平日昼間に管轄警察署へ足を運ぶ必要がなくなります(申請・受取の往復を代行)。
• 書類の不備リスクを低減:現場での配置図作成、権原書類の整備など、経験に基づくチェックで返戻を防ぎます。
• 他手続きとの連携:車庫証明取得後の自動車登録(陸運局手続)など、ワンストップでサポート可能(別途手続き費用が発生)。
料金(目安)
• 行政書士による車庫証明代行:6,000〜15,000円程度(地域や業務範囲による)。別途警察手数料(地域ごと)や交通費がかかる場合あり。※価格は事務所により幅があるため見積りを推奨。
6.【重要】2026年1月施行:行政書士法改正で確認すべき点(車庫証明業務への影響)
2025年に成立した「行政書士法の一部を改正する法律」は、原則として2026年1月1日から施行されます。
改正のポイントとしては、行政書士の業務の範囲や業としての書類作成・提出に関する規制の明確化、および違反時の罰則(両罰規定など)の整備が挙げられます。
〈 車庫証明に関する実務上の注意(要点)〉
• 書類作成・提出を“有償で行う”事業者の取り扱い
今回の改正で「他人の依頼を受け、いかなる名目であれ報酬を得て行う書類作成業務」は行政書士の業務範囲に係る解釈が明確化される方向です。
自動車販売業者やコンサル等が「書類作成」を有償で提供する場合、改めて法的な整理が必要となる可能性があります。車庫証明の代行を外部に委託する際は、その委託先の法的位置づけ(行政書士か否か)を確認してください。
• 罰則や事業者責任の明確化
違反があった場合の法人責任等が強化されるため、業務委託契約や表示・報酬体系を今後はより厳密に管理する必要があります。
〈 実務的な結論 〉
これまで通り行政書士による代行は問題ありませんが、「安易に安価な代行サービスを使いたい」「誰でも代行を名乗っていい」といった業者を選ぶのは慎重であるべきです。
もし代行を依頼されるなら、行政書士資格の有無と、契約内容(報酬・責任の所在など)を確認してください。
この点も踏まえると、信頼できる行政書士に任せるメリットは、制度改正後ますます大きくなると考えられます。
※ 2026年1月施行・改正行政書士法の詳細は、「改正行政書士法【2026年1月施行】で何が変わる?~補助金・不服申立て・無資格業対策を分かりやすく解説~」をご覧ください。
7.よくあるQ&A
Q. 「書類はダウンロードで良い?」
A. 多くの警察署ではHPから様式をダウンロードできますが、記入例に沿って作成し、窓口での注意事項を確認してください。
Q. 「軽自動車は車庫証明が不要?」
A. 地域により軽自動車でも届出が必要な場合があります。必ず管轄の窓口に確認を。
8.まとめ(行政書士へ依頼する理由と次の一歩)
面倒な車庫証明手続きは、書類作成・現地確認・警察署とのやり取りまで行政書士に任せることで、時間と精神的負担を大幅に減らせます。
特に2026年1月施行の行政書士法改正を踏まえると、法的に安全な代行がますます重要になります。
書類不備で登録が遅れると、納車や名義変更に支障が出ることもあるため、事前の確認と専門家のチェックをおすすめします。
参考・出典
• 新潟県警察:「自動車の保管場所(車庫)証明等手続」
• 日本行政書士会連合会:「行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」
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※本記事は令和7年12月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。