冬の訪れとともに、雪国では「除雪」「雪害」「契約トラブル」「補助金申請」など、普段とは違う手間やリスクが生じます。
例えば、屋根に積もった雪の重みで建物が損壊したり、除雪作業中に物損・人身事故が起きたり。
これら冬ならではの課題を、地域の法律・契約・行政手続きの観点から支えるのが、行政書士の大切な役割です。
本記事では、具体的にどんな支援が可能か、また注意すべきポイントは何かを、雪国(例えば東北・北陸・北海道)の実情を踏まえて解説します。
専門用語はできるだけ噛み砕いて説明するので、「法律は苦手」という方もぜひご覧ください。
1.除雪・排雪業務のための契約書作成
雪国では、町内会、自治体、個人事業者などが「除雪・排雪」を依頼する契約を冬前に結ぶことが多くあります。
ただ、この「何をどこまでやるか」「料金はどうするか」「事故が起きたらどうするか」を曖昧にしておくとトラブルの原因になります。
①支援できる具体例
• 除雪業者との「委託契約書」や町内会と個人事業者間の「除雪作業契約書」の作成・チェック。
• 契約期間、出動条件(雪が 〇cm以上降ったら、除雪機を〇時間以内に出動、など)、料金(時間単価・作業量・重機使用料)、損害発生時の責任分担を明文化。
具体的な例として、「除雪機械の使用期間」「施設の引き渡し・返還」「故意・重大な過失による損害を弁償する責任」などの明記が考えられます。
• 契約時に「見積もりを出してもらったか」「追加料金がどのように発生するか」「破損・事故が起きた際の対応はどうか」などのチェックポイントを整理・助言。
実際、群馬県では消費者向けに「除雪サービスの契約は慎重に!」という注意喚起を出しています。
②注意すべきポイント
• 見積もりや契約内容は書面化しておくこと。
口頭だけでは後で争いになります。
• 契約前に「重機が入るか」「排雪(雪の搬出)がどうなるか」「作業後の仕上がり(どこまで雪を除くか)」を明確にしておくこと。
• 契約書に「解除条件」「責任範囲」「損害時の対応」が入っていないと、万一事故が起きた時に発注者も受注者も困ります。
• 地域・自治体によって契約のひな形・仕様書があるので、それを参考にすることも可能です。
例えば、長野県では「除雪等業務委託契約書(案)」が用意されています。
• 雪が多く、急な降雪・混雑が予想される時期は、契約締結が遅れると値上がりや業者確保が難しくなるため、冬入り前の準備が重要です。
2.雪害対応・損害賠償の書面整理
屋根の倒壊、雪庇(せっぴ)落下、駐車場・フェンス破損など、雪国では雪に起因する物損・人損が多くなります。
こうした際、示談書や合意書、念書など書面で整理しておくとトラブルの長期化を避けられます。
①支援できる具体例
• 事故・雪害発生後の「損害賠償に関する合意書・示談書」の作成。
• どちらが何をいつまでに修繕・補償するか、支払条件・期日を明記。
• 作業者(除雪業者)・町内会・所有者など複数主体が絡む場合の「責任範囲・連帯責任」の整理。
• たとえば賃貸物件で「除雪は誰の責任か」という問題もあります。
賃貸借契約上、借主が除雪を負担する旨が判例・実務で整理されています。
②注意すべきポイント
• 紛争化を避けるため、発生時点で「被害の写真・損害見積もり・作業前後の状況記録」を保存しておくことが望ましい。
• 示談書・合意書には「支払期日」「遅延時の利息」「合意解除条件」などを記載しておくと安心。
• 書面を交わす前に、当事者間で認識をすり合わせ、「いつまでに何をするか」はっきりさせておくことが重要です。
• 行政書士が示談書作成を代行することは可能ですが、訴訟代理は弁護士の業務範囲となるため、紛争化したときは早めに弁護士に相談を。
3.雪害・除雪関連の補助金申請支援
国や雪国の自治体では、雪害対策・除雪関連・大雪被害復旧などのための公的支援制度があります。
以下は、参考として国や各自治体の支援事業をご紹介します(既に終了した事業を含む)。
こうした制度を行政書士が調査し、申請手続きを支援することで、相談者の負担を大きく軽減できます。
①主な制度例
• 豪雪地帯安全確保緊急対策交付金:豪雪地帯において除排雪時の死傷事故を防止するため、地域ぐるみでの除排雪体制整備等を支援(出典:国土交通省)。
• 令和6年から7年までの冬期の大雪対応産地緊急支援事業:令和6年12月以降の豪雪による樹園地の被害等を対象とした支援制度(出典:青森県五所川原市)。
• 被災者生活再建支援制度:災害により住宅が全壊等した世帯に対し支援金を支給する制度。
災害級の雪害への適用も考えられます(出典:内閣府)。
• 住宅雪対策補助金:住宅の融雪施設設置に対しての補助金があります(出典:北海道旭川市)。
②支援できる具体例
• 補助金の対象制度・申請期限・必要書類(見積書・被害証明・写真等)の調査。
• 申請書類の作成・代理提出。
• 添付書類(被害写真・見積書・領収証等)の整理・チェック。
• 補助を受けた後の報告書・完了報告も含めて手続き支援。
• 雪害発生の際に「どんな時期・どの程度の被害なら対象になりうるか」を助言。
③注意すべきポイント
• 支援制度には 申請期限や対象となる被害の範囲があらかじめ定められています。
期限を過ぎると申請できないことが多いため、早い時期から情報収集することをおすすめします。
• 各自治体・制度により対象条件・補助率・上限額が異なります。
例えば旭川市の制度では「補助対象工事費の1/10、上限10万円」という規定があります。
• 補助金が交付された後も、報告義務や領収証の保存義務があるケースがあります。
• 「雪害」と一口に言っても、屋根破損・設備損壊・除雪機械導入など様々な種類がありますので、どの制度が適用できるかを個別に見極める必要があります。
• 明確に制度に記載されていない場合は、補助金実施団体への相談・確認をすことが重要です。
4.冬期の建設・除雪業関連許可・届出支援
雪国では、冬季の間に許可更新や変更届をしておくことで、春からの業務再開をスムーズにする事業者が少なくありません。
例えば、建設業許可・産業廃棄物収集運搬業許可・除雪業務を行うための車両登録などが該当します。
①支援できる具体例
• 建設業許可の 更新 書類作成。
• 除雪作業を行うにあたっての 営業車両登録・運送事業の届出 など。
• 産業廃棄物の排雪・搬出を伴う除雪がある場合の産業廃棄物収集運搬許可の更新・変更。
• 冬季に工事が止まりがちな地域では、休止期間に春の稼働に備えて手続きを済ませておく計画を提案。
②注意すべきポイント
• 許可・届出には一定の提出期日や添付書類があります。
冬季・繁忙期を避けて早めに準備するのが安心です。
• 除雪業務を建設業で請け負う場合、「建設業許可が必要か」「派遣・下請の形態になっていないか」など法令上のチェックも必要です(※除雪業務が建設業に該当するかは個別で確認が必要です)。
• 車両・機械を使った除雪では労働安全・機械の手続き(運転者の免許・点検記録等)にも気をつける必要があります。
5.地域防災・協定書作成支援
雪国においては「町内会・自治体と除雪業者」「地域住民と自治会」「企業と自治体」の間で、雪害・除雪に関する協定を結ぶ場合があります。
行政書士は、こうした協定書・防災ルールの文書化を支援できます。
①支援できる具体例
• 自治体と民間企業が結ぶ「災害時応援協定書(雪害対応含む)」のドラフト作成。
• 町内会・管理組合と除雪業者との「除雪協力協定書」の整備。
• 防災計画に盛り込まれた雪害対応のルールを、書面化・周知できる形に整える。
• 地域ルールを作る際の「どのタイミングで除雪を始めるか」「誰が責任を負うか」「どの機械を使うか」「除雪後の確認はどうするか」などの条項検討。
②注意すべきポイント
• 協定書は地域住民・行政・業者それぞれの責任・義務を明確にするためのものです。
あいまいな表現では、いざというときに「誰が何をすればいいか」が分からなくなります。
• 協定書締結後も、地域が共有できる運用ルールを作る(例えば、除雪開始の合図、連絡先、除雪作業後の点検方法など)。
• 協定書や地域防災計画が変更・更新された際には、その都度書面化・署名を含めた正式な手続きをしておくのが安心です。
6.まとめ:冬の「備え」が安心を生む
雪国の冬は、自然の厳しさに加えて「契約」「手続き」「責任」の複雑さが浮き彫りになる季節です。
しかし、専門家(行政書士)を活用して事前に備えておけば、安心度はぐっと高まります。
• 契約書を整えてトラブルを予防
• 雪害発生時の書面整理で迅速対応
• 補助金を活用して資金負担を軽減
• 許可・届出の準備で業務を止めない
• 地域協定書で「みんなで守る」体制を構築
これらを総合的に見ると、行政書士が「冬の安心・安全」を支えるパートナーになることが明確です。
ただし、制度・契約の詳細内容は自治体・地域によって大きく異なります。
例えば、補助金の対象・上限額・申請期間などは毎年変更されることがあります。
制度の具体的適用可否については、該当自治体もしくは専門家に「その年度・その地域でどうか」を確認することをおすすめします。
• 「うちの地域ではどういう制度が使えるのか」
• 「こういう契約書が本当に必要か」
• 「除雪業務請負契約書を作るにはどうすればいいか」
といった疑問や不安は、お気軽に専門家へご相談ください。
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※本記事は令和7年11月時点に入手可能な公的情報をもとにしています。地域・年度によって制度内容が変更されている可能性があります。最新情報は必ず該当自治体でご確認ください。