行政書士が作成できる図面範囲やCAD(Jw_cad)活用のポイント、依頼時の注意点をわかりやすく紹介します。
許認可申請を効率化したい方に最適です。
1.行政書士が図面を作成できる理由(法的根拠をわかりやすく解説)
行政書士は「書類作成の専門家」であり、依頼を受けて官公署に提出する書類や事実を証明するための書類(実地調査に基づく図面を含む)を作成する業務が、行政書士法によって認められています。
つまり「役所に提出するための図面(所在地図・配置図など)を作る」こと自体は行政書士の業務の範囲です(e-Gov 法令検索「行政書士法第1条の2」)。
ただし、行政書士ができるのは「書類(図面)を作成すること」であって、建築物の設計や構造計算のように建築士法で建築士の独占業務とされる行為(設計・工事監理など)と重なる部分では、建築士の関与が必要になります。
行政書士がどこまで作成できるか、どの場面で建築士に相談すべきかは、ケースごとに判断が必要です。
公的な業務区分や一般的な解説も合わせて確認してください。
2.行政書士が実務で作成する図面の種類(具体例)
行政書士は以下の図面を作成します。
① 車庫証明用の所在図・配置図
駐車位置や道路幅、敷地と車庫の関係を示す図。寸法や周辺目印が必要で、警察署の指摘で差し戻されやすい書類の一つです。行政書士が受託して作成することが多い分野です。
② 飲食店営業・旅館業(民泊含む)の添付図面
部屋割り、出入口、避難経路など、許認可申請に必要な図面。簡易な平面図や配置図を行政書士が作成し、必要に応じて建築士や消防設備士と連携します。
③ 各種許認可に添付する平面図・立面図・配置図
産業廃棄物処理、風俗営業、開発許可の一部手続きなど、許認可に応じた図面を作成。図面の「事実(現況)」を示す目的が多く、設計図面そのもの(構造設計など)とは区別されます。
④ 現地調査に基づく測量的な簡易図面
正確な測量が必要な場合は測量士や専門家に依頼しますが、現地を確認して実務上必要な範囲の図面(敷地形状や接道幅等)を作ることは行政書士の業務に含まれます。
〈 Jw_cad作図サンプル 〉

3.行政書士が図面作成で使うCAD — Jw_cadの特徴と実務での利点
行政書士事務所で最もよく目にするCADの一つが Jw_cadです。実務向けの特徴を簡潔にまとめます。
• 無料で商用利用可能:導入コストがかからず、個人事務所でも気軽に使える点が大きな利点です。
• 2D作図に特化(建築実務で十分な機能):平面図、配置図、寸法記入など許認可に必要な2次元図面作成に向いています。軽快に動作するため、簡易な図面を素早く仕上げられます。
• 国内での互換性・普及度が高い:JWW/JWC形式やDXFなどの入出力ができ、建築側・施工側とのデータ受け渡しも行いやすいです。
• 学習コストが比較的低い:多くの解説教材やコミュニティがあり、独学で使い始める事務所も多いです。
※ Jw_cadは2Dに強い一方で、3Dモデリングや高度なBIM機能は限られます。高度な設計が必要な場合はAutoCADやBIMソフト、建築士と協力することを検討してください。
4.図面作成の実務フロー
依頼→作図→チェック→納品 という基本形を、現場でよくある注意点とセットで示します。
① 受託内容の確認(何のための図面か)
許認可の種類・役所の要件(寸法、縮尺、記載事項)を確認。各窓口で求める様式は自治体や機関で差があります。
② 現地確認(可能なら実測)
管理会社・大家から既存図面を入手できるか確認。無ければ必要最小限の寸法を測り、誤差をメモしておく。現地写真も添付すると行政側の理解が早まります。
③ CADで作図(Jw_cadなど)
縮尺・線種・寸法を正しく設定。ファイル保存はJWW/DXF等で納品できるようにしておくと受け渡しがスムーズ。
④ チェックリストで内部確認
必須項目(方位、縮尺、寸法、道路幅、出入口、周辺目印など)が揃っているかを確認。警察署や行政窓口で指摘されやすいポイントを事前に洗い出す。
⑤ クライアントへ納品・申請代行(必要なら代理提出)
電子申請・紙の申請ともに、添付ファイルの形式や印刷レイアウトに注意して提出します。
5.図面作成で気をつける法律的・実務的注意点
• 「設計」と「図面作成(事実の記載)」は違う
許認可添付用の図面は「現況や配置を示す」ことが多く、建築士の独占業務に抵触しないことが多い一方、構造設計や意匠設計のように建築士法で規制される行為は行えません。
案件によっては建築士のチェックや押印が必要です。
法的な線引きは事例ごとに判断が必要で、完全に白黒が出ていない部分もあります(※判例や行政解釈の変更があり得ます)。
• 正確性と説明責任
図面は事実を示す証拠書類になります。
寸法・方位を誤ると申請が却下されたり、後工程でトラブルになります。実測が無理な場合は「概略」や「測定方法」を明記しておく運用が有効です。
• 自治体や窓口で要件が異なることが多い
同じ「配置図」でも都道府県・市区町村や警察署で指定フォーマットや記載内容が異なります。
窓口確認(事前照会)や過去の審査基準を確認することが受理率アップのコツです。
• 第三者(建築士・測量士)との連携
設計や構造の判断、正確な測量が必要な場合は速やかに専門家と連携する。
必要に応じて「設計者」欄の記載や押印などが求められます。
6.料金設定・納期の考え方
※地域や業務範囲で大きく変わるため、以下は一般的な方針です。
• 簡易な配置図(車庫証明など)
作図+チェックで数千円〜数万円が一般的。現地計測や役所同行がある場合は別途加算。
• 許認可に必要な平面図・複数図面
図面枚数・修正回数で価格は増えます。初回見積りで「含まれる作業」と「別途費用」を明確に提示することが信頼獲得につながります。
7.行政書士事務所が用意できること
• 図面作成の範囲(例:「許認可添付用の配置図を作成」)とできないこと(例:「構造設計や建築確認の設計業務は行いません」)を契約前に明記。
• 現地測量の有無、専門家連携のタイミング(建築士・測量士・消防設備士など)を事前説明。
• データ納品形式(PDF/JWW/DXF等)と修正回数のルールを契約書に入れる。
8.よくあるQ&A
Q. 「建築確認に必要な図面は行政書士が作れますか?」
A. 行政書士は申請書類や添付図面を作成できますが、建築確認に関わる本格的な設計や構造計算は建築士の専権分野です。ケースによっては建築士の押印・記名が必要になります。
Q. 「Jw_cadで作った図面をそのまま役所に出して大丈夫?」
A. 多くの窓口ではPDFやJWW/DXF形式での提出が可能ですが、窓口ごとの指定があるため事前に確認してください。
9.まとめ
行政書士は「許認可申請や事実関係を示す図面の作成」に関して法的な根拠を持ち、車庫証明や許認可の添付図面作成など実務的に強みがあります。
一方で、建築設計や構造計算など建築士の専権分野とは線引きがあり、必要に応じて専門家と連携することが重要です。
業務効率化のためにJw_cadのような実務向け2D CADを使う事務所も多く、コスト対効果の高い選択肢としておすすめできます。
• 「自分のケースでどこまで行政書士に頼めるか」
• 「飲食店営業や車庫証明の図面を全部任せたい」
などご希望があれば、ぜひお近くの行政書士へご相談ください。
現地の要件確認から図面作成、役所提出までワンストップで対応します 。
参考(主な出典)
• e-Gov 法令検索「行政書士法第1条の2 行政書士が事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)」
• 日本行政書士会連合会「行政書士の業務」
• Jw_cad 公式サイト
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※本記事は令和7年12月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。年度によって制度内容が変更されている可能性があります。必ず最新の法改正情報などでご確認ください。